研究課題/領域番号 |
23K27663
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補助金の研究課題番号 |
23H02972 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
本田 正樹 熊本大学, 病院, 助教 (80573609)
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研究分担者 |
吉井 大貴 熊本大学, 病院, 診療助手 (00792582)
日比 泰造 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (10338072)
菰原 義弘 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (40449921)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | Transplant Oncology / 虚血再灌流障害 / 好中球 / 生体イメージング / Transplant oncology / 肝虚血再灌流障害 / 好中球細胞外トラップ / 癌転移 |
研究開始時の研究の概要 |
原発性肝腫瘍・転移性肝癌に対する集学的治療の一環として肝移植適応を拡大していくTransplant Oncologyにおいて、癌再発メカニズムを解明することは重要な課題である。近年、外科治療に伴う炎症状態は癌再発・転移と深く関わると考えられており、炎症時に好中球から産生されるNeutrophil extracellular traps(NETs)が癌細胞の生着・増殖を促進することも明らかになってきている。本研究では生体イメージング法、FCM、CyTOFを用いて肝移植時の炎症が好中球・NETs及び癌細胞の相互作用に与える影響を明らかにし、肝移植後の癌転移・再発抑制に繋がる新規治療戦略の開発する。
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研究実績の概要 |
近年、外科治療に伴う炎症状態は癌再発・転移と深く関わると考えられており、炎症時に好中球から産生されるNeutrophil extracellular traps(NETs)が癌細胞の生着・増殖を促進することも明らかになってきている。我々はこれまで生体イメージング技術を用いた研究で、肝虚血再灌流障害時の炎症において好中球が生理病理学的に主要な働きを演じることを報告してきており、好中球と癌細胞の関与が移植後癌再発に関与しているのではないかと考えた。本研究では生体イメージング法、フローサイトメトリー、CyTOFを用いて肝移植時の炎症が好中球・NETs及び癌細胞の相互作用に与える影響を明らかにし、肝移植後の癌転移・再発抑制に繋がる新規治療戦略の開発を目指す。まず、肝臓の70%に60分の虚血を行う肝虚血再灌流障害モデルを作成した。実験は小動物保温用温熱パッド上で行い、マウスの体温を37℃に保つようにした。動物モデルの作成は、熊本大学動物資源開発研究施設で行った。今後コントロールと肝虚血再灌流障害モデルで癌転移の進展に差があるかどうかを肝・肺における腫瘍サイズおよび生存率を用いて評価する予定である。がん微小環境における免疫細胞の働きに関するReview論文記述依頼を受け、’Intravital imaging of immune responses in the cancer microenvironment’のTitleでReview articleを作成し、Frontiers in Immunologyに投稿中である(In revision)。また、CellMarker databaseを用いて、70%45分の肝虚血再灌流障害24時間時点の肝臓内の細胞クラスター解析で5種類の好中球サブタイプを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生後8-12週齢のC57BL/6マウス、LysM-EGFPマウス(励起により好中球が蛍光反応し緑色の励起光を発する遺伝子改変マウス)はすでに当該施設で繁殖・飼育中である。肝/大腸癌肝転移モデルとして①癌細胞脾注脾摘モデル(全身麻酔で開腹後脾臓に腫瘍細胞を注射後4分で脾臓摘出→閉腹)、②癌細胞尾静脈注射モデル、を作成する方針であるが、商用として購入可能であったRFP-SL4(マウス大腸癌)が受注作成となり、購入に時間を要している。同細胞株は腫瘍細胞1×10^6個を用いることで、癌細胞脾注脾摘モデルで肝転移を100%、癌細胞静脈注射モデルで肺転移を100%きたすことが知られている。また、共同研究者として新規大学院生への基礎実験手技、2光子励起顕微鏡によるイメージングを行うための手技の獲得・習熟に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
肝虚血再灌流障害モデルではより鋭敏な好中球集積が起こることが予想されるため、癌細胞脾注脾摘モデル、癌細胞尾静脈注射モデルそれぞれで、障害から0,2,6,12,24時間後の肝臓及び肺を採取し、免疫染色、FCMを用いて好中球-癌細胞相互作用の評価を行う。具体的には免疫染色では好中球、癌細胞の2重免染を行い、好中球-癌細胞complexの数・割合を評価する。NETsはCitH3、細胞外DNAの染色で同定し、同様の解析を行う。FCMでは好中球細胞表面マーカーであるLy6G(or LysMeGFP)+RFP+細胞の同定を行い、FlowJoを用いて各モデルにおける好中球-癌細胞complexの数・割合の解析を行う。また得られたデータを基にCyTOFも追加で行うことで、より詳細にRFP+癌細胞を捉えている好中球のProfiling(NETsの有無等)を明らかにする。癌転移モデルマウスを作成し、肝虚血再灌流障害後設定した時間において2光子励起顕微鏡による観察を行い、好中球-癌細胞の動態を観察する。肝虚血再灌流障害を行わない群をコントロールとする。セットアップはBX61WI+ FV1000MPEおよびMai Tai HP Deep See femtosecond-pulsed laser (Spectra Physics)を用いる。励起光を840nmに設定することで、好中球は緑、RFP+癌細胞は赤色に励起され、臓器微小環境での好中球および癌細胞の関係性がin vivoで同時に観察可能となる。癌細胞尾静脈注射モデルでは赤色に励起された癌細胞が緑色に励起された好中球にTrapされる様子がreal timeに観察されるのではないかと予想している。Time-lapse imagingを動画編集し、好中球及び癌細胞の数、速度、ベクトルの変化を解析、検討する。
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