研究課題/領域番号 |
23K27712
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補助金の研究課題番号 |
23H03021 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56010:脳神経外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉本 幸司 九州大学, 医学研究院, 教授 (70444784)
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研究分担者 |
三月田 祐平 九州大学, 医学研究院, 助教 (00848640)
藤岡 寛 九州大学, 大学病院, 助教 (10914252)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | glioblastoma / mitochondria / genotype / metabolism |
研究開始時の研究の概要 |
ミトコンドリアは、酸化的リン酸化により細胞に必要なエネルギーを産生する以外にも、細胞増殖の骨格となる核酸、アミノ酸、脂質などを提供するなど、腫瘍細胞にとって重要な働きをしている。近年になってミトコンドリア機能異常が、癌細胞における病態形成や治療抵抗性の原因の一つになっている可能性が示唆されているが、膠芽腫においては不明な点が多い。本研究では、膠芽腫におけるミトコンドリア機能を詳細に解析し、その機能を制御することによって、腫瘍増殖が抑制できるかをメカニズムの面も含めて検討し、ミトコンドリアを標的にした治療の確立に向けた基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
膠芽腫腫瘍細胞では糖濃度の減少に伴いミトコンドリア関連蛋白および酸化的リン酸化活性が増加し, 癌細胞の生存がミトコンドリア代謝に強く依存することを発見した。そのため, 糖飢餓状態でミトコンドリア翻訳阻害薬(クロラムフェニコール)を投与したところ強力な抗腫瘍効果を示した. その際, 細胞死が起こる機序はアポトーシスではなく, 鉄が貯まることによるフェロトーシスであった。一方, 正常糖状態では糖飢餓と比較するとミトコンドリア翻訳阻害薬の効果が乏しかった。 腫瘍のheterogeneityを考慮すると糖飢餓状態だけでなく正常糖状態の細胞にも有効な治療が望ましいと考え, 正常糖状態の細胞に対しても効果的な治療を検討した。 短期では効果が乏しかったが, 長期間ミトコンドリア翻訳阻害薬を投与すると正常糖状態でも細胞死を認めた. また, 解糖系阻害剤である2-DGを併用するとさらに顕著な抗腫瘍効果を認め短期間投与でも有効であった。一方、 糖飽和状態ではミトコンドリア翻訳阻害薬単独および併用療法ともに効果が乏しく, 糖飽和状態を避ければミトコンドリア翻訳阻害薬と解糖系阻害薬が有効な治療になりうる。また、 本併用治療の効果は低酸素状態及び患者由来のneurosphere 細胞でも確認できた。 膠芽腫腫瘍検体を用いた解析では、蛋白発現解析及び質量分析を行うと腫瘍検体ではミトコンドリア蛋白の発現が高い群と低い群に分かれた。ミトコンドリア蛋白発現が高い検体では解糖系酵素発現が逆転している, 一方, グルタミノライシス関連蛋白発現とは一致した。 また、ミトコンドリアの形態を電子顕微鏡で観察すると、腫瘍組織では、明らかに異常な形態を示すミトコンドリアが増殖していることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験も含めてほぼ計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、今後の研究を進める予定である。
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