| 研究課題/領域番号 |
23K27734
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| 補助金の研究課題番号 |
23H03043 (2023)
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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| 研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
杉野 法広 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10263782)
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| 研究分担者 |
田村 功 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (40610663)
宮本 達雄 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40452627)
大黒 多希子 金沢大学, 疾患モデル総合研究センター, 教授 (30767249)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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| キーワード | 子宮内膜 / オルガノイド / 脱落膜化 / 着床 / 着床不全 |
| 研究開始時の研究の概要 |
着床とは、胚が子宮内膜上皮に接着・浸潤し、子宮内膜間質細胞の脱落膜化とともに胎盤を形成する過程であるが、ヒトではこれを再現するモデルが確立されておらず、着床機構の詳細や着床不全の病態は未だ十分に解明されていない。本研究では、我々が独自に開発した改良型子宮内膜オルガノイド(ミニ子宮内膜)とマウス胚盤胞を共培養することで、より生体に近い着床現象を再現できるin vitro着床モデルを確立する。さらに、着床関連遺伝子のノックアウトマウスから作製したミニ子宮内膜を用いて着床過程を見ることで、着床に不可欠な因子の同定だけでなく、着床過程のどの段階に異常が生じるかも解明できる。
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| 研究実績の概要 |
【目的】着床は妊娠に不可欠な現象であるが、子宮内で生じる現象であるためその詳細なメカニズムは明らかにされていない。我々は着床現象を体外で再現・観察するために、マウスの上皮細胞と間質細胞を含み、上皮細胞の極性が外側を向いている新規のオルガノイドを細胞外基質を用いずに作成した。この新規オルガノイドと胚盤胞を共培養することで、体外で着床現象を再現するin vitro着床モデルを樹立することを目的とした。【方法】(1)マウス子宮から上皮細胞と間質細胞を回収し接着培養を7日間、浮遊培養を5日間行ったところ、自己組織化した凝集体が観察された。この凝集体の細胞構成、細胞極性をHE染色および免疫蛍光染色、走査型電子顕微鏡を用いて調べた。(2)新規オルガノイドに対してE2、MPA、cAMPを2日間投与して胚盤胞受容期の子宮内膜を再現した。それらをGFPマウスから作成した胚盤胞と共培養を行い、着床過程を共焦点タイムラプスイメージングを用いて観察した。【結果】(1)新規オルガノイドは内部にVimentin陽性間質細胞が充填され、その外側に一層のE-cadherin陽性上皮細胞が覆っている構造を呈した。いずれの細胞もProgesterone 受容体陽性であった。上皮の細胞極性を示すMucin1は上皮細胞の頂端側(培養液に面する側)に発現していた。また、着床期特異的に発現するpinopode様構造物を認めた。(2)胚盤胞が新規オルガノイドに接着し、浸潤するまでの過程が観察された。浸潤した胚盤胞由来細胞はProliferin陽性栄養膜巨細胞に分化し、その周囲の間質細胞はCox-2陽性脱落膜化子宮内膜間質細胞に分化していた。【結論】マウスの子宮内膜に類似した新たな子宮内膜オルガノイドを樹立し、体外で一連の着床現象を再現することができるin vitro着床モデルの樹立に世界で初めて成功した。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
子宮内膜上皮細胞と子宮内膜間質細胞を3次元培養した報告は過去にもあるが、体外で一連の着床現象を再現した報告はこれまでにない。その要因としては3次元培養にマトリゲルが必要であることや、上皮の極性が内側に向かい胚盤胞との共培養が困難であったことが挙げられる。我々が作成したミニ子宮内膜は①内部に子宮内膜間質細胞が充満されその外側に上皮細胞が覆っており、②上皮細胞のムチンタンパク質(MUC1)が上皮細胞の外側面に位置しているため胚盤胞を受容できる構造となっており、③培養にマトリゲルを必要としない点を以って体外での着床現象の再現を可能とした。また、共焦点タイムラプスイメージングを用いることで着床の4ステップをリアルタイムに追うことができ、これまでは静的評価のみであった着床現象の動的評価を可能とした。さらに、浸潤した栄養膜細胞は絨毛細胞に分化、周囲の間質細胞は脱落膜化細胞に分化しており、着床後に胚盤胞から胎盤を形成するまでの観察を可能にした。したがって、マウスの子宮内膜に類似した3次元構造体であるミニ子宮内膜を樹立し、体外で一連の着床現象を再現することができるin vitro 着床モデルの作製に成功した。 ヒト子宮内膜のオルガノイドの作製とヒト胚またはヒト人工胚盤胞(ブラストイド)を用いたin vitro着床モデルの作製については、ヒト子宮内膜のオルガノイドの作製に成功しており、ブラストイドの作製に取りかかっている。 上皮に発現する着床に必須な因子であるLIFのノックアウトマウスから作製した子宮内膜オルガノイドを用いて着床現象が阻害されるかをタイムラプスイメージングで観察するまでには至っていないが、LIFのノックアウトマウスは、すでに作製しており、研究の準備は整っている。
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| 今後の研究の推進方策 |
来年度は、1)ヒト子宮内膜オルガノイドおよびヒト胚またはブラストイドを用いたin vitro着床モデルの作製、2)着床不全モデルマウスの作製を行う。 1)ヒト子宮内膜を用いたin vitro着床モデルの作製 本研究では、ブラストイドを用いるが、これは、ナイーブ型iPS細胞から誘導して作製する。この方法については、この分野の専門家である山口大学大学院医学系研究科システムズ再生・病態医科学講座の清木誠教授からの指導を受け迅速に進める。また、廃棄胚を用いることも想定しており、当院の倫理委員会にすでに申請し、承認後には日本産科婦人科学会へも使用の申請をする準備をしている。 2)着床不全モデルマウスの作製 着床不全マウスモデルであるLIFノックアウトマウスの作製については、当院でヘテロの雌雄での繁殖を試みたが効率よくホモのLIFノックアウトマウスを得ることが難しかった。そのため、金沢大学疾患モデル総合研究センター(研究分担者の大黒多希子教授)からホモのLIFノックアウトマウスを譲渡していただくことで、研究を迅速に進める。
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