研究課題/領域番号 |
23K27754
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補助金の研究課題番号 |
23H03063 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56060:眼科学関連
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
山口 剛史 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20383771)
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研究分担者 |
石垣 和慶 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (00790338)
金蔵 孝介 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (10508568)
植田 幸嗣 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター がんオーダーメイド医療開発プロジェクト, プロジェクトリーダー (10509110)
比嘉 一成 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60398782)
野間 久史 統計数理研究所, 学際統計数理研究系, 教授 (70633486)
吉野 純 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 特任准教授 (80383777)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
2025年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 難治性水疱性角膜症 / 前房環境 / 細胞老化 / 治療薬 / 前房関連角膜内皮症 / 虹彩萎縮 / 角膜内皮細胞 / 角膜移植 / 環境 / ニコチナミドモノヌクレオチド |
研究開始時の研究の概要 |
移植医療におけて「移植する環境・場」と「移植される細胞」の相互作用は明らかになっていない。ドナー角膜の提供が少なく多くの患者が角膜を待機する我が国おいて、角膜移植予後の改善は喫緊の課題である。角膜内皮細胞は免疫特権のある前房に存在するため拒絶反応は起きにくいが、慢性的に減少し「角膜移植片機能不全」の原因となる。本研究では、角膜内皮細胞の減少の原因の病態解明を通じて、角膜移植予後の改善を目指す。
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研究実績の概要 |
DBA2Jの8/50週(対照群:BALBc)で①角膜内皮細胞の老化・細胞死関連遺伝子の発現 ②電子顕微鏡の細胞内構造の観察、③蛍光染色(免疫染色、ミトコンドリア染色)を行った。NMNを経口摂取(0/100/300mg/kg/day)投与し、角膜内皮細胞の減少がNMN投与で抑制されることを3回の追試で確認した。さらに角膜内の角膜内皮細胞の老化・内皮間葉転換・細胞死関連のfibronectin1/snai1 /p16ink4A/p21/bcl2/acta2/rspondinをPCRで定量し、2回の追試でp16が有意に50週齢で上昇しているもののNMN投与では変化がないこと、bcl2が有意にNMN300で抑制されることを確認した。角膜組織全体で行ったmRNAで想定よりも差がないため、2024年度は角膜上皮を擦過除去して角膜内皮細胞(一部実質細胞が入ってしまうが)だけのmRNA変化を観察するなど方法を改善して追試する予定である。JC-1を用いて虹彩萎縮発症前後のミトコンドリア膜電位の変化を調べ、データを得た。さらに、ヒト角膜内皮細胞(海外アイバンクから輸入)を正常前房水と水疱性角膜症の前房水に入れ24-48時間培養し、NMN付加で角膜内皮細胞の障害が軽減されること、ミトコンドリア膜電位が維持されることを確認した。さらに同実験でNMN付加の有無で、角膜内皮細胞のTranscriptome解析を行った(データ解析中)。また、SA-βGal組織染色でNMN投与の有無での細胞老化の実験を培養内皮細胞で行い、条件設定を最適化しているが(過酸化水素の濃度や培養条件など)染色はうまくいっており、細胞老化を評価できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスでのサイトカイン濃度は微量検体キットの販売中止でできなかったが、その他、DBA2Jを用いた研究、輸入角膜を用いた研究は順調に進み、2-3回の再検をして仮設通りの結果が得られている。Transcriptomeのデータ解析中であるが、RIN・解析データはとれており、概ね計画通りに研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
角膜内皮細胞注入治療は京都府立医科大学が中心に進んでおり、日本の研究が国際的にみても優位であるが、国際学会で同様の細胞治療のベンチャーが立ち上がってきて、外来で細胞注入が可能だったり、術後の体位制限がないなど、日本の治療に比べ優位性をアピールするベンチャー企業がでてきている。治療成績に最も差がつくのが、我々が提唱する前房関連角膜内皮症という難治性疾患であり、本研究を進めながら、「前房関連角膜内皮症」の概念を提唱する総説論文を2024年中にPublishさせて、その治療法を本研究でしっかりと進めて、国内の角膜内皮細胞注入治療法の優位性を確立することに貢献していきたい。
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