研究課題/領域番号 |
23K27776
|
補助金の研究課題番号 |
23H03086 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
天雲 太一 東北大学, 大学病院, 講師 (80451425)
|
研究分担者 |
依田 信裕 東北大学, 歯学研究科, 教授 (20451601)
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 非常勤講師 (30178644)
小川 徹 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (50372321)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
|
キーワード | リン酸カルシウム / インプラント周囲炎 / オステオインテグレーション / ラジカル殺菌療法 / 組織再生 / 遺伝子導入 / アミロライド / アルギニン / ヒドロキシラジカル / コラーゲン |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では、細菌‐銀‐UVA照射処置によって、なぜヒドロキシラジカルが発生するのか、そのメカニズムを解明していく。また、インプラント治療後の骨の再付着を妨げている要因の一つに、インプラント体除菌後の表面の大部分に最初に上皮細胞が侵入することが考えられることから、骨細胞を積極的に誘導するscaffoldが必要になる。そこで、骨形成や血管形成に関連する細胞の遊走や付着を促進するZnやMgイオンなどの金属イオンを含有し遺伝子導入機能も有する多機能性scaffoldを開発する。その後、上記技術を統合することで、殺菌と積極的な骨付着の再獲得をする包括的なインプラント周囲炎治療の確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
骨関連細胞特異的遺伝子導入剤の開発:アミロライド溶液とオクタアルギニンでコーティングしたリン酸カルシウム遺伝子導入キャリアーを含有したコラーゲンscaffold(以下CaP/R8)を作製し、ラット頭蓋骨上に移植し、生体毒性、遺伝子導入効率、骨形成量を免疫組織学的、生化学的、形態学的に評価した。その結果、生体毒性はアミロライドの濃度に依存すること、CaP/R8はポリエチレンイミン系遺伝子導入剤よりも高い遺伝子導入効率を示し、骨誘導能が高いことを明らかにした。その成果について現在 論文にまとめている。 銀-UVA 照射療法による殺菌メカニズム解明:EDX、NMRの結果から細菌と銀イオンを適用しても、銀イオンは細菌内外の水酸基やカルボキシル基、メチル基とは化学的な結合をしていないことが明らかとなった。このことから、銀と細菌が化学的に結合したものにUVAが反応してヒドロキシラジカルが発生している可能性が低いことが示唆された。 機械刺激応答チャネルの組織再生療法への応用:piezo1を遺伝子導入によって強制発現させたMC3T3E1細胞やMLO-Y4細胞に、細胞圧縮刺激を加えたところ、piezo1を強制発現させていない細胞群と比較して遺伝子発現レベルで硬組織形成能が有意に高くなることをinvitroで確認した。 多機能性scaffoldの開発:金属イオンを含有したコラーゲンscaffoldの作製に関し、ICP-OSE、EDXの結果から、単独もしくは複数の金属イオンを含有したコラーゲンの作製に成功した。また、そのコラーゲンの線維方向は方向性を示すこと、金属イオンの分布、コラーゲンとの付着もしくは結合状態についてFT-IRで評価した。その結果、コラーゲン全体ではなく、ある一面に密集することを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、細菌ー銀‐UVA照射処置における、銀イオンと細菌の付着や結合に関する関係性について検討を行った。また、骨特異的細胞遺伝子導入キャリアーの生体応用及び、金属イオン配合コラーゲンscaffoldの開発し、その物性を評価するなど、概ね順調に進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
骨関連細胞特異的遺伝子導入剤の開発:in vivoでのこれまでの成果を国際英文雑誌に投稿する。銀-UVA 照射療法による殺菌メカニズム解明:ヒドロキシラジカルが発生するメカニズムについては、細胞代謝の側面から、引き続き探求していく。機械刺激応答チャネルの組織再生療法への応用:piezo1の強制発現した骨形成関連細胞と機械刺激(圧縮率、圧縮スピード)の関係性をinvitroで評価していく。また、インプラント周囲炎モデルに対し、piezo1の遺伝子導入治療を適用し、骨形成能を免疫組織学的に評価していく。多機能性scaffoldの開発:作成条件を変えて、金属イオンの分布、コラーゲンとの付着もしくは結合状態について引き続き評価する。また、各種細胞の親和性や反応性、引張試験や圧縮試験などの物理的特徴の分析、invivoでの生体親和性、組織置換性を評価していく。さらに、遺伝子導入機構を取り込んだscaffoldに発展させ、硬組織形成能を免疫組織学的に評価していく。
|