研究課題/領域番号 |
23K27779
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補助金の研究課題番号 |
23H03089 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
原田 英光 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70271210)
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研究分担者 |
池崎 晶二郎 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (00849276)
大津 圭史 岩手医科大学, 歯学部, 特任教授 (60509066)
熊上 深香 (坂野深香) 岩手医科大学, 歯学部, 研究員 (30710826)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2026年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | ヘルトビッヒ上皮鞘 / セメント質 / 歯根膜 / 歯小嚢 / 再生 / セメント質再生 / Hertwig上皮鞘 / 歯小嚢細胞 / チタンインプラント / セメント芽細胞 / HERS / basement membrane / regenerative medicine / cementum |
研究開始時の研究の概要 |
歯根の成長過程では歯根象牙質の表層に歯小嚢細胞が遊走してセメント芽細胞に分化する。Hertwig上皮鞘(HERS)が歯根象牙質に形成した基底膜が,歯小嚢細胞の接着とセメント芽細胞への分化誘導,さらにはセメント質形成に深く関わると考えた。一方,我々が樹立したHERS細胞株はハイドロキシアパタイトに強固に接着し,またこの細胞の分泌物で処理した培養皿上では,歯小嚢細胞がセメント芽細胞様に分化することを見出した。そこでこの細胞株を利用して,HERSが象牙質表面に形成する膜の構成成分の探索,セメント質形成機構の解明,セメント質の再生を誘導するコート剤ならびに歯根膜付きインプラントの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
歯根の成長過程で歯根象牙質の歯根膜側では歯小嚢細胞が遊走してセメント芽細胞に分化し,セメント質を形成する。しかし,歯小嚢細胞が象牙質表面でセメント芽細胞に分化するメカニズムは不明である。電子顕微鏡で観察すると,象牙質表面には形成中のセメント質との結合面に特別な膜構造が観察された。この膜は,Hertwig上皮鞘(HERS)が歯根象牙質表面に形成した基底膜で,歯小嚢細胞の接着とセメント芽細胞への分化誘導,さらにはセメント質形成に深く関わると考えた。一方,我々が樹立したHERS細胞株は他の上皮細胞に比べてハイドロキシアパタイトに強固に接着することを見出した。さらに我々が独自に開発したコート方法で,HERS細胞の分泌物を処理した培養皿上では,歯小嚢細胞が数十分で接着してセメント芽細胞様に分化することを見出した。以上の研究成果と技術開発を背景に,本研究ではこの細胞株を利用してHERSが象牙質表面に形成する膜の構成成分を明らかにする。さらに,セメント質形成メカニズムを解明すると同時に,セメント質の再生を誘導する新規歯周病治療のためのコーティング剤ならびに歯根膜付きインプラントの開発を目指していく。2023年度は,HERS02Tが分泌する基底膜成分の解析を中心に行った。HERS02Tがチタン培養皿に接着したあと,酵素を用いないで細胞を剥離してチタンに付着したタンパク成分を質量分析装置によって網羅的に解析した。その結果約20種類の基底膜成分を同定できた。その中でチタンへの接着性を有するものや基底膜の構造に関わるもの,細胞の接着に関わるもの細胞の遊走や増殖に関わる因子などを整理して,これらのタンパク複合体の有用性について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯根の成長過程で歯根象牙質の歯根膜側では歯小嚢細胞が遊走してセメント芽細胞に分化し,セメント質を形成する。しかし,歯小嚢細胞が象牙質表面でセメント芽細胞に分化するメカニズムは不明である。電子顕微鏡で観察すると,象牙質表面には形成中のセメント質との結合面に特別な膜構造が観察された。この膜は,Hertwig上皮鞘(HERS)が歯根象牙質表面に形成した基底膜で,歯小嚢細胞の接着とセメント芽細胞への分化誘導,さらにはセメント質形成に深く関わると考えた。一方,我々が樹立したHERS細胞株は他の上皮細胞に比べてハイドロキシアパタイトに強固に接着することを見出した。さらに我々が独自に開発したコート方法で,HERS細胞の分泌物を処理した培養皿上では,歯小嚢細胞が数十分で接着してセメント芽細胞様に分化することを見出した。以上の研究成果と技術開発を背景に,本研究ではこの細胞株を利用してHERSが象牙質表面に形成する膜の構成成分を明らかにする。さらに,セメント質形成メカニズムを解明すると同時に,セメント質の再生を誘導する新規歯周病治療のためのコーティング剤ならびに歯根膜付きインプラントの開発を目指していく。2023年度は,HERS02Tが分泌する基底膜成分の解析を中心に行った。HERS02Tがチタン培養皿に接着したあと,酵素を用いないで細胞を剥離してチタンに付着したタンパク成分を質量分析装置によって網羅的に解析した。その結果約20種類の基底膜成分を同定できた。その中でチタンへの接着性を有するものや基底膜の構造に関わるもの,細胞の接着に関わるもの細胞の遊走や増殖に関わる因子などを整理して,これらのタンパク複合体の有用性について検討を進めている。さらに,HERS02Tから基底膜成分を抽出するための自動培養システム,および抽出物に関する特許申請を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度ではアパタイトあるいはチタン表面にHERS02T細胞が分泌する基底膜成分を約20種類同定した。2024年度は20種類中のタンパクの特性を考慮しながら,それらの組み合わせを用いて歯小嚢細胞をセメント芽細胞に分化誘導させて,セメント質を再生させることが可能かどうかを検討する。まずは,これらのタンパクのリコンビナントプロテインの作製あるいは市販品を購入して,どのような組み合わせが最も効果的かをin vitroの実験で検討する。また,HERS02Tが分泌する基底膜成分をマウス頭部に移植したチタンにコートして,組織学的にあるいは生化学的にセメント質の再生を評価する。その後,in vitroのデータを参考にしながら,20種類の中のリコンビナントプロテイン複合体を用いたコート剤で上記と同様のin vivoの実験を行う。2023年度の研究では歯小嚢細胞がセメント芽細胞に分化したかを,アルカリファスファターゼ活性の上昇やアリザリンレッドによる石灰化能によって評価してきたが,2024年度はこの研究をさらに推し進めてセメント芽細胞への分化過程での分化関連遺伝子やセメント芽細胞特異的な遺伝子発現等について免疫組織学的にまた分子生物学的に解析を進める。
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