研究課題/領域番号 |
23K27791
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補助金の研究課題番号 |
23H03101 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
日浅 雅博 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (90511337)
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研究分担者 |
遠藤 逸朗 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10432759)
原田 武志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (10618359)
寺町 順平 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (20515986)
米田 俊之 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (80142313)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2026年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 骨転移 / 骨細胞 / 多発性骨髄腫 |
研究開始時の研究の概要 |
がんの骨転移と骨関連事象の治療に用いられる骨吸収阻害薬は顎骨壊死の発生との関連が指摘されており、これに代わる治療法を見出すことは歯科医療の重大な臨床課題の一つである。申請者は、がんの骨転移に先立つ骨細胞の萎縮と数の減少が、がんの骨転移の拡大を許容し促進させるに好適な前(プレ)転移骨髄微小環境 “ニッチ” を提供する可能性を見出した。そこで本研究では、マウスモデルを用い、骨細胞の萎縮や減少を背景とした骨転移メカニズムを実験的に解明し、骨細胞を保護するための標的探索とその有効性の検証、治療薬の開発を行い、顎骨壊死のリスクの少ない腫瘍抑制性ニッチを誘導する画期的な骨転移治療戦略を創造する。
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研究実績の概要 |
がんの骨転移と骨関連事象の治療に用いられる骨吸収阻害薬は顎骨壊死の発生との関連が指摘されており、これに代わる治療法を見出すことは歯科医療における重大な臨床課題の一つである。これまでに、がん細胞が存在する骨だけでなく、転移巣が観察される前の骨でも骨細胞の萎縮と数の減少がみられることを見出した。しかし、転移に先立ち起こる進展母地となる骨の骨細胞の萎縮や数の減少が、がんの発生や転移拡大を許容し促進させるに好適な前(プレ)転移骨髄微小環境 “ニッチ” を提供するかどうか、また骨転移がんに対し骨細胞を保護することの治療的メリットも不明である。 そこで、In vitroで骨芽細胞を骨基質に埋没するまで分化させ作成した骨細胞と骨髄腫細胞を共培養すると、骨細胞は骨髄腫細胞の生存増殖因子であるPIM2の発現を低下させた。また、嫌気的解糖系の抑制とミトコンドリア生合成を促すことにより腫瘍抑制因子として働くAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化(リン酸化)し、骨髄腫細胞の増殖の抑制がみられた。 次に、骨細胞を欠く状況では骨転移は促進するのかどうかを明らかとするため、ジフテリア毒素(DT)投与で任意に骨細胞を除去できるDmp1-HBEGFマウス(Cell Metab. 5(6):464-475, 2007)を入手し、syngenicに移植可能なVk12598骨髄腫細胞の移植し、その進行を評価することとした。IVISイメージングで生きたまま経時的に評価を行うために、まずはVk12598骨髄腫細胞にGFP-Luc遺伝子を導入し、FACSソーティングで回収し生体内で増殖させ、移植可能な状態にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨細胞が発揮する抗がん、抗骨転移機能の分子メカニズムとして、骨細胞は骨髄腫細胞の生存増殖因子であるPIM2の発現低下とAMPKのリン酸化が明らかになりつつある。また、遺伝子改変マウスを用い、免疫を有したままライブイメージングが可能な同系移植骨髄腫マウスモデルはこれまで確立されていなかったが、Vk12598-GFP-Luc細胞が回収できたことで観察が可能になりつつあることから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
骨細胞のアポトーシス、数減少部位とがんの骨転移との関連を解明するため、Vk12598-Luc骨髄腫細胞をDmp-HBEGFマウスに移植し、骨細胞を欠く独自の同系移植骨髄腫マウスモデルを作成し、骨細胞の骨髄腫病態での役割を解明する。DTの投与量を調節し、死滅させる骨細胞数を変化させ、IVISによる画像と腫瘍マーカーのM蛋白IgG2bκの血中濃度により、腫瘍の位置と増大を経時的に追跡し、移植効率、進展速度、骨病変形成などを比較し、どの程度の骨細胞の死滅が骨髄腫の腫瘍進展や増殖を促進するか明らかにする。他のがんについても同様の現象を示すかE0771-Luc乳がん細胞を用いて検討する。さらに、骨細胞がアポトーシスを起こす骨の部位をAnnexin Vivo 750 近赤外蛍光プローブを用いて特定し、腫瘍進展の経時的変化と併せて、骨細胞のアポトーシス部位と骨転移に先立つ骨細胞のアポトーシスをin vivo ライブイメージングでの証明を試みる。 転移に先立ち、がん細胞が転移標的骨の骨細胞を排除する病態メカニズムを検討する。転移が見られる前のがん細胞の存在が確認されない骨においても、骨細胞の萎縮や数の減少が見られたことから、転移に先立ちがん細胞が骨細胞を排除するメカニズムには全身を循環する液性因子による可能性が考えられる。そこで、骨細胞の萎縮や細胞死を誘導する骨髄腫由来新規分子の同定を目的に、顕著な骨病変形成を引き起こす骨髄腫細胞から分泌されるタンパク質の網羅的解析(Secretome解析)を行う。クラスター解析により得られた候補因子は、骨細胞株IDG-SW3に添加し、樹状突起伸長計測とAnnexinV-PI FACS解析、CCK8アッセイ等により、骨細胞に萎縮やアポトーシスを誘導するかを確認する。
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