研究課題/領域番号 |
23K27811
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補助金の研究課題番号 |
23H03121 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
平野 浩彦 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (10271561)
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研究分担者 |
山本 敏之 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院 脳神経内科診療部, 医長 (20602246)
福本 裕 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院 総合外科部, 医長 (20626890)
岩崎 正則 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (80584614)
有阪 直哉 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (40759403)
本川 佳子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60782026)
枝広 あや子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90433945)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 口腔機能 / 摂食嚥下障害 / 高齢者 / 神経筋疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
医療保険病名として「口腔機能低下症」が採用されたが、口腔機能低下症の診断アルゴリズム、さらには診断に基づいた管理方法は十分に確立されていない。 本研究では、地域在住高齢者および要介護高齢者(神経筋疾患患者、認知症患者含む)を対象とし、①口腔機能低下から摂食嚥下機能低下への変遷の実態(発現率、疾患構造など)の把握、②口腔機能低下から摂食嚥下機能低下への変遷に伴い生じるリスク(栄養、身体機能など)の把握、を行う。さらに、一連の機能低下進行に沿った系統立った支援・対応策を検討するための「高齢期口腔機能および摂食嚥下機能の包括的評価システム」の考案を最終的な目標として研究を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究では、地域在住高齢者および要介護高齢者(神経筋疾患患者、認知症患者含む)を対象とし、口腔機能低下から摂食嚥下機能低下への変遷、およびそれに伴い生じるリスクの把握を行う。さらに、一連の機能低下進行に沿った系統立った支援・対応策を検討するための「高齢期口腔機能および摂食嚥下機能の包括的評価システム」の考案を最終的な目標としている。本年度は、各調査フィールドにおける調査の実施およびデータベースの構築を行った。 ①地域在住高齢者を対象とした調査結果 高齢期のほか、壮年期も対象に調査を行い、年代別の口腔機能低下の様相について検討を行った。対象は677名(男性290名、女性387名)で、40歳代が51名、50歳代が66名、60歳代が168名、70歳代が271名、80歳代が121名であった。口腔機能低下症の有病率は、40歳代で5.9%、50歳代で10.6%、60歳代で16.7%、70歳代で26.2%、80歳代で47.9%であり、加齢とともに上昇する傾向を示した。また口腔機能低下症の下位症状の各項目においては、加齢とともにTCI(Tongue Coating Index)およびEAT-10の値は増加し、咬合力、ODK(オーラルディアドコキネシス)、舌圧、およびグミスコアの値は低下する傾向を示した。 ②神経筋疾患患者を対象とした調査結果 対象は、74名(男性37名、女性37名、平均58.3±18.1歳)であった。主病名は、パーキンソン病(20.3%)、筋ジストロフィー(18.9%)、多系統萎縮症(13.5%)の順に多かった。また口腔機能低下症の基準に該当する各下位症状の項目の割合は、ODK(78.9%)、舌圧(55.4%)、TCI(50.0%)の順に高かった。さらにVF検査を行った結果、誤嚥(14.9%)、喉頭蓋谷の残留(36.5%)、梨状陥凹の残留(25.7%)の所見を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
要介護高齢者のうち、認知症患者を対象とした調査については一部計画通りに実施できなかった。しかし、新たに壮年期を対象とした調査を実施したため、口腔機能低下の様相をより明確化することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
壮年期を含めた解析結果より、口腔機能低下症の有病率は加齢とともに上昇するが、下位症状については加齢との関係が一様ではないことが示唆された。また、神経筋疾患患者を対象とした調査から、口腔機能低下症の評価基準に該当する者の割合よび各口腔機能の結果や摂食嚥下障害の実態を明らかにすることができた。今後、認知症高齢者も含めてさらに経年的にデータを構築し、口腔機能低下から摂食嚥下機能低下への変遷の実態を把握する。 また、「高齢期口腔機能および摂食嚥下機能の包括的評価システム」を考案するため、評価のアルゴリズムの決定に向けた検討を進める。
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