研究課題/領域番号 |
23K27838
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補助金の研究課題番号 |
23H03148 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
及川 伸二 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (10277006)
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研究分担者 |
村田 真理子 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 教授 (10171141)
新堂 晃大 三重大学, 医学系研究科, 教授 (60422820)
小林 果 三重大学, 医学系研究科, 講師 (70542091)
冨本 秀和 三重大学, 医学系研究科, 特定教授 (80324648)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 若年性アルツハイマー病 / 血液バイオマーカー / 酸化ストレス / プロテオミクス |
研究開始時の研究の概要 |
若年性アルツハイマー病は、65歳以前に発症する認知症性疾患で、高齢者の認知症に比べ罹患数は少ないが、子育てや就労している年齢であるため、その継続が難しく本人や家族の生活に多大な影響がある。従って、早期発見による支援や疾患修飾薬による早期治療が喫緊の課題であるが、診断の遅れが問題となっている。若年性アルツハイマー病の原因は未だ不明であるが、患者の多くは孤発性で多因子疾患として環境因子がその発症に深く関与していることが報告されている。本研究では、環境因子のひとつと考えられる酸化ストレスに注目し、若年性アルツハイマー病の原因解明と早期検出可能な血液バイオマーカーの探索を行う。
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研究実績の概要 |
若年性アルツハイマー病は65歳以前に発症する認知症性疾患であるが、記憶障害よりも失語・失行・失認などの高次脳機能障害で発症するなど認知症が目立たない様々な初期症状が現れることがある。産業医やかかりつけ医を受診しても若い世代でも認知症を発症することが十分知られていないこともあり、進行してから認知症と診断されることが問題となっている。また、若年で病状が進行していくことから、就労継続が難しく本人や家族の生活に多大な影響を及ぼし、早期発見・早期治療・早期支援が喫緊の課題である。本研究でリキッドバイオプシーによる若年性アルツハイマー病の早期スクリーニング法が確立できれば、ハイリスク患者を効率的に抽出することで、認知症専門医や若年性認知症支援コーディネーターに早期に橋渡しでき、患者の早期治療や就労継続支援に繋がる。孤発性の若年性アルツハイマー病の原因は未だ不明であるが、原因のひとつとして環境因子として生活習慣病などと密接に関係しており、酸化ストレスの関与が示唆される。 現在までに、倫理委員会の承認取得後、三重大学病院の脳神経内科およびもの忘れ外来を受診している若年性アルツハイマー病患者の病状、年齢、性別などを考慮し採血を行う患者を認知症専門医と協議し選定を行っている。その中から数名、インフォームドコンセントに基づき採血を実施した。採血後遅滞なく血液成分に分離し、-80℃に保存した。その後、早期バイオマーカーを探索するためのタンパク質が十分量回収できるか、血漿からタンパク質を精製、濃縮、定量し確認を行い-80℃に保存した。また、原因解明のために酸化ストレス状態を確認できるだけサンプル量はあるかについても確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
若年性アルツハイマー病の原因に酸化ストレスが関与していることを解明し、早期バイオマーカーを探索することを目的に、本年度は若年性アルツハイマー病患者からの血液の採取を行った。採取した血液は、遠心分離を行い血清と血球成分に分離し、それぞれ-80℃に保存した。まず、血清の一部から、アフィニティカラムを用いて高濃度タンパク質を除去し、2次元用タンパク質抽出キットを用いてタンパク質を抽出及び濃縮し、ブラッドフォード法によりタンパク質の定量を行いポリアクリルアミドゲルを用いて確認した。また、本研究では蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動法-マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型質量分析計による解析を行うが、三重大学に高精度な四重極飛行時間型質量分析計Q-TOFが新たに導入されたため、Q-TOFを用いた解析の可能性について、タンパク質抽出液を直接Q-TOFを用いて解析を行い、高精度でタンパク質の同定ができることを確かめた。また、酸化ストレス状態の評価においては、細胞から全血中DNA抽出用キットを用いて、抽出中の酸化防止のための手法を併用しDNAを抽出後、DNA鎖切断酵素、リン酸基除去酵素を用いて各塩基まで分解し、電気化学検出器付高速液体クロマトグラフィーにて酸化損傷塩基を定量した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、引き続き実験を進め、認知症専門医と共に若年性アルツハイマー病患者からの血液の採取、成分分離を継続する。早期バイオマーカーの探索については、従来の方法に加え、Q-TOF利用の可能性についても確認を進めていく。今後Q-TOFの定量性について検討を行い、またQ-TOFは高精度のうえ多量のデータの取得が可能となるため、その解析方法の構築が何処まで行えるのかについても検討を進める。酸化ストレス状態の評価は、酸化損傷塩基に加え過酸化脂質、抗酸化酵素などについても検討を行っていく。また、若年性アルツハイマー病は生活の質の維持が難しいため、治療法の開発にも繋がる、アルツハイマー病の初期に蓄積が認められその原因候補と考えられているβ-アミロイド凝集抑制抗酸化物質の有効性と安全性についても検討を行っていく。
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