研究課題/領域番号 |
23K27839
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補助金の研究課題番号 |
23H03149 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
高野 裕久 京都先端科学大学, 国際学術研究院, 特任教授 (60281698)
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研究分担者 |
奥田 知明 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (30348809)
濱口 真英 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80350883)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2025年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2024年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | PM2.5 / 糖尿病 / 悪化 / 構成成分 / 発生源 |
研究開始時の研究の概要 |
一般環境中より採取した構成成分組成や発生源の異なるPM2.5を対象とし、その経気道曝露が2型糖尿病の発症・悪化に及ぼす影響を評価する。また、肺局所における免疫・炎症応答と遠隔臓器への波及効果に焦点を当て、影響発現メカニズムを明らかにする。一方、影響悪化に寄与する成分組成や発生源を同定する。以上により、PM2.5による糖尿病の発症・悪化という疫学的知見に生物学的妥当性を付与するとともに、糖尿病に対する環境学的対策の有用性を新たに提案する。
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研究実績の概要 |
以下の三つの研究計画を進めた。 (1)PM2.5経気道曝露による糖尿病の発症・悪化影響の評価、及び、肺局所の免疫・炎症応答と粒子局在の解析(担当:高野・濵口) (2)PM2.5経気道曝露時の遠隔臓器への波及効果に注目した影響発現メカニズムの解明(担当:濵口・高野) (3)PM2.5の成分分析と影響悪化に寄与する成分組成や発生源の同定 (担当:奥田・高野・濱口) 本年度は第一年度として、(1)PM2.5経気道曝露による糖尿病の発症・悪化影響の評価、及び、肺局所の免疫・炎症応答と粒子局在の解析では、高脂肪高ショ糖食給餌糖尿病モデルマウスにディーゼル排気粒子(DEP)を経気道曝露し糖尿病及び脂肪肝が悪化することを確認した。マクロファージ(Mφ)、自然リンパ球(ILC)に焦点を当て、免疫組織・細胞学的解析を行った。DEPは、肺で1・2・3型自然リンパ球(ILC1、ILC2、ILC3)と M1 Mφを増加させ、肝臓でILC1、ILC3、M1 Mφ、及びNK細胞を増加させた。(2)PM2.5経気道曝露時の遠隔臓器への波及効果に注目した影響発現メカニズムの解明ではDEPを経気道曝露したマウスの血清サイトカイン濃度を定量した。DEP曝露によりIL-4、IL-5、IL-13、IFN-γが上昇し、これらが炎症を肝臓に波及させることを検出した。(3)PM2.5の成分分析と影響悪化に寄与する成分組成や発生源の同定に関しては、(1)(2)で経気道曝露するPM2.5は奥田が開発したサイクロン式サンプラーで既に採取し、成分分析を実施済みのサンプルとした。先行研究でPM2.5粒子の化学成分、生物成分解析を既に実施している。一方、複数地域におけるPM2.5粒子の採取と成分分析は今年度も継続し、以後の研究計画に備えた。また曝露に供したPM2.5粒子の発生源推定をすすめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画は、「(1)PM2.5経気道曝露による糖尿病の発症・悪化影響の評価、及び、肺局所の免疫・炎症応答と粒子局在の解析(担当:高野・濵口)では、高脂肪高ショ糖食給餌糖尿病モデルに、ディーゼル排気粒子(DEP)やサイクロン装置により国内外で採取したPM2.5(基本的に成分分析は実施済み)粒子を経気道曝露する。曝露後に、体重、各種生化学検査、インスリン抵抗性、インスリン分泌能等、糖尿病の発症・悪化を検出する。また、マクロファージ、自然リンパ球に焦点を当て免疫組織・細胞学的解析を行う。免疫・炎症応答関連遺伝子の発現も解析する。脂肪肝や腸管組織、腸内環境についても解析を進める。(2)PM2.5経気道曝露時の遠隔臓器への波及効果に注目した影響発現メカニズムの解明(担当:濵口・高野)では、DEPを経気道曝露したマウスにおいて、血液中のサイトカイン濃度を定量する。また、膵臓、肝臓等への波及影響についても解析する。(3)PM2.5の成分分析と影響悪化に寄与する成分組成や発生源の同定 (担当:奥田・高野・濱口)に関し、(1)(2)で経気道曝露するPM2.5は、奥田が開発したサイクロン式サンプラーで既に採取し、成分分析を実施済みのサンプルとする。先行研究で、PM2.5粒子の化学成分、生物成分解析を既に実施している。一方、複数地域におけるPM2.5粒子の採取と成分分析は今年度も継続し、以後の研究計画に備える。また、曝露に供したPM2.5粒子の発生源推定をすすめる。」というものであった。研究実績の概要に記述したように、研究計画はほぼ達成されたと判断されたため、おおむね順調を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画では、一般環境中の成分組成や発生源の異なるPM2.5やDEPを対象とし、その経気道曝露が2型糖尿病の発症・悪化に及ぼす影響を評価する。また、肺局所における免疫・炎症応答と遠隔臓器への波及効果に焦点を当て、影響発現メカニズムを明らかにする。一方、影響悪化に寄与する成分組成や発生源を同定する。目的を達成するため、昨年度に続き、以下の三つの研究計画を進めていく。 (1)PM2.5経気道曝露による糖尿病の発症・悪化影響の評価、及び、肺局所の免疫・炎症応答と粒子局在の解析(担当:高野・濵口) (2)PM2.5経気道曝露時の遠隔臓器への波及効果に注目した影響発現メカニズムの解明(担当:濵口・高野) (3)PM2.5の成分分析と影響悪化に寄与する成分組成や発生源の同定 (担当:奥田・高野・濱口) 本年度は、第二年度として、(1)PM2.5経気道曝露による糖尿病の発症・悪化影響の評価、及び、肺局所の免疫・炎症応答と粒子局在の解析(担当:高野・濵口)では、高脂肪高ショ糖食給餌糖尿病モデルマウスに複数地域や時期で採取したPM2.5を慢性的に経気道曝露し、糖尿病の発症・悪化影響の評価、及び、肺局所の免疫・炎症応答と粒子局在の解析を行い、PM2.5の採取地域や時期等の差異による健康影響の有無の差異を検討する。(2)PM2.5経気道曝露時の遠隔臓器への波及効果に注目した影響発現メカニズムの解明(担当:濵口・高野)では、複数地域や時期で採取したPM2.5を経気道曝露したモデルにおいて、血液中の炎症性サイトカインの測定を行う。(3)PM2.5の成分分析と影響悪化に寄与する成分組成や発生源の同定 (担当:奥田・高野・濱口)では、今後も、国内外の複数地点・季節・粒径が異なる複数の粒子サンプルの成分分析を進め、実験の進捗に合わせて曝露実験に提供する。PM2.5の健康影響寄与要因の探索に向け、計画を進める。
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