研究課題/領域番号 |
23K27846
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補助金の研究課題番号 |
23H03156 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
榎原 毅 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (50405156)
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研究分担者 |
林 香月 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00405200)
鎌倉 快之 大阪工業大学, 情報科学部, 准教授 (60635423)
堀 寧 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (90781302)
山田 泰行 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (80531293)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | Ergonomics / Endoscopy / MSDs / sensing technology / 筋骨格系障害 / 人間工学 / 内視鏡治療 / micro surgery / ergonomics |
研究開始時の研究の概要 |
近年、高度内視鏡治療技術の進化はめまぐるしい。それに伴い、内視鏡医は長時間の上肢保持や立位姿勢、手首の屈曲把持動作といった同一拘束姿勢を強いられるため、首・肩、腰、手首において難治性の筋骨格系障害(MSDs)を訴える医療従事者が増えている。そこで、本研究では人間工学、AIデータサイエンス、内視鏡医師・看護師、整形外科医、理学療法士、科学コミュニケーション等の各専門家による学際チームを編成し、治療時の「顔表情×動作×発話」のセンシング情報を活用し、マルチモーダル・AI技術を活用した医療従事者のMSDs発症予防モニタリングシステムの開発および医療フィールドでの実証研究を行う。
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研究実績の概要 |
「内視鏡医療従事者が難治性の筋骨格系障害(MSDs)に苦しんでいる」-患者を救うための医療診断・治療技術はめまぐるしい進化を遂げている一方で、医療従事者の安全・健康はなおざりにされている。本研究では人間工学、AIデータサイエンス、内視鏡医師・看護師、整形外科医、理学療法士、科学コミュニケーション等の各専門家による学際チームを編成し、R5年度は「マルチモーダル・AI技術を活用したMSD発症予防モニタリングシステムの開発 」を主に行った。 マルチモーダルなAI技術を活用してMSDsの兆候をとらえるために「動作×顔表情×発話」のバイオセンシング情報を活用したアプローチを採用し、当該年度は本マルチモーダル型MSDs予防モニタリングシステムのパッケージ開発を行った。「動作」については、医療現場で簡便に利用可能なKinectセンサーを用いた動作・姿勢計測システム(EMTES)について、治療室内で複数台のモニターが設置されているなかでリアルタイムに姿勢情報を提示するための情報デザイン・ユーザインタフェイス再設計を行った。「顔表情」検知技術はdlibおよびSVM(Support Vector Machine)を用い、医療現場利用を想定したマスク着用時の顔パーツの特徴点抽出技術を採用した。「発話」については、Layered Voice Analysis (LVA)技術を活用し、発話音声を録音する解析する方法を採用した。それらを組合わせた計測パッケージを確立した。 なお、本技術開発は内視鏡治療にとどまらず、脳外科手術など長時間拘束される手術現場での応用・拡大も可能であることから、試験実装フィールドとして内視鏡治療室・外科手術室での利用も見据えた開発を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R5年度の目標である「マルチモーダル・AI技術を活用したMSD発症予防モニタリングシステムの開発」を達成した。また、R6年度に実施予定の「研究2: 医療フィールド実証調査による本モニタリングシステムのモデル精度検証」に関して、内視鏡治療室・外科手術室での実証研究のための研究プロトコルを作成し、倫理審査委員会へ研究計画申請をすでに行っており、おおむね予定通り進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
R6年度では「研究2: 医療フィールド実証調査による本モニタリングシステムのモデル精度検証」に取り組む。内視鏡治療室・外科手術室の2フィールドにおいて、消化器内視鏡治療のESD・ERCPを施行する内視鏡医またはマイクロサージャリーを施行する脳神経外科医師を対象に実証研究を実施する。 姿勢・動作、表情、音声のマルチモーダル・センシング情報を組み合わせたMSDs発症予防モニタリングシステムの開発のために必要となる基礎データを収集する。産業医科大学・名古屋市立大学ほか計4施設による多施設共同研究により、150例程度のデータを収集予定である。 計測方法は、手術中の対象者の姿勢・動作をネットワークカメラとEMTESシステム(Kinect)の計2台または3台使用し、対象者の表情および矢状面・前額面の姿勢・動作・表情を撮影する。音声についてはポータブルの指向性ピンマイクを対象者の襟元に装着し、録音する。 解析については、EMTESの標準解析では5フレーム(/s)のデータを録画し、その録画データからEMTESシステムで解剖学的計測点32点の3次元空間座標を計測する。併せて、ネットワークカメラによる録画データから機械学習用フレームワークであるMediaPipe(Google社)を用いて、3次元座標の頸部角度・体幹角度などの変数を生成する。生成した変数から治療中における同一拘束姿勢、ひねり姿勢、中空保持姿勢の累積時間と関節部位の角度を収集する。顔表情検知に関しては、医療従事者がマスクを常用しているため、68点の顔の特徴点のうち、こめかみ周辺の30点の特徴点を抽出可能なようにMediaPipeを用いて機械学習を行い、それら特徴点を使い、独自の顔特徴点の変数を録画したデータから推定する。
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