研究課題/領域番号 |
23K27936
|
補助金の研究課題番号 |
23H03246 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森山 英樹 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10438111)
|
研究分担者 |
小澤 淳也 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (00435059)
高村 大祐 地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院(第1診療部、第2診療部、第3診療部, 中央市民病院, 理学療法士 (50974896)
赤澤 直紀 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (90789603)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
|
キーワード | 運動 / 慢性炎症 / 理学療法 |
研究開始時の研究の概要 |
運動はあらゆる疾病の改善に効果があるが、その万能ともいえる効能をもつ答えはわかっていない。運動が効く疾病のほとんどで慢性炎症が基盤にある。一方、運動がもつ多様な効能のなかで、特定の臓器や機能に依らず影響を及ぼすものは抗炎症作用のみである。そこで、運動、そして運動の代わりとなる物理療法と運動模倣薬が、慢性炎症を抑制し、疾病を改善する根拠を示すことで、運動が万能ともいえる効能をもつ答えを見出す。
|
研究実績の概要 |
運動はあらゆる疾病の改善に効果があるが、その万能ともいえる効能をもつ答えはわかっていない。運動が効く疾病のほとんどで慢性炎症が基盤にある。一方、運動がもつ多様な効能のなかで、特定の臓器や機能に依らず影響を及ぼすものは抗炎症作用のみである。本研究では、運動、そして身体への物理的刺激となる点で運動と同じといえる物理療法と、運動をしなくても運動と同じ効果をもたらすエクササイズピルが、慢性炎症を抑制し、疾病を改善する根拠を示すとともに、運動等が抗炎症作用を発揮する部位を明らかにすることで、運動が万能ともいえる効能をもつ答えを見出すことを目的とする。当初計画に従い先ず、炎症性サイトカインIL-1βの活性を可視化できるIDOLマウスの繁殖を開始した。交配・繁殖が安定するまでに予定よりも多くの時間を要したが、年度末には安定し、順調にIDOLマウスを得ることができるようになっている。また並行して、運動・物理療法・エクササイズピルの介入実験を行っている。全身的な炎症反応を惹起するLPSを野生型マウスに腹腔内投与後に運動等を行わせることから、炎症による全身状態によっては介入できなくなる。そのため、複数の量のLPSを投与後に、検証するもののうち最高度の運動等を行うことで、実施可能な投与量を調べた。その結果、最適であることが分かった3.3mg/kgのLPSを投与後、運動としてトレッドミルによる有酸素運動とラダーによる筋力増強運動、物理療法として超音波・電気刺激・寒冷曝露・磁気刺激・全身振動、運動模倣薬として我々が同定している4種類の化合物を用いた。強度と投与量を漸増しながら介入し、抗炎症作用に適した方法を探索している。順調にいくつかの方法で研究実績があがっており、骨格筋・肝臓・脳・肺・腸において、生化学的および組織学的に運動等が抗炎症作用をもつことを確認できている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初はIDOLマウスを対象とした実験後に、野生型マウスを対象とした実験を行う予定であったが、IDOLマウスの交配・繁殖に多くの時間を要したため、バックアッププランとして、当初計画にあった野生型マウスを対象とした実験を先行して開始した。そのため、研究計画全体としては、おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、研究代表者が研究統括、研究の具体的プラン作成と遂行を担い、実験動物を対象とする炎症、患者や健常者を対象とする身体機能に関する研究実績を有する研究分担者とともに、研究目的の達成を目指す。運動・物理療法・エクササイズピルが抗炎症作用を発揮する部位と方法を確定する。マウスを対象に、LPSにより炎症反応を惹起する。運動、物理療法、エクササイズピルを、強度と投与量を漸増しながら介入する。そして介入直後に、血液中と、炎症の活性が認められた臓器のNF-κB・IL-1β・IL-6・TNF-αのタンパク質量を定量する。またマクロファージと好中球を組織学的に観察する。さらにIDOLマウスを対象に、より抗炎症作用をもつ介入方法と強度を重点的に検証し選定する。これらにより、運動・物理療法・エクササイズピルが抗炎症作用を発揮する組織や臓器と、抗炎症作用に適した方法を明らかにする。そのうえで、確定した抗炎症作用に適した方法を用いて、運動が効く疾病のほとんどが関連する老化および肥満による慢性炎症に対する治療効果を検証する。これらの方法が、老化および肥満による慢性炎症を改善し、老化および肥満を改善できることを明らかにすることで、運動が万能ともいえる効能をもつ答えを見出す。本研究を通じて、治療法としての運動の理論的基盤を確立し、ひいては理学療法の革新的展開につなげることを目標とする。
|