研究課題/領域番号 |
23K27978
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補助金の研究課題番号 |
23H03288 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
一之瀬 真志 明治大学, 経営学部, 専任教授 (10551476)
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研究分担者 |
小野 弓絵 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10360207)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | スポーツ生理学 / 生体医工学 / 循環調節 / 呼吸筋血流量 / 光技術 |
研究開始時の研究の概要 |
呼吸筋は,胸郭の拡大・縮小により肺を伸縮させる呼吸運動を営む重要な骨格筋であり,その血流量やエネルギー代謝が適切に調節されることは生体機能維持に不可欠である。運動時には呼吸が促進されるため,それに見合う十分な血流量が必要となる。呼吸筋への血流の不足は呼吸筋の疲労や呼吸困難感を生じる原因となると考えられる。しかし,既存の呼吸筋血流量測定法は高度な侵襲性や技術的な困難さから一般化されておらず,運動時の呼吸筋血流量反応には不明な点が多い。本研究では,光技術を用いた呼吸筋血流量の非侵襲測定法を開発・確立し,運動時の呼吸筋血流量反応とその調節メカニズムおよびトレーニング効果の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では,拡散相関分光法(DCS)を用いた呼吸筋血流量の非侵襲測定法を開発・確立し,運動時の呼吸筋血流量反応とその調節メカニズムおよびトレーニング効果を明らかにすることを目指す。2023年度においては,呼吸筋血流量の測定に対応したDCS血流計測システムの開発と呼吸筋血流量の定量評価法を検討した。 呼吸筋活動の変化と血流量反応の関係を調べるため,安静時の随意過換気により呼吸筋の活動を定量的に変化させた際の呼吸筋血流量反応を測定した。随意過換気の方法は,呼吸回数を15回毎分とし,1回換気量を1000, 1500, 2000, 2500 mlに増加させ,各水準で90秒間維持することとした。測定対象とする呼吸筋は肋間筋とし,第7肋間中腋窩線上にDCS血流計のプローブを装着した。プローブ装着位置において,超音波診断装置を用いてDCS血流計の測定可能深度(皮下約1.5cm)に肋間筋が含まれることを確認した。呼気ガス分析装置を用いて,呼吸・呼気ガスパラメーターをブレス・バイ・ブレス法で測定した。換気量の増加にともない肋間筋血流量は漸増し,両者には強い正の相関関係が認められた。また,換気量の変化に対応して肋間筋血流量が変化する様子を連続的に捉えることに成功した。 呼吸筋血流量測定に対応したDCS血流計測システムの開発として,計測プログラムの改良によるサンプリング周波数の向上と呼吸流量シグナルをトリガとし呼吸位相に対応する血流分析法を検討した。また,複数の呼吸筋および四肢骨格筋での同時計測を行うための装置の多チャンネル化にも取り組んだ。ただし,世界的な半導体需要の高まりにともない,多チャンネル化に不可欠な多チャンネルフォトンカウンタの納入時期が当初の想定よりも大きく遅れたため,多チャンネル化した装置による測定は予備的実験に留め,次年度以降において本格的な導入を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
世界的な半導体需要の高まりにともない,DCS血流計の多チャンネル化に不可欠な多チャンネルフォトンカウンタの納入時期が当初の想定よりも大きく遅れた。そのため,装置の多チャンネル化を行うことはできたものの,開発した装置の運用は予備的測定に留まった。次年度以降に本格的な導入を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は,2023年度から2025年度までの3年計画を予定している。2024年度においては,2023年度に開発した呼吸筋血流量測定に対応したDCS血流計測システムおよび呼吸筋血流量の定量評価法を応用し,運動時の呼吸筋血流量調節メカニズムについて研究を行う。特に,換気量が顕著に増加する高強度運動時の交感神経活動亢進および動脈血圧上昇の主要なメカニズムである,筋代謝受容器反射の関与を調べることを予定している。多チャンネル化した装置の導入が順調に進めば研究計画の遅れを取り戻すことができる見込みである。
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