研究課題/領域番号 |
23K27981
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補助金の研究課題番号 |
23H03291 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
檜垣 靖樹 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10228702)
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研究分担者 |
道下 竜馬 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10632028)
古瀬 裕次郎 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 講師 (40826377)
冨賀 裕貴 福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (50826394)
上原 吉就 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (70373149)
安野 哲彦 福岡大学, 医学部, 准教授 (80551994)
冨賀 理恵 福岡大学, スポーツ科学部, 研究員 (80881218)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2026年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2025年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | メチル化 / 運動 / エピジェネティクス / 筋肥大 / 肥満 / トレーニング |
研究開始時の研究の概要 |
運動刺激による代謝調節機構にDNAメチル化の関与が明らかになれば、運動と認知症、慢性腎臓病、糖尿病、脂質異常症、肥満症、脂肪肝予防に関する新領域研究(2世代・3世代にわたる後天的遺伝子修飾による持続可能な健康社会の創造;精子・卵子のDNAメチル化を介した、運動記憶の伝承)へと発展すること、そして個体差を生じる原因の究明にもつながる研究である。特に、ターゲットとしている一酸化窒素合成酵素は骨格筋のみならず、大脳・小脳・海馬・腎臓・肝臓・心臓を含む多組織においても発現しており、運動適応のキーファクターとして検証する特徴ある研究である。
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研究実績の概要 |
本年度は、①高脂肪食負荷実験による酸化ストレスに関与するDNAメチル化及び②筋サテライト細胞培養実験による一酸化窒素合成酵素の遺伝子発現調節の2つの研究に着手し、以下の結果を得た。 ①C57BL/6Jマウス(雄8週齢)を被検動物とした。酸化ストレスに暴露するモデルとして高脂肪食負荷(60%Fat)を用い、12週間の介入試験を行った。対照群は通常食(14%Fat)を用いた。介入後、高脂肪食負荷マウスの体重は、通常食マウスに比べ、顕著な増加を認めた。各群のマウスより、血液、肝臓、腸間膜脂肪、皮下脂肪、ヒラメ筋、腓腹筋(赤・白色部)を採取しDNAを抽出した。抽出したDNAはパイロシークエンス法を用いてSOD3遺伝子のDNAメチル化解析を行った。その結果、肝臓のSOD3遺伝子プロモータ領域のメチル化率は骨格筋に比べ有意に低く、肝組織のSOD3遺伝子発現が高い可能性が示唆された。一方、餌に含まれる脂質割合の違いによるSOD3遺伝子メチル化に変化を認めなかった。現在、他の組織の解析を進めている。 ②C57BL/6Jマウス(雄8週齢)を被検動物とした。下肢筋を摘出しプレプレーティング法により単離した筋サテライト細胞をnNOS阻害剤添加下で培養し、分化過程の細胞の状態、nNOS遺伝子発現およびDNAメチル化レベルを定量化した。その結果、他の細胞培養系でnNOS活性の抑制が観察されているL-NAME濃度では筋サテライト細胞培養系での活性抑制を完全に行うことができなかったため、条件の検討および他の阻害剤の検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に予定してた2つの実験を行い、計画通り解析を実施している。一部の実験において再実験が必要であるが、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の高脂肪食負荷実験では、主に骨格筋と肝臓のSOD3遺伝子プロモータ領域のDNAメチル化を定量化したが、骨格筋の中でも筋線維タイプ別の解析および脂肪組織や他の組織の解析を進める。また、新たな実験系として高脂肪食負荷に自発運動を加味したプロトコールで、組織別の適応反応を明らかにしていきたい。高脂肪食負荷に代表される肥満は、恒常的な酸化ストレス状態を引き起こすが、運動もまた一時的ではあるが酸化ストレスを生じさせる。両者の異なる点として、一時的な酸化ストレス暴露は抗酸化系の遺伝子発現を促し適応反応を起こすが、肥満という恒常的な酸化ストレスは、生体の酸化と抗酸化のバランスを崩し、酸化状態へと傾くものと予想している。自発的な運動の実施により抗酸化の作用をもつSOD3の遺伝子発現およびその発現を調節している分子メカニズムの一端を遺伝子プロモータ領域のDNAメチル化の定量と併せて検討していく。
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