研究課題/領域番号 |
23K28020
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補助金の研究課題番号 |
23H03330 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
桑原 知巳 香川大学, 医学部, 教授 (60263810)
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研究分担者 |
近藤 園子 香川大学, 医学部, 助教 (70437680)
今大路 治之 (中山治之) 香川大学, 医学部, 講師 (80294669)
近藤 健夫 香川大学, 医学部, 助教 (80747535)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
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キーワード | 腸内細菌叢 / 免疫反応 / Lactobacillus / 潰瘍性大腸炎 / 腸内細菌 / 血清IgG / 補体活性化 / 炎症性腸疾患 / 免疫複合体 / IgG / 腸管レジリエンス |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは、UC患者から採取した腸粘膜付着細菌と血清IgGとの反応性は活動期よりも寛解期に高く、血清IgGが大腸菌などの腸内細菌科細菌よりもプロバイオティクスとして広く認知されているLactobacillusに対して高い結合性を示すことを見出している。そこで本研究課題では、Lactobacillus-IgG免疫複合体と大腸菌-IgG免疫複合体の補体活性化能、炎症誘導能やマクロファージに対する分化誘導能の違いを明らかにし、炎症ストレス条件下での腸管レジリエンスにおけるLactobacilllus-IgG免疫複合体の役割を解明する。
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研究実績の概要 |
自己の腸内細菌に対する血中IgGは、腸管粘膜バリア破綻時の常在菌の血中への侵入を防ぐとともに、交差反応によって病原細菌による感染防御にも機能することが知られている。我々は、小児科潰瘍性大腸炎患者の血清IgGと自己腸内細菌との反応性を検証し、Lactobacillus属に対する反応性が寛解期に増加しているとの知見を得ている。本研究では、患者便から分離したEscherichia coliとLactobacillusとの交差反応を検証した。その結果、患者血清IgGはLactobacillus属細菌と高い反応性を示すとともに、活動期ではE. coliにも高い反応性を認めた。患者血清IgGをLactobacillus属細菌で吸収した後、E. coliに対してイムノブロットを行った結果、反応性が有意に低下したことから、Lactobacillus属細菌に対する血清IgGは、E. coliに対しても交差反応を示すことを明らかにした。また、免疫複合体による補体活性化について検討した。抗原抗体複合物による補体の古典的経路の活性化を調べた結果、多くの患者でLactobacillus属細菌とE. coli同時に血清IgGと反応させることで、補体の活性化がE. coli単独での場合と比べ低下した。これらの研究により、Lactobacillus属細菌が、E. coli特異的IgGをトラップし、E. coli等の炎症惹起性の高い菌群と血清IgGによる免疫複合体形成を低下させている可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、腸内常在性細菌に対する血中IgGが、腸管粘膜バリア破綻時に炎症誘導能の高い免疫複合体形成を低減しているとの仮説を検証することを計画していた。患者からのE. coliとLactobacillus属細菌の分離も順調に進み、患者血清IgGの反応性を検討した結果、仮説を支持する結果を得ることができたため、次年度の研究計画であるマクロファージ分化におけるLactobacillus属細菌/IgG免疫複合体の役割の検証へ進むための基盤データの取得に成功したため、同評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、腸内常在性細菌と血中IgGによる複合体を未分化なマクロファージへ暴露し、M1/M2分化極性を調べることにより、Lactobacillus属細菌/IgG免疫複合体が潰瘍性大腸炎の活動性に与える影響を検証する予定である。
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