研究課題/領域番号 |
23K28031
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補助金の研究課題番号 |
23H03341 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
中村 由和 東京理科大学, 創域理工学部生命生物科学科, 教授 (60366416)
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研究分担者 |
佐々木 雄彦 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50333365)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | イノシトールリン脂質 / 細胞老化 / リン脂質 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞老化の制御に、細胞膜の質的変化が関わるかは不明である。そこで、本研究では、細胞膜の主要構成成分であるリン脂質に着目し、各種リン脂質の量や割合の変化が細胞老化の進展において果たす役割を明らかにすることを目的とする。本研究により、細胞膜リン脂質が細胞老化を制御する重要な細胞構成要素であることを明らかにできた際には、細胞老化の進展・抑制機構に対して新たな分子的理解をもたらすことができると期待される。
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研究実績の概要 |
我々の体内では、細胞老化により、細胞増殖を停止し、炎症促進性の表現型を獲得した細胞が加齢に伴い増加することが知られている。細胞老化を起こした細胞の増加は加齢性疾患の発症にも深く関わるため細胞老化を制御するメカニズムの解明は加齢性疾患の予防による健康寿命延伸に繋がる重要な課題である。しかしながら、細胞老化の制御メカニズムに関しては不明点も多く、細胞膜脂質が細胞老化において果たす役割に関してもこれまでに得られている知見は多くない。そこで、本研究では、細胞膜の主要構成成分であるリン脂質に着目し、各種リン脂質の量や割合の変化が細胞老化の進展において果たす役割を明らかにすることを目的とする。当該年度の研究により複数のリン脂質について、その存在量が細胞老化や組織老化の際に減少することが明らかになった。細胞老化や組織老化の際に存在量が減少するリン脂質のうちの一つのリン脂質に着目し、このリン脂質の存在量の変化が細胞老化に与える影響を解析したところ、この標的リン脂質の減少が細胞や組織の老化の誘導に関わることを示唆する結果が得られてきた。さらに、標的リン脂質の減少により細胞老化が誘導される分子メカニズムについての検討も進めたところ、標的リン脂質の減少により細胞膜の性質が変化することを示唆する結果が得られ、このことが細胞老化誘導に関わる可能性が考えられた。また、細胞や組織老化時に見られる標的リン脂質の減少に関わる可能性のあるリン脂質代謝酵素の遺伝子改変マウスの準備も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞や組織の老化を制御することが期待されるリン脂質や、そのリン脂質の変化が細胞に与える影響に関する知見が得られたため、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は以下のように進める予定である。 (1)昨年度に着目した標的リン脂質の存在量を、各種組織で変化させるための遺伝子操作を加えた遺伝子改変マウスを作成し、これらのマウスを用いて、標的リン脂質の存在量の変化が組織の老化状態に与える影響を調べる。 (2)昨年度に見出した、標的リン脂質の減少により生じる細胞膜の性質の変化に関して、その変化を抑制する操作を行った際に、標的リン脂質の減少による細胞老化様表現型の誘導が抑制されるかを検討する。 (3)標的リン脂質を増加させた際に、細胞や組織の老化の遅延や抑制が可能かを調べるために、標的リン脂質を増加させるための方法の確立を試みる。
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