研究課題/領域番号 |
23K28053
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補助金の研究課題番号 |
23H03363 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
小区分60090:高性能計算関連
合同審査対象区分:小区分60040:計算機システム関連、小区分60090:高性能計算関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
塩見 準 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 准教授 (40809795)
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研究分担者 |
松尾 亮祐 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 特任助教(常勤) (90983122)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2025年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 計算機システム / ニアスレッショルドコンピューティング / ハードウェアセキュリティ / サイドチャネル攻撃 / 耐タンパー性 |
研究開始時の研究の概要 |
エッジコンピューティングにおける末端デバイスの消費電流や漏えい電磁波などの物理情報を通して、暗号鍵などの機密情報を盗み出すサイドチャネル攻撃が情報化社会に対する脅威になっている。本研究では、極低電圧で集積回路を稼働させるニアスレッショルドコンピューティング(Near-Threshold Computing: NTC)を積極的に活用し、従来の集積回路では実現不可能な耐タンパ性を有する省エネルギー回路設計技術を明らかにする。具体的には、(1)サイドチャネル漏えい量を一定値以下に保ちながら、動作性能を最大化する動的電圧制御技術、および(2)NTC回路の動作故障を活用した情報秘匿化技術、に取り組む。
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研究実績の概要 |
エッジコンピューティングにおける末端デバイスの消費電流や漏えい電磁波などの物理情報を通して、暗号鍵などの機密情報を盗み出すサイドチャネル攻撃が情報化社会に対する脅威になっている。本研究では、極低電圧で集積回路を稼働させるニアスレッショルドコンピューティング(NTC)を積極的に活用し、従来の集積回路では実現不可能な耐タンパ性を有する省エネルギー回路設計技術を明らかにする。具体的には、(1)サイドチャネル漏えい量を一定値以下に保ちながら、動作性能を最大化する動的電圧制御技術、および(2)NTC回路の動作故障を活用した情報秘匿化技術、に取り組む。
本年度は、テーマ(1)に関して、電磁的サイドチャネル攻撃に対する、耐タンパ性の解析モデルを提案した。サイドチャネル攻撃者が暗号回路の秘密鍵情報を推定するためには、暗号処理中の回路から漏えいする電磁波を複数回取得し、統計解析を行う必要がある。NTC動作においては、定格電圧動作と比べて漏えい電磁波が小さくなる。このため漏えい電磁波が環境ノイズに埋もれ、統計解析に必要な波形数(サイドチャネル攻撃の困難さ)が増大する。統計解析に必要な波形数が、電源電圧と回路の動作速度からなる初等関数で表現可能であることを示した。本成果について、国際会議2件、国内会議2件(うち1件は受賞1件に対する記念講演)、受賞2件の成果を挙げた。
予期しなかった研究の方向性として、暗号回路中に不正に混入された回路(ハードウェアトロイ)の高効率検出技術を発見した。消費電力や漏えい電磁波などのサイドチャネル情報をモニタし、ハードウェアトロイを検出する手法が知られているが、ハードウェアトロイが消費する電力は暗号回路の消費電力より圧倒的に小さく検出が困難である。ハードウェアトロイのサイドチャネル情報を効率的に検出可能な回路構造を提案し、テストチップの試作を行った。今後測定予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、テーマ(1)の解析モデルを開発できたためである。当該モデルを用いて次年度以降、動的電圧制御技術に展開する。また、テーマ(2)の代わりとして、予期しない研究の方向性として、ハードウェアトロイの検出手法を発見したからである。ハードウェアトロイをサイドチャネル情報から検出しやすくすることと、サイドチャネル攻撃に対する耐タンパ性を向上することは、表裏一体の関係にあるため、2つの技術の関連性は大きい。相互技術の理解を深めることで、研究加速を行う。
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今後の研究の推進方策 |
テーマ(1)で開発したモデルを用いて次年度以降、動的電圧制御技術に展開する。ハードウェアトロイの高効率検出チップの測定を行い、コンセプト実証を行う。相互技術の関連性も意識しながら研究を行う。
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