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ディペンダブルな分散システム実現のためのモデルチェッキング技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K28060
補助金の研究課題番号 23H03370 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分60050:ソフトウェア関連
研究機関大阪大学

研究代表者

土屋 達弘  大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (30283740)

研究分担者 林原 尚浩  京都産業大学, 情報理工学部, 教授 (20397227)
緒方 和博  北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (30272991)
中川 博之  岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (40508834)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2026年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
キーワードディペンダブルシステム / 分散システム / モデルチェッキング / 機密実行
研究開始時の研究の概要

ネットワーク上で複数のサーバを協調させサービスを実現する分散システムは,現代の情報化社会において欠かせない.このような分散システムを,誤りや悪意ある攻撃に耐えられるように,信頼性高く,つまり,ディペンダブルに実現するためには,その設計の正しさを網羅的に検証することが重要である.本研究では,分散システムの設計を検証するために,モデルチェッキングと呼ばれる手法を発展させる.具体的には,現状,サーバの台数が小さい場合にしか適用できないこの手法を,より規模の大きいシステムにも適用できるようにする.さらに,最近のCPUがもつ機密実行機能を利用した分散システムの検証も可能にする.

研究実績の概要

本課題の初年度であった2023年度は、関連研究の詳細な調査と、それに基づく研究の実現方法の具体化を検討した.これに加えて,計画達成のための基本となる技術の研究開発を行った。
まず,ディペンダブル分散システムの核となるアルゴリズムの正しさの保証について,アルゴリズムの形式記述,および,モデルチェッキングによる形式検証を実施した.具体的には,本課題の主要な対象として取り上げているコンセンサスアルゴリズムについて,形式仕様記述言語を用いてモデル化を行った.2023年度は,プロセスのクラッシュやメッセージの喪失(オミッション故障)への耐性を保証するRaftアルゴリズムに加えて,ラウンドモデルという抽象化された分散計算モデル上で設計されたいくつかのアルゴリズムを取り上げ,仕様記述とモデルチェッキングによる形式検証を実施した.仕様記述言語・フレームワークには,RaftについてはMaudeを用いた.また,ラウンドモデル上のアルゴリズムについては,TLA+を利用した.後者のラウンドモデルベースのアルゴリズムについては,メッセージの内容が任意に書き換わる故障への耐性をもつものも検証の対象とし,そのような故障のモデル化も同時に実施した.
更に,分散システムにおけるセキュリティの実現方法と,その検証について,既存のセキュリティプロトコルの形式検証だけでなく,TEE(機密実行環境,trusted execution environment)を利用した新たなプロトコルの検討を行った.
これらの研究の結果の一部について,国内および国際会議にて発表を実施した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究は全体を4年間として計画している.1年目の2023年度は,先行研究や最新研究の詳細な調査と,それに基づく研究の実現方法の具体化を主な課題と考えていた.2023年度はこの課題を実施すると共に,参画する各研究者が各自で計画達成のための基本となる技術の研究開発を行った.具体的には、ディペンダブル分散システムで中心的な役割を果たすコンセンサスアルゴリズムの仕様化とモデルチェッキング,セキュリティプロトコルの検討や形式検証などである.これらの研究について,すでに国内外の会議で発表を実施しており,初年度の進捗については,計画より進んでいると判断した.

今後の研究の推進方策

計画の通り,ディペンダブルな分散システム実現の核となるコンセンサスアルゴリズムを中心に,その正しさを保証するための検証等の研究を進める.すでに,いくつかの具体的なアルゴリズムについて,形式仕様記述とモデルチェッキングを試みている.今後は,これらの研究を発展させ,ビザンチン障害を含むように対象となる故障モデルを拡大するとともに,モデルチェッキングの性能(検証の速度,扱うことのできるシステムの大きさ)を向上させるための技術の開発を行う.
加えて,検証の対象として,TEEを利用したアルゴリズムを扱えるように,仕様化およびモデルチェッキングや他の検証技術を進化させる.
さらに,コンセンサスと組み合わせて用いられることの多い,リーダー選挙アルゴリズムについても,対象を広げて研究を行う.ここで,具体的なリーダー選挙として,シークレットリーダー選挙を対象とすることを検討している.これは,選ばれたリーダーにしか選挙の結果がわからないという性質を実現する問題であり,ブロックチェーンに代表されるコンセンサスアルゴリズムの応用において,リーダーへの攻撃を回避するのに有用である.
このシークレットリーダー選挙を含め,ディペンダブル分散システムの中核となるアルゴリズムを設計し,形式的な仕様化と検証を進めながら,実装レベルでの設計を進める.

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] The Probability of Encounters of Nomadic Levy Walk on Unit Disk Graphs2024

    • 著者名/発表者名
      Matsubara Kazuma、Hayashibara Naohiro
    • 雑誌名

      Advances on Broad-Band and Wireless Computing, Communication and Applications (BWCCA 2023)

      巻: ISBN 978-3-031-46784-4 ページ: 15-25

    • DOI

      10.1007/978-3-031-46784-4_2

    • ISBN
      9783031467837, 9783031467844
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Formal Specification and Model Checking of Raft Log Replication in Maude2023

    • 著者名/発表者名
      Ishibashi Takanori、Ogata Kazuhiro
    • 雑誌名

      Proceedings of the 29th International DMS Conference on Visualization and Visual Languages

      巻: ISBN 1-891706-57-8 ページ: 1-6

    • DOI

      10.18293/dmsviva2023-010

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Symbolic Model Checking Quantum Circuits in Maude2023

    • 著者名/発表者名
      Do Canh Minh、Ogata Kazuhiro
    • 雑誌名

      Proceedings of the 35th International Conference on Software Engineering & Knowledge Engineering

      巻: ISBN 1-891706-56-X ページ: 103-108

    • DOI

      10.18293/seke2023-014

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Formal Verification of Concurrent Algorithms: Case Studies on Mutual Exclusion2023

    • 著者名/発表者名
      Nishiguchi Naoki、Tsuchiya Tatsuhiro
    • 雑誌名

      2023 IEEE 28th Pacific Rim International Symposium on Dependable Computing (PRDC)

      巻: ISBN: 979-8-3503-5876-6 ページ: 236-238

    • DOI

      10.1109/prdc59308.2023.00036

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] PlusCALを用いた耐故障コンセンサスアルゴリズムの記述と検証2024

    • 著者名/発表者名
      小野蒼生, 土屋達弘
    • 学会等名
      電子情報通信学会ディペンダブルコンピューティング研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Offloading for Secure Microservice Architectures2023

    • 著者名/発表者名
      Naohiro Hayashibara
    • 学会等名
      IFIP Working Group 10.4 Summer Meeting
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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