研究課題/領域番号 |
23K28085
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補助金の研究課題番号 |
23H03395 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60070:情報セキュリティ関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
大木 哲史 静岡大学, 情報学部, 准教授 (80537407)
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研究分担者 |
西垣 正勝 静岡大学, 情報学部, 教授 (20283335)
伊藤 康一 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (70400299)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2026年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 生体認証 / 公平性 / プライバシー / テンプレート保護 / バイオメトリクス / なりすまし検知 / プライバシー保護 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
生体認証の要件は,1)高い認証精度,2)不正な入力によるなりすまし攻撃への耐性,3)保管データの漏えいに対する耐性,の3つの要件に大別される.これまでの生体認証における公平性に関する議論では,主として少数属性間の認証精度の偏りに着目した議論が進められており,認証精度に関する公平性を満たした上でも生じ得るなりすまし耐性や漏えい耐性に関する公平性は議論されていない.本研究では,精度要件に加え,なりすまし耐性要件・漏えい耐性要件の観点を新たに加えて検討を行うことで,その本質を理解するとともに,公平性に関する問題を解決する新たな生体認証方式であるTri-fair Biometricsの実現を目指す.
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研究実績の概要 |
精度,なりすまし対策,データ保護の3要件を満たす公平な生体認証方式,Tri-fairBiometricsの実現に向け,本年度は, 研究A) 認証精度要件に関する公平性の検討,研究B) なりすまし要件を満たすアルゴリズムの開発,研究C) 漏えい耐性要件を満たすアルゴリ ズムの開発 の3つの観点から研究を進める.研究Aについては,本年度はまず,単純な認証精度要件のみを満たす公平性を仮定し,認証精度の観点から公平 なモデルを構築する手法について検討を実施した.この検討にあたり,公平性に影響を与える要因を(1)属性間の学習データの偏り,(2)属性による判定時の外的要因による影響の受けやすさの違い,の2つに分類して検討を進めた.研究Aについては特に著しく学習データが少ない属性が存在する場合を考慮した学習手法について検討を進め,後者については照合時の外的要因(たとえば明るさなど)をモデル化することで,判定時の影響を考慮した公平性評価手法の検討を進めた.研究Bおよび研究Cでは,生体認証モデルに対するなりすまし耐性や漏えい耐性耐性の公平性を確保することが目的であるが,たとえばデータセットにおける人種や性別といった属性の偏り,あるいはなりすまし検知や保護アルゴリズムの違いに対して,本年度はまず,データセットの構成や,認証アルゴリズムといった認証アルゴリズムにおける各構成要素が,なりすまし検知耐性・テンプレート保護耐性の公平性へ与える影響を調査した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精度,なりすまし対策,データ保護の3要件を満たす公平な生体認証方式,Tri-fairBiometricsは,研究A)認証精度要件に関する公平性の検討,研究B)なりすまし要件に関する公平性の検討,研究C)プライバシー要件に関する公平性の検討,の3つの研究開発項目から構成される.これらの研究結果を統合した研究D)Tri-fair Biometricsシステムのプロトタイプ実装を行うことで,その有効性を実証する予定である. 本年度は, 研究A) については,単純な認証精度要件のみを満たす公平性を仮定し,認証精度の観点から公平なモデルを構築する手法について検討を実施した.この検討にあたり,公平性に影響を与える要因を(1)属性間の学習データの偏り,(2)属性による判定時の外的要因による影響の受けやすさの違い,の2つに分類して検討を進めた.研究Aについては特に著しく学習データが少ない属性が存在する場合を考慮した学習手法について検討を進め,後者については照合時の外的要因(たとえば明るさなど)をモデル化することで,判定時の影響を考慮した公平性評価手法の検討を進めた.研究Bおよび研究Cでは,データセットにおける人種や性別といった属性の偏り,あるいはなりすまし検知や保護アルゴリズムの違いに対して,データセットの構成や,認証アルゴリズムといった認証アルゴリズムにおける各構成要素が,なりすまし検知耐性・テンプレート保護耐性の公平性へ与える影響を調査した.これらから,研究A)に関しては当初の計画以上に,研究B), C)に関してはおおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
研究A) に関して,本年度までは公平性に影響を与える要因を(1)属性間の学習データの偏り,(2)属性による判定時の外的要因による影響の受けやすさの違い,の2つに分類して検討を進めた.一方で,公平性を考慮する際の問題として,考慮すべき属性の定義そのものが難しいという課題がある.次年度はこのような課題を考慮したアルゴリズムの検討を進めることで,より実用的な公平性考慮型生体認証アルゴリズムの実現を目指す. 研究B) および研究C) に関して,令和5年度の調査で得られたなりすまし耐性やデータ漏えい耐性の評価手法を研究A)に適用することで,なりすまし耐性やデータ漏えい耐性に関する公平性の基礎的な評価を実施する予定である.また,研究D)に関連して,精度となりすまし耐性,あるいは精度とデータ漏えい耐性といった複数の公平性評価指標の相互関係について調査を実施する予定である.
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