研究課題/領域番号 |
23K28104
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補助金の研究課題番号 |
23H03414 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60100:計算科学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐山 弘樹 早稲田大学, 商学学術院, 教授(任期付) (30345425)
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研究分担者 |
増田 直紀 神戸大学, 計算社会科学研究センター, リサーチフェロー (40415295)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2026年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2025年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | テンポラルネットワーク / グラフ書換系 / 動的モデルの自動導出 / ネットワーク解析 / 適応的ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
時間的に変化するテンポラルネットワークのモデリングと解析は,現在最も需要があり活発に研究されている問題の一つである.しかし既存手法の多くは,ネットワークの挙動を理解・説明できる動的モデルを与えることができない.本研究ではグラフ書換系による独自手法を用いて,ネットワークデータからその挙動を表現する動的モデル方程式を自動導出する手法を開発する.具体的には以下に取り組む.1)部分グラフ抽出・置換の定式化,2)イベント分布の埋め込み,3)イベント分布からのモデル方程式の自動導出,4)階層的モデル化手法の開発,5)実データを用いた性能評価.以上を通じ,テンポラルネットワーク解析に革新的進展をもたらす.
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研究実績の概要 |
本研究では,グラフ書換系に基づいた独自の枠組みを用いて,時系列ネットワークデータからその挙動(部分グラフの濃度の時間的変遷)を数理的に表現する動的モデル方程式を自動導出する手法を開発することを目指している.当初の研究計画で予定していた以下の5つのタスク -- 1)部分グラフ抽出・置換の定式化,2)イベント分布の埋め込み,3)イベント分布からのモデル方程式の自動導出,4)階層的モデル化手法の開発,5)実データを用いた性能評価 -- のうち,初年度では 1 と 3 についてプロトタイプの実装をほぼ達成し,それをシミュレーションモデルを使って生成した小規模テンポラルネットワークデータに適用して,性能評価と問題点の洗い出しを行った.その結果,現段階の簡素なアルゴリズムでもネットワークの挙動の主要な部分は十分に捉えることが可能であること,その一方で部分グラフ同士の間の高次の相互作用は捉えきれないためモデルの予測精度は不十分であること,などが明らかになった.同時に,タスク 4 について当初の想定よりも更にシンプルで実現可能性の高い近似手法を見出し,現在その実装を行っている.成果のアウトプットについては,初年度ながら 1 と 3 の成果について既に 3件の国際会議(CCS 2023, NERCCS 2024, NetSci 2024)に採択され,そのうち前者の 2件はすでに発表を終え,参加者から大変高い評価を得た(残る 1件(NetSci 2024)は 2024年度夏に発表予定である).関連分野の研究者から高評価を得たことは,本研究の目標とするネットワーク解析手法に対する関心と潜在的需要が大きいことを示唆している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の通り,これまでに 1)部分グラフ抽出・置換の定式化,および 3)イベント分布からのモデル方程式の自動導出の2つのタスクについてプロトタイプの実装をほぼ達成し,それをシミュレーションモデルを使って生成した小規模テンポラルネットワークデータに適用して,性能評価と問題点の洗い出しを行った.また,4)階層的モデル化手法の開発に関して,当初予定よりも大幅に簡素化された実現可能性の高い近似手法を見出し,現在その実装を行っている.すでに3件の国際会議(CCS 2023, NERCCS 2024, NetSci 2024)に採択され,参加者から大変高い評価を得ている.以上から,研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,4)階層的モデル化手法の開発について新しく考案した簡易な近似手法を実際に実装し,提案手法の精度の向上をはかる.また 5)実データを用いた性能評価についても,データのサイズを段階的に増加させながら実施していく予定である.その際,大規模実データに適用可能な計算性能を得るため,Python/NetworkX による現在の実装を Julia/JuliaGraphs に移植することを予定している.これらの成果を,今年度中に国際論文誌にて出版・公表し,また開発したソフトウェアを GitHub を通じて一般に広く公開することを目指す.
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