研究課題/領域番号 |
23K28151
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補助金の研究課題番号 |
23H03461 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
小区分60030:統計科学関連
合同審査対象区分:小区分60030:統計科学関連、小区分61030:知能情報学関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
久保山 哲二 学習院大学, 付置研究所, 教授 (80302660)
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研究分担者 |
草場 彰 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (70868926)
堀山 貴史 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (60314530)
宇野 毅明 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (00302977)
平田 耕一 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (20274558)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2027年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 組合せ最適化 / 最適輸送問題 / 列挙アルゴリズム / 結晶成長 / 離散構造カーネル / 列挙 / ベイズ最適化 / 離散構造 / 離散構造列挙 / 輸送最適化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、無限平面上の離散構造の列挙手法と結晶表面構造の類似性に基づく探索手法の開発を行う。グラフ理論、組合せ最適化、機械学習の技術を駆使し、実験による検証が困難な結晶表面構造を計算機上で効率的に探索する。これにより、新規デバイス開発に重要な結晶構造の理解を深め、材料科学の発展に寄与する。
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研究実績の概要 |
研究の初年度にあたって、これまでの知見をまとめる作業から開始した。まず、機械学習を用いてデジタルツインの要素モデルをより現実的にする手法を検討した。具体的には、ベイズ最適化によるモデルパラメータの最適化と、データ同化による物理モデルの改良という2つのアプローチを提示した。これらの手法は、材料開発に限らず、デジタルツインを用いたシミュレーションや最適化に広く応用可能であり、情報科学の観点からも有意義な成果と言える。つぎに、量子論計算と機械学習を組み合わせることで、材料表面の構造解析の高精度化を図る手法についての提案を行った。第一原理計算による計算結果とベイズ最適化を用いて、表面再構成構造のモデルを改良し、自由エネルギーを求めることで、温度や被覆率の関数として吸着原子の化学ポテンシャル変化を決定する分析手法を提案した。この解析手法は、材料科学分野における問題解決に情報科学的アプローチを適用した事例である。 膨大な結晶表面の構造候補の差異を測るためのアルゴリズム開発として、ハミング距離に基づくスケッチ列挙法を提案した。従来のハミング距離に基づく列挙は並列化が容易であるが、高い再現率を得るには多数の候補が必要で、フィルタリングの高速化だけでは不十分であった。そこで、2つのハミング距離に基づく列挙を連結して非対称距離に基づく列挙を近似する手法を導入し、大規模な公開データセットを用いた実験で有効性を検証した。提案手法は類似性検索を大幅に高速化できることが示された。これにより、結晶構造の比較や情報検索の効率化が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、1年目の研究計画に沿って概ね順調に進捗しているが、一部の課題についてはさらなる取り組みが必要な状況である。並進対称性を考慮した基底パターンの列挙アルゴリズムについては、SATを用いた定式化が済み、効率的な列挙手法の開発を進めている。列挙パターン数の爆発的増加への対処については、ZDD等による圧縮表現による工夫が必要な状況にある。並進対称性を考慮した最適輸送距離の計算アルゴリズムについては、無限平面上の繰り返しパターンにおける効率的な距離計算手法の設計を進めているが、計算量の削減について課題があり、現在効率的なアルゴリズムの開発に取り組んでいる。基盤となるアルゴリズム開発は着実に進展しているものの、効率化の課題や応用面での難しさに直面しており、これらの克服に向けての取り組みが必要な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の1年目の研究成果を基盤として、以下の方策により引き続き研究を推進する。 (1) 並進対称性を考慮した基底パターンの列挙と数え上げアルゴリズムについて、より大規模な問題への適用を目指す。特に、72頂点の六角格子上での全列挙の実現に向けて、SATによる定式化とZDD等の圧縮表現を活用したアルゴリズムの開発を進める。列挙パターン数の爆発的増加への対処が課題であるが、対称性の制約を積極的に利用することでこれに対応する。(2) 並進対称性を考慮した最適輸送距離の計算アルゴリズムの高速化に取り組む。効率的な距離計算手法の確立が鍵となるが、無限平面上の繰り返しパターンの特性を活用することで、計算量の削減を図る。また、この距離に基づくカーネル関数の設計とその近似手法の開発も並行して進める。 (3) 開発したアルゴリズムを結晶表面構造探索に適用し、従来よりも広い解空間での探索を実現する。第一原理計算の専門家との密な連携により、得られた知見の材料科学的意義を考察する。効率的な探索の実現には、計算コストとの兼ね合いが課題となるが、物理的制約の導入などにより、実用的な探索を目指す。
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