研究課題/領域番号 |
23K28161
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補助金の研究課題番号 |
23H03471 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61050:知能ロボティクス関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河原塚 健人 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (90964677)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2026年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ワイヤ駆動 / 身体図式 / モータドライバ / 減速機 / 可変身体 |
研究開始時の研究の概要 |
既存の軸駆動型ロボットの伝達効率や重量, 身体構造の問題点を解決し, ロボットの環境接触能力・安全性・適応性を大幅に向上させる身体構成は如何に可能であり, その新たな身体構成がロボットの知能システムにどう影響を及ぼすかという学術的問いを立て, (i)バックドライバビリティが高く環境接触能力に優れ, (ii)減速機無しでも高速高トルクを発揮でき, (iii)拮抗ワイヤ駆動方式により末端を軽量化・安全性を担保し, (iv)タスクに応じて容易に身体変形可能な, 身体可変大出力無減速ワイヤ拮抗駆動構造の開発と多様な実ロボット例の実装, 土木や介護, 日常生活支援等に向けた制御と学習を行う.
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研究実績の概要 |
本年度は主に(1)超軽量で安全な無減速ワイヤ駆動マニピュレータSAQIELの開発, (2)二脚と尻尾を有するワイヤ駆動型カンガルーロボットの開発, (3)ワイヤ駆動型ロボットにおける身体設計の最適化を行った. (1) ワイヤ駆動型の利点を最大限生かし, 全てのアクチュエータをマニピュレータ本体ではなくベースリンクに配置することで末端を軽量化し, 有効質量を下げることで安全な動作実現が可能である. また, 任意のワイヤ経路を実現可能なワイヤ整列装置を開発し,ワイヤの経路を巧みに設計することで, モータを減速機なしで用いることに成功している. これにより, 高いバックドライバビリティ, 高速・高トルク, 軽量な末端という特徴を持つ次世代のワイヤ駆動マニピュレータの開発に成功した. (2) 生物を模倣した形で二脚と尻尾を持つカンガルーロボットを開発した. こちらも減速機を無くすことで素早い動きが可能であり, 現状30cmほどのジャンプが可能で, 着地時の衝撃にも高いバックドライバビリティで対応することができる. 尻尾は劣駆動構造をしており, 一自由度の腕と合わせて, カンガルーに特徴的な二足, 三足, 五足歩行を実現する予定である. (3) ワイヤ駆動型ロボットの最大の難関であるワイヤ配置を自動化するため, シミュレータとブラックボックス最適化を併用したワイヤ配置設計最適化アルゴリズムを開発した. 現状カンガルーロボットのジャンプ距離最大化に向けた配置最適化, ワイヤ端点を自由に変更可能なより複雑な系に向けた配置最適化に一部成功している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は, 当初の予定を大きく上回るスピードで, 腕型ロボット, 二脚と尻尾を持つカンガルーロボットの開発に成功し, それらのワイヤ配置設計最適化にまで踏み込むことができた. 一方で, 身体可変機能と学習型制御システムについてはまだ探索途中であり, 今後大きく進展させていく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は(1)一脚型ロボットの身体設計と強化学習型制御実装, (2)より複雑な身体構造におけるワイヤ配置設計最適化, (3)身体可変機構の開発とソフトウェア実装に分けられる. (1) 一脚型のジャンプロボットをより信頼性の高い形で再設計し, これをモデリング, 強化学習による連続ジャンプを行う. オンラインで身体にパラメータを同定していく機構の開発と, ワイヤ駆動型の非線形なダイナミクスのシミュレータへの取り込みを行い, ワイヤ駆動型ロボットの学習制御の全体システムの開発を行う. (2) 現状のワイヤ配置設計最適化は二次元平面にとどまる簡易なものであり, これを三次元形状に拡張する. ワイヤ同士の干渉を避け, パラメータ数の増大に対応可能な定式化を行う. (3) タスクに応じて身体構造を変化させることができ, その変化にロボット自身が気づいてモデリングを変更していく仕組みをハードウェア・ソフトウェアともに開発する.
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