研究課題/領域番号 |
23K28173
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補助金の研究課題番号 |
23H03483 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61060:感性情報学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
石川 智治 宇都宮大学, 工学部, 教授 (90343186)
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研究分担者 |
辰元 宗人 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30296157)
石本 祐一 ものつくり大学, 技能工芸学部, 准教授 (50409786)
牧 勝弘 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 教授 (50447033)
石橋 賢 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (70749118)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2027年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2026年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2025年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | 片頭痛 / 音による非薬物治療 / 音による高確度診断 / 片頭痛の症状改善メカニズム / ドクター・サウンド / 非薬物治療 / 高確度診断 |
研究開始時の研究の概要 |
片頭痛とは発作的に起こる頭痛であり,長期薬剤投与を主とした治療では血管系への悪影響が懸念されている.また診断は問診を主としており,客観的データを用いた高確度診断が求められている.我々の先行研究では,音を不快に感じる傾向が強いとされてきた片頭痛患者が快評価する生活音を発見し,さらに音に対する心理・生理反応を利用した片頭痛識別法を見出した.本研究では,快音源の連続呈示により片頭痛誘因神経活動を抑制させることで非薬物治療を実現し,音反応を利用した片頭痛識別法とAI診断を融合させた片頭痛の高確度診断システムを遠隔診断も視野に入れて開発することを目的とする.
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研究実績の概要 |
令和5年度の研究実績を,(1)多様な音からの快音源の同定と物理的特徴の明確化【快音源と特徴】,(2)心理・生理計測結果に基づく片頭痛患者の音反応及び症状改善メカニズムの解明【片頭痛患者の音反応・症状改善メカニズム】,(3)快音源の連続提示による片頭痛の代替治療の実現【非薬物治療】,(4)多数の心理・生理データによる片頭痛の高確度診断とAI化の実現【高確度診断】の各項目について示す. 【快音源と特徴】シェファーの音源カテゴリを基軸に,これまでに得られた快音源や自然音/機械音/社会の音/人の音等の122種類の音源を収集し,これらを聴取した際の快不快評価,音源内容の理解度等の調査を,健常者及び片頭痛患者に対して実施した.その結果,自然音における波/川/滝の音の評価が,片頭痛患者にとって健常者より有意に快評価,すなわち,新たな快音源になることを明らかにした[国内発表:1件]. 【片頭痛患者の音反応・症状改善メカニズム】心理・生理計測の継続的な実施で得られたデータの分析等を行った.関連業績[雑誌論文:2件,図書:2件] 【非薬物治療】健常者及び片頭痛患者に対して,快音源の長期間連続聴取(1か月程度)による効果を,片頭痛発作回数,快不快評価および心理状態評価:POMS(Profile Of Mood States)により調査した.その結果,快音源の長期間聴取は,頭痛発作回数の有意な減少,総合的気分状態得点TMD(Total Mood Disturbance)の減少に効果的であり,片頭痛の症状改善や心理的なポジティブ状態にシフトすることが示された[国際会議発表:1件,国内発表:1件].また,片頭痛患者専用ブースによる非薬物治療の実施に向けた環境整備を行った. 【高確度診断】心理・生理計測を持続的に実施し,新たなデータの蓄積を行うと共に,診断の高精度化を図った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の基盤となる快音源の調査,収集および評価を実施すると共に,非薬物治療に向けた快音源の長期間聴取の有効性などを確認し,それらの成果をまとめることにより,国内だけではなく国際会議にて発表ができた.そのため,次年度の目標である,快音源の同定と物理的特徴の解明に向けての目途が立ったと言える.また,新たな心理評価および生理計測を行い,それらのデータの蓄積と分析を行うことにより,片頭痛患者の音反応および症状改善メカニズム解明に向けての継続的な探究と,心理及び生理計測に基づく高確度診断の精度向上などを進めることができた.更に,次年度以降に実施予定の片頭痛患者専用ブースによる非薬物治療の環境整備を開始できている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策として,【快音源と特徴】では,快音源の更なる絞り込みを行うと共に,その音源の物理的特性などを分析して,快評価との関係を明らかにする.また,明らかにした快音源を用いて,より多くの実験参加者による快不快評価実験などを実施し,その効果の有効性を検討する.【片頭痛患者の音反応・症状改善メカニズム】では,心理及び生理計測により取得したデータの分析により,片頭痛患者の音に対する反応メカニズムの検討を行う.【非薬物治療】では,本年度の結果も考慮し,快音源長期聴取の実施方法の更なる検討を進めると共に,【高確度診断】では,心理及び生理計測の結果に基づいて,適応範囲等を踏まえた分析精度の向上やAI化に向けた検討などを更に進める.
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