研究課題/領域番号 |
23K28177
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補助金の研究課題番号 |
23H03487 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61060:感性情報学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
阪田 治 東京理科大学, 工学部電気工学科, 教授 (30391197)
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研究分担者 |
島田 尊正 東京電機大学, システムデザイン工学部, 教授 (20318174)
鈴木 裕 東洋大学, 生命科学部, 教授 (40516928)
森口 武史 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60422680)
後藤 順子 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (60530102)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,240千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 4,440千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
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キーワード | 腸音 / 長時間モニタリング / 感性 / 脳腸相関 / ストレス / 脳波 / 感性情報 / 長時間計測 / 因果性解析 / ストレス蓄積 / 信号処理 / 生体信号 |
研究開始時の研究の概要 |
長時間腸音モニタリング技術の開発により数十時間にわたる腸音発生頻度変化という小腸の運動活性を表す生体情報の取得が可能になった。この腸音発生頻度変化の解析により、「第二の脳」と呼ばれる腸の運動活性を数値的に可視化できるが、本研究ではそこから人間の感性情報を取得する技術の研究を行う。これは特に摂食に関連する「食感性情報」の可視化・定量化であり、また同時に、医学的な意味で脳腸相関を異種生体信号の解析によって評価する場合の小腸由来情報にもなる。このような腸音発生頻度変化という生体信号に焦点を当て、その数理モデル化を行い、他種生体信号との因果性解析により人間の感性情報を抽出する新技術について研究する。
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研究実績の概要 |
初年度は、長時間腸音モニタリング技術の改良開発(ハードウェア・ソフトウェア両面)、および腸音と併用するための他生体信号の感性情報処理技術の研究を中心に進めた。長時間腸音モニタリング技術については、特に計測対象者が体動や移動を伴う状態であっても長時間の連続的な腸音計測を可能とすることを目標とした研究開発を実施し、将来的な臨床医療や産業界での実用を念頭に置いたシステム開発を進めた。ここでは、臨床現場での使用に耐える装置の設計を行い、そのプロトタイプ機の製作を行った。加えて、2種類の採音方式(空気伝導式のベル型聴診器タイプのセンサおよび体表面振動直接記録式の新タイプのセンサ)の同時使用を可能にするハイブリッド型の腸音計測デバイスの提案および試験にも取り組んだ。 腸音以外の生体信号の感性情報処理については、脳波解析に重点を置いて、従来の脳波解析技術とは異なる視点(脳内情報の流れのパターン解析)から感性、特にストレス蓄積の影響を数値化できないか模索した。ここでは、研究代表者が過去に提案して脳気質障害による脳内情報伝搬異常を可視化できる多次元有向情報量解析法および多次元有向コヒーレンス解析法、さらに独立成分分析を組み合わせて、ストレスに起因する脳波成分の脳内情報伝搬パターンの調査を試みた。結果的に、信頼できる知見を得るまでには至らなかったが、「脳内の情報の流れのパターン」に着目したストレス蓄積の影響の評価というアプローチ自体は有効であると考えている。また、長時間腸音モニタリング技術との併用を目指して、超音波B-mode動画解析による小腸の蠕動運動活性度評価技術についても研究を進めた。さらに、超音波B-mode画像として食道最上部の動画を解析して嚥下動作の細かな違いを客観的に観察する手法の開発も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載のタスクリストに照らして主な実施項目の進捗を紹介する。 「長時間腸音計測で得られる腸音発生頻度変化時系列の分析と数理モデリング、パターン分類」については、非定常かつ腸音発生頻度信号源(存在を仮定)の活動切替わり時点の推定技術について提案・検証を行った。「強ノイズ下における腸音計測技術の研究開発」については、医療機関の入院患者での治験に耐える程度の性能を持つプロトタイプ機の試作に成功した。「脳波を主とする脳神経系由来の信号解析による感性情報処理」については、脳内での情報の流れのパターンを多チャンネル脳波の因果性解析によって可視化するという方針にて、ストレス蓄積時記録脳波の解析に取り組んだが、統計的に有意と思われる結果はまだ得られていない。「摂食行動由来の生体信号解析による感性情報処理」については、人間の嚥下行動由来の生体信号、ここでは食道最上部の超音波B-mode動画像および顎部と頸部の筋電位信号の解析により、嚥下運動の細かな違いを定量的に評価する技術の研究開発を行った。しかし、感性情報処理の域にはまだ達していない。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況に示した各取り組みは、すべて完了したものではないため、引き続き研究開発を実施していく。これに加えて、2年目は感性、特に「ストレス蓄積」および「摂食」に関係する感性に由来する生体情報の可視化・定量化の技術開発を進め、異なる生体信号間における因果解析の手法について理論的検討を進める。長時間腸音発生頻度変化信号を中心に、そのパターン分類に関連する脳内情報伝搬動態や循環器系信号(自律神経情報の変化)との相互依存関係を可視化する手法の研究を行う。
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