研究課題/領域番号 |
23K28203
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補助金の研究課題番号 |
23H03513 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62040:エンタテインメントおよびゲーム情報学関連
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
合同審査対象区分:小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連、小区分62040:エンタテインメントおよびゲーム情報学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
白木 厚司 千葉大学, 情報戦略機構, 准教授 (10516462)
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研究分担者 |
伊藤 智義 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (20241862)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | ボリュームディスプレイ / ホログラフィ / 電子ホログラフィ / 3次元表示 |
研究開始時の研究の概要 |
ボリュームディスプレイと電子ホログラフィという二つの映像表示技術を融合させた,新たな映像システムを開発する.本研究の課題として,映像の表示範囲が狭いこと,計算量が多くなることなどが挙げられる.そこで,映像表示に用いる電子ホログラフィの像サイズを拡散板を用いて拡大し,そのサイズに合わせて表示媒体となるボリュームディスプレイを大型化することで,映像の表示範囲の拡大を実現する.また,計算量については並列処理に適したアルゴリズムを検討することで解決を図り,20cm×20cm×20cm程度の映像をリアルタイムに表示するシステムを実現する.
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研究実績の概要 |
これまでの研究において,糸を用いたボリュームディスプレイに対し,プロジェクタや電子ホログラフィを用いて映像を投影することで,任意の方向に映像を表示する指向性ボリュームディスプレイを開発した.プロジェクタ,電子ホログラフィ双方の課題として表示映像の解像度や画質が低いことが課題として挙げられている.そこで,解像度や画質向上に向けて研究を行った. 令和6年度の実績として,ボリュームディスプレイの作製方法の見直しを行った.従来手法ではナットに結び付けた糸を磁力によって天板に配置するという手法をとっていた.しかし,最終的な設置を人手で行うためわずかなずれが生じ,ノイズの原因となっていた.これに対し,機械的に糸を配置するための穴をあけ,その穴に糸を通すことでヒューマンエラーによるノイズを軽減可能となる.結果としてエッチング加工が可能な業者に天板の加工を依頼し,映像の表示範囲が6.4cm×6.4cm×6.4cmとなるようなボリュームディスプレイを作製した.このディスプレイは人手で糸を配置するものに比べ精緻なものとなっており,ヒューマンエラーによるノイズを軽減できる.このディスプレイを表示媒体とし,表示方法として電子ホログラフィの再生像を投影することで,これまでに開発したホログラフィック・指向性ボリュームディスプレイと比べ,高解像度化および画質の向上に成功した.さらに,ONとOFFを高速に切り替えられる液晶シャッターを用いて,表示映像のカラー化にも着手した.また,従来手法の指向性ボリュームディスプレイに対して,画質の向上や観察位置の拡張なども行った. これらの成果は国際会議で5件,国内学会で3件報告している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
天板の製作に市販の3Dプリンタやレーザー加工機を用いて取り組んだが,3Dプリンタでは収縮による反りが発生し,レーザー加工機では精度が不足していたため,所望の天板を作製することができなかった.これらの内,特に収縮による反りを改善するためにトライアル・アンド・エラーを繰り返したことにより,当初計画していた期間を大幅に超えてしまった.そのため,令和6年度に実施予定であったシミュレーションでの表示映像の拡大について所望の結果が得られていない.以上のことから進捗状況としてはやや遅れているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,2023年度の進捗状況としてやや遅れている表示映像の拡大についての研究を進める.手法としては,SLMからの回折光を拡散させる拡散素子を用い,回折光を拡散させることで電子ホログラフィの表示映像を拡大する.これをシミュレーションで実現した後,実際のボリュームディスプレイへ実装し,表示映像の拡大を実現する.また,カラー化についても着手する.令和5年度の研究で,液晶シャッターを用いて混色が表現できることは確認できた.今後は3色のレーザーを用い,かつ各色の密度を変えて表示することで,任意の色の表示を実現する.さらに,ボリュームディスプレイの糸配置のアルゴリズムの見直しも併せて行う.これまでの研究において,1画素を表現するための糸の数が5本程度あれば,それ以上配置したときと比べて画質に大きな差がないことが確認できている.この特徴を考慮し,かつ並列処理に適したアルゴリズムを検討することで,高解像度なディスプレイを実現する. 2025年度は計算の高速化とシステムの統合の二つを重点的に行う.ボリュームディスプレイ,電子ホログラフィでは空間の処理となるため計算量が多く,負荷が高くなることが問題となる.一つ目の計算の高速化では,2024年度に考案するアルゴリズムを基に,並列処理を実装することでリアルタイム処理を実現する.二つ目のシステムの統合では,ディスプレイの大型化,電子ホログラフィでの投影像サイズの拡大,映像のカラー化,処理の高速化などの要素技術を統合し,20cm×20cm×20cm程度の指向性ボリュームディスプレイにリアルタイムでカラー映像を表示するシステムの実現を目指す.
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