研究課題/領域番号 |
23K28207
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補助金の研究課題番号 |
23H03517 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮崎 雄三 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
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研究分担者 |
鈴木 光次 北海道大学, 地球環境科学研究院, 教授 (40283452)
山下 洋平 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (50432224)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2025年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 海洋大気エアロゾル / 有機態窒素 / 亜寒帯海域 / 植物プランクトン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は植物プランクトンの大増殖(ブルーム)が顕著な亜寒帯海域で海洋表層の植物プランクトンの量・組成・活性度が大気有機態窒素エアロゾルの生成量・組成の変動をどのように制御しているかを明らかにする。研究船で採取した大気・海水試料を用い、有機物の分子・元素比・同位体比・蛍光分析の測定と微生物パラメータ測定の結果を比較・統合する。さらに室内培養実験により、有機態窒素の量・組成変動を支配する要因を明らかにする。
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研究実績の概要 |
秋季の南部オホーツク海上で学術研究船新青丸により大気・表層海水試料を採取し、前年度までに同海域で採取済みの試料と併せ、化学組成分析を行った。その結果、微小エアロゾル質量に対し有機物が約50%を占め支配的であり、水溶性成分の割合が大きいことが明らかになった。さらに有機物の安定炭素同位体比の測定から、観測されたエアロゾルのうち、海氷後退後の春季の植物プランクトンブルーム期で71%、ブルーム衰退期で64% が海洋起源であると推定された。エアロゾル中の水溶性有機炭素(WSOC)と分子トレーサー濃度との相関関係から、観測された海洋由来のWSOCの大部分は、海水飛沫による一次生成ではなく、α-ピネンや硫化ジメチルの酸化生成物に関連する前駆物質からの二次生成の寄与が大きいことが示唆された。さらにブルーム期の水溶性有機エアロゾル中のC:N平均比はブルーム衰退期の平均比より有意に低く、海洋表層の微生物活動に関連した有機態窒素エアロゾル生成の影響が大きいことが示唆された。実際、表層海水においてブルーム期の溶存態有機炭素(DOC):溶存態有機窒素(DON)の平均比(12.8)もブルーム衰退期の平均比(14.7)より有意に低く、ブルーム期のDOCとDONはオホーツク海で研究期間に優占的な珪藻類であるFragilariopsis cylindrusのようなアイスアルジーに関係していることが示唆された。これらの結果から、領域的な海洋表層から大気に放出生成される有機物の領域的な気候影響を評価する上で、植物プランクトンブルーム期のアイスアルジーに由来する有機物のエアロゾル二次生成の重要性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
南部オホーツク海および亜寒帯西部北太平洋域における研究船を用いた大気・表層海水試料取得は概ね完了しており、その一部から既に海氷後退後の植物プランクトンブルーム期における有機態窒素エアロゾルの生成に関する結果・知見が得られつつある。このような状況から当初の研究計画について概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度から引き続き、南部オホーツク海上や亜寒帯西部北太平洋での船舶観測やオホーツク海沿岸(紋別)での地上観測によって得られた大気・表層海水試料を用い、海氷後退後の植物プランクトンブルーム最盛期とブルーム前後の期間で大気エアロゾル中の有機態窒素を定量し、その化学組成を特徴づける。さらに蛍光分析等による海水中の溶存有機物の組成、植物プランクトンの量・組成・活性指標の時空間変動など、表層海水の各因子の変動と大気エアロゾルの各因子の変動とを系統的に比較する。
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