研究課題/領域番号 |
23K28214
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補助金の研究課題番号 |
23H03524 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邉 哲弘 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60456902)
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研究分担者 |
柴田 誠 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (40799607)
沢田 こずえ 名古屋大学, 生命農学研究科, 特任助教 (60795285)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | 炭素循環 / 土壌有機炭素蓄積メカニズム / 土壌粘土鉱物 / 土壌微生物 / 活性Al・Fe / 微生物群集構造解析 / 土壌生成学 / 有機炭素蓄積メカニズム |
研究開始時の研究の概要 |
土壌は陸域最大の炭素プールであり、土壌への有機炭素の蓄積は、大気中の二酸化炭素濃度を減少させる重要な方策となっている。本研究では 、有機炭素蓄積メカニズムの異なる土壌を対象として、表面科学に基づく有機炭素-粘土鉱物界面の解析と、最先端の微生物群集組成および活 性の解析によって、土壌ごとに異なる有機炭素蓄積ポテンシャルを明らかにする。さらに、土壌生成学に基づき、気候、地質情報から有機炭素 蓄積ポテンシャルの空間分布を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、有機炭素蓄積メカニズムの異なる土壌を対象として、表面科学に基づく有機炭素-粘土鉱物界面の解析と、微生物群集組成および活性の解析によって、土壌ごとに異なる有機炭素蓄積ポテンシャルを明らかにする。さらに、土壌生成学に基づき、気候、地質情報から有機炭素蓄積ポテンシャルの空間分布を解明する。本年度は、インドネシア、タンザニアの多様な気候条件下における土壌を対象として、微生物群集構造を制御している因子を特定した。その結果、気候、特に土壌水分が、土壌pH、活性Al/Fe含量、土壌有機物の分解程度を通じて、細菌及び糸状菌の群集構造に強く影響していることを示した。これら微生物は、土壌有機物の分解を司るとともに、土壌有機物の給源ともなる。また、熱帯から温帯を対象として、土壌炭素含量を規定している要因を共分散構造分析によって明らかにした。下層では、活性Al/Feが有機炭素を安定化させる影響が直接かつ強かった一方、温度は活性Al/Feを介して間接的に影響していた。表層では、活性Al/Feによる有機炭素の安定化とともに、温度や土壌pHが微生物の活性を通して、同程度の影響の強さで有機物分解を制御していた。以上のように、表層と下層で異なる有機物安定化機構があることが示された。米国西部の土壌について、共分散構造分析に基づいて同様の解析を進めた。また、土壌有機物の分子構造の分析を進め、土壌有機物の蓄積状況とそれに対する気候および土壌特性の影響についての解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多様な気候環境下における土壌を対象として、細菌及び糸状菌の群集構造を規定する因子を明らかにした。また、温帯から熱帯の土壌について、土壌生成学の観点から土壌有機物の含量を制御する機構を解析し、表層と下層で土壌有機物が異なる機構で蓄積されていることを示した。2024年度以降に向けて、有機炭素分解の温度依存性の解析および安定同位体炭素を用いた有機炭素蓄積ポテンシャルの測定の準備も、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
土壌中の有機炭素の蓄積を規定する因子についての解析を進める。これまでの解析により重要であることが判明した活性Al/Feについて、その分布を規定する要因の解明に、土壌生成学的手法をもちいて取り組む。また、安定同位体炭素で標識した有機物の土壌中での蓄積をトレースすることで、有機物の安定化の機構と蓄積のポテンシャルを明らかにする。さらに、土壌有機炭素分解の温度依存性を測定し、炭素蓄積ポテンシャルに対する温度の影響を検討する。
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