研究課題/領域番号 |
23K28222
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補助金の研究課題番号 |
23H03532 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
斎藤 徳人 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 上級研究員 (90333327)
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研究分担者 |
野澤 悟徳 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (60212130)
津田 卓雄 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (90444421)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2026年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | ライダー / 熱圏 / 半導体レーザー / 固体レーザー / 全固体レーザー / 共鳴散乱 |
研究開始時の研究の概要 |
高度領域100-300 kmの熱圏に分布している原子、分子、イオン等をプローブ粒子として利用するライダーを開発、実現し、光学的に熱圏の物理 パラメーターを高精度に測定していくための基盤を築く。熱圏の各高度領域におけるプローブ粒子の共鳴散乱スペクトルプロファイル、 すなわち熱圏温度を高い精度で導出し、地表面温度の変化量(ΔT(ES))に対する熱圏温度の変化量(ΔT(TS))の比ΔT(TS)/ΔT(ES)が地球温暖化指標 となり得るかどうか、その適性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
ライダー法による熱圏の温度他物理パラメーターの観測を実現するために、レーザー光源と受信光学系の開発研究を行った。レーザー光源については、半導体レーザー励起の固体レーザーの実現に向けて、分布帰還型半導体レーザー(DFBレーザー)を基礎としたナノ秒パルスシーダーの開発を完了した。DFBレーザーへ印加する電流を直接変調することにより、パルス動作化、ナノ秒領域においてパルス幅の制御が可能である。繰り返し速度は500 Hz以下の範囲で変更できる。それにより、300 kmまでの高度では、後続パルスに影響されない単一パルスによる事象の観測が可能である。スペクトル線幅は、プローブとなるヘリウムや窒素分子イオンを効率よく励起できるよう約1 MHzに設定した。これを増幅するための固体増幅器を構成し、1 mJの出力エネルギーが得られている。さらに中型ー大型の固体増幅器を開発中である。780-800 nm領域及びその第2高調波領域、1083 nmにおいて数mJから50 mJの出力パルスが得られる見込みが立っている。以上と並行し、主鏡の直径が350 mm、500 mmのカセグレン望遠鏡を基礎とした受光系の開発も進めている。検出器として用いる電子冷却式のMulti-Pixel Photon Counterへの散乱光の導入光学系の設計が完了し、それに沿って光学系を構成中である。レーザー光源と受信光学系の開発ともに、当初の予定通りに進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ライダー観測のための主要な要素技術となるレーザー光源及び受信光学系の開発が予定通りに進んでいる。レーザーについては、ライダー観測のカギとなるスペクトル線幅を、ヘリウムや窒素分子イオンの共鳴スペクトルを効率よく励起できるよう、1 MHzまで狭帯域化し、mJレベルまでの出力エネルギーの増幅が実現している。また単一パルス事象の観測を積み重ねていくため、500 Hz以下での繰り返し速度(パルス動作)の制御が可能となっている。受信光学系は、代表者、分担者の開発した現在運用中の北極圏ライダーの受信光学系の技術を基に、その発展型を開発中である。いずれも最上位の技術を導入した最新のシステムが実現する運びである。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に引きつづき、要素技術の充実を図る計画である。 (1) レーザー光源として、増幅系を充実させ、狭帯域スペクトル(1 MHz程度)で、数mJから50 mJの出力パルスを出力可能な半導体レーザー励起固体レーザーを実現する。 (2) ライダー観測における、シグナルノイズ比の増大の必要性を考慮し、パルスエネルギーのスケーラビリティを高めるため、増幅器の技術を充実させる。 (3) 熱圏の温度他、物理パラメーターの決定のため、音響光学素子を用いた、高精度周波数シフトシステムを開発する。 (4) 受信光学系を完成させる。受信光学系もシグナルノイズ比の増大の必要性を考慮し、ディテクターの冷却・恒温化システムの導入を検討する。 (5) レーザー光源、受信光学系を融合させ、2025年度以降に予定しているライダーの原理観測の準備を開始する。
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