研究課題/領域番号 |
23K28231
|
補助金の研究課題番号 |
23H03541 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
香崎 正宙 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 講師 (90717977)
|
研究分担者 |
石川 吉伸 湘南医療大学, 薬学部医療薬学科, 教授 (00305004)
安藤 隆幸 静岡県環境衛生科学研究所, 医薬食品部, 創薬プロジェクトリーダー・主査 (40402226)
香川 亘 明星大学, 理工学部, 教授 (70415123)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2026年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
|
キーワード | DNA修復経路 / 抗がん剤 / 薬剤耐性 / DNA修復タンパク / 遺伝的不安定性 / RAD52 / 一本鎖アニーリング / ASMS |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞のがん治療耐性獲得能を克服することは、社会的ニーズが高い重要かつ未解決課題である。そこで従来の抗がん剤のコンセプトとは異なる発想で、がん細胞が特異的に選択するDNA修復経路の主要因子を極低用量で長期的に標的阻害することが可能な抗がん剤を開発し、副作用の少ない状態で薬剤耐性を長期的に抑制できる新規がん治療法の確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
がん細胞のがん治療耐性獲得能を克服することは、社会的ニーズが高い重要課題である。申請者らはこれまでに、エラーが大きい一本鎖アニーリング(SSA)因子のRAD52を亢進するRECQL4欠損がん細胞の特徴を報告し、極低用量のRAD52阻害剤を処理すると、RAD52が亢進するRECQL4およびBRCA欠損がんに細胞特異的に、長期に渡り増殖阻害することを見出した。また、このRECQL4欠損がん細胞の特性を利用したスクリーニング系を使って複数の新規RAD52阻害剤を同定した。さらに、長期的な抗がん剤処理で耐性を獲得しやすいBRCA欠損卵巣がん細胞に対して、極低用量RAD52阻害剤を長期併用した場合、薬剤耐性獲得能を長期にわたり有意に阻害することを発見した。本研究では、生物学・生化学的アプローチを駆使してがん細胞の薬剤耐性を制御する機構を解明し、化合物合成を組み合わせて革新的な抗がん剤の開発することを目標とする。 初年度は、Selection Mass Spectrometry (ASMS)との結合を指標としたスクリーニング法の樹立に重点をおいて研究を実施した。高純度かつ高濃度のRAD52タンパクを使い、化合物ライブラリーを用いて、RAD52に結合しやすい化合物を解析することが可能なASMS実験系を最適化した。この実験系を使って、これまでにRAD52に対して強い結合能を示す化合物をいくつか同定した。 生化学実験と並行して、BRCA欠損卵巣がん細胞に対して長期的に薬剤耐性を阻害することが可能な、化学構造が異なる既知と新規の3つのRAD52阻害剤を処理した細胞と、薬剤耐性を獲得したRAD52阻害剤非処理の細胞の4つの条件をRNA-seq比較解析した結果、極低用量RAD52阻害剤を処理した細胞群でのみ、遺伝子の機能が未知の因子を含む3つの共通増加因子を同定した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究グループ間の連絡や報告会を定期的に行ったことで、Selection Mass Spectrometry (ASMS)実験系の樹立がスムーズに進んだ。具体的には、ASMS実験系のセットアップの際に、化合物ライブラリーと、高純度・高濃度のRAD52タンパクがタイムリーに提供されたことで、様々な実験条件を試みることができた。その結果、RAD52タンパクに結合する化合物の最適な実験条件を決定した。この実験条件を使って、化合物ライブラリーからいくつかのRAD52結合化合物を同定した。 生物学的な実験系では、BRCA欠損卵巣がん細胞に対して長期的に薬剤耐性を阻害することが可能な、化学構造が異なる既知化合物2つと新規化合物1つの合計3つのRAD52阻害剤を処理した細胞と、薬剤耐性を獲得したRAD52阻害剤非処理の細胞の4つの条件をRNA-seq比較解析した結果、極低用量RAD52阻害剤を処理した細胞群でのみ、遺伝子の機能が未知の因子を含む3つの共通増加因子を同定した。 また、免疫系が正常なC57BL/6マウスにおいて、極低用量RAD52阻害剤経口投与によって顕著な抗腫瘍効果が観察されたことから、腫瘍組織からリンパ球系細胞を抽出してフローサイトメトリー解析した結果、腫瘍免疫で重要なエフェクターT細胞系の有意な活性化を確認した。 以上の進捗状況から、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
ASMS実験系の特徴として、数十個の化合物を同時に処理しても、その中からRAD52に結合しやすい化合物を同定できる点が挙げられる。この特徴を最大限活用して、新たに数十化合物をまとめたライブラリーを作成することで、数千~数万化合物の中から強力にRAD52に結合する化合物を同定する予定である。
薬剤耐性を顕著に阻害する極低用量RAD52阻害剤処理群で同定した、遺伝子の機能が未知の因子を含む3つの共通増加因子を遺伝子改変でノックアウトして、これらの因子が無い条件下で、同じ薬剤耐性獲得実験を実施して、これらの新規因子が無いことで薬剤耐性阻害が生じなくなるのかどうかを検証することで、責任因子の同定を試みる。
腫瘍免疫で重要なエフェクターT細胞系の有意な活性化を確認したことから、さらにその上流のナイーブT細胞や樹状細胞の活性化を解析し、極低用量RAD52阻害剤経口投与によって生じる抗腫瘍効果の個体レベルでの理解を深める。
|