研究課題/領域番号 |
23K28236
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補助金の研究課題番号 |
23H03546 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63030:化学物質影響関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
外山 喬士 東北大学, 薬学研究科, 講師 (50720918)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | メチル水銀 / セレノプロテインP / 共有結合 / 解毒隔離 / 重金属 / リソソーム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、血漿中の主要なセレン輸送体; セレノプロテインP(SeP)が、メチル水銀と結合することで、その毒性を低減する解毒隔離因子であるか、解明を目指している。具体的には、精製SePへのメチル水銀結合を検証するとともに、それを細胞に添加したときの毒性と水銀局在について検証をすすめている。また、SePはリソソーム内部に貯留する性質があり、本オルガネラ内部において、水銀セレン結合体が蓄積する理由の一つに、本分子が関与していると考えられれ、その検証を実施している。
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研究実績の概要 |
本研究では、セレノプロテインP (SeP) に対して重金属類や親電子物質が付加体を形成し、これが、生体に取り込まれた場合重金属の毒性が低減するという仮説のもと、解毒隔離作用についての検証を進めた。 まず、ヒト血漿から精製SePを調製し、SePを高効率で取り込むモデル細胞であるヒト神経芽細胞腫SH-SY5Yの培地へ添加したところ、細胞内にSePが取り込まれ、これは様々な金属 (メチル水銀、カドミウム、ヒ素、鉛、およびスルフォラファン; 食品中親電子物質) の影響を受けなかった。次年度に細胞内の総元素量をICP/MSで測定するところであるが、現在までの結果から、SePに金属が結合した場合でも、エンドサイトーシスには影響しないことが示された。また、メチル水銀については、細胞毒性が認められる濃度において、SePと結合させて細胞に処理した場合、毒性が減少した。このことから、SePは細胞内でも金属を保持することで、細胞毒性の軽減に関わること、すなわち解毒隔離作用が示唆された。次年度は、SePが一時的に保持される細胞内小器官、リソソームにおけるメチル水銀の蓄積や他の金属元素の集積についても検証を進めることで、解毒隔離作用の詳細を検証する。 また、一方、SePに対する金属元素の結合については、これまで申請者らが開発してきたacidic-BPMLで検証するとともに、MALDI-TOF/MSによる検証も進めてきた。これらの検証から確かにメチル水銀がSePのセレノシステインに結合することが確認されたが、他の元素は、セレノシステインを介していない可能性も示された。現在、アッセイ系の高感度化を進めて、SePに対する金属の結合を検証するとともに、His-richドメインに対する配位結合の可能性も含めて、本ドメイン欠損体の調製等も実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の仮説通り、SePに重金属が結合した場合、そのまま細胞に取り込まれて毒性が軽減されている点が抑えられた。このことから、計画は順調に進行していると言える。また、金属だけでなく有機的な親電子物質もSePに結合して取り込まれるが、セレン輸送を阻害することが示された点は、過剰セレン病態を抑制する可能性まで示唆できており、一報パブリッシュすることができた。これは計画を超える進捗である。一方、結合の評価については、想定外にもセレノシステインに結合していない可能性も示唆されてきており、一つの進展であると考えられる。本点を克服する方法や準備についても進んでおり、計画はおおむね順調であると言え、研究の拡張と成果創出も含め、当初の計画以上に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
上記したように、重金属のSePへの結合を評価すること、およびその結合部位を確認することが重要であると考えており、次年度は本点の検証を進める。また、細胞内のオルガネラへの蓄積量についても評価をすすめる。
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