研究課題/領域番号 |
23K28253
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補助金の研究課題番号 |
23H03563 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64010:環境負荷およびリスク評価管理関連
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
三浦 尚之 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (70770014)
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研究分担者 |
風間 しのぶ 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (20749444)
小坂 浩司 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (60370946)
増田 貴則 国立保健医療科学院, その他部局等, 統括研究官 (20293897)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2024年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 水道システム / 病原ウイルス / クリプトスポリジウム / 医薬品 / 因果モデル / 水源流域 / 表流水 / PMMoV / ノロウイルス / ロタウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,浄水場の水道原水を対象とした調査に基づき,ノロウイルスやロタウイルス,クリプトスポリジウムの濃度や遺伝子型,それらの挙動に関連する医薬品の種類や濃度を明らかにし,統計的因果推論のアプローチにより原水取水点の上流集水域情報との関連を立証することを目指す。さらに,上流集水域情報から台風や豪雨時における水道原水中のウイルスおよびクリプトスポリジウム濃度を予測するモデルを構築する。
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研究実績の概要 |
2023年度は,水道水源流域の複数の河川において河川水試料を毎月収集し,環境水におけるヒトふん便汚染と浄水処理におけるウイルス除去を示す遺伝子マーカーとして提案されているトウガラシ微斑ウイルス(PMMoV),ヒトに加えてウシやブタなどの胃腸炎の原因となるロタウイルスの濃度を測定した。ほとんどの地点においてPMMoVとロタウイルスが検出され,下水処理水の影響により1年を通じてPMMoV濃度が高い地点など,対象流域に特徴的な汚染実態を把握した。 関東地方の浄水場において,台風に伴う大雨の影響で発生した高濁度原水試料を経時的に採水し,ウイルス核酸抽出における損失と遺伝子検出における阻害を抑えながら,効率よくウイルスを測定する条件を検討した。検討した手法を収集した水試料に適用し,PMMoVおよびロタウイルスの濃度変動を明らかにした。 中空糸膜モジュール(孔径0.45 μm)を用いたクリプトスポリジウムオーシストの濃縮手法を検討した。通知法の親水性PTFEメンブレンフィルター法と比較して,目詰まりによる膜交換や膜からのオーシスト回収操作が不要なため,簡便にオーシストを濃縮可能と考えられた。 国内21箇所の浄水場から水道原水試料を収集し,PMMoV,ノロウイルス,ロタウイルスに加えて,医薬品を測定した。PMMoV濃度の対数値は,ヒトの抗てんかん薬のカルバマゼピンとヒト,ブタ,ニワトリ等に用いられる抗菌薬のスルファメトキサゾールの濃度の対数値との間に比較的強い相関が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,浄水場の水道原水を対象とした調査に基づき,ノロウイルスやロタウイルス,クリプトスポリジウムの濃度や遺伝子型,それらの挙動に関連する医薬品の種類や濃度を明らかにし,統計的因果推論のアプローチにより原水取水点の上流集水域情報との関連を立証することを目指す。 2023年度は,当初の計画通り,水源流域の河川水や原水試料を収集し,ウイルスおよびクリプトスポリジウムの簡便で高効率な測定手法を検討した。また,検討した手法を収集した水試料に適用し,PMMoV,ロタウイルスの濃度を測定しデータを蓄積した。さらに全国の水道原水試料に含まれる医薬品を測定し,PMMoV濃度とカルバマゼピン,スルファメトキサゾール濃度との間に有意な正の相関関係を見出した。 以上の結果から,今年度は実施計画に沿っておおむね順調に研究を遂行することができたと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,以下の5つのタスクに取り組むことで,3年間での研究目的達成を目指す。タスク1:水道原水中のウイルス調査。タスク2:高濁度原水中のクリプトスポリジウム分析手法開発と調査。タスク3:水道原水中の医薬品・溶存有機物調査。タスク4:水道原水中のウイルス・クリプトスポリジウム・医薬品・溶存有機物濃度と上流集水域情報の因果関係分析。タスク5:豪雨時におけるウイルス・クリプトスポリジウム濃度の予測。2024年度は,タスク1から3に継続して取り組む。 タスク1:2024年度も関東地方の浄水場および水源上流域河川において,定常時の原水試料を採水する。また,6月から10月に発生する豪雨や台風時には経時的に高濁度原水試料を採水する。水試料中のウイルスは陰電荷膜法により濃縮後,ウイルス核酸を抽出し,リアルタイムRT-PCR法によりノロウイルスやロタウイルスの遺伝子を定量検出する。陽性と判定された試料からは,遺伝子型解析のためのPCR産物を取得し,ウイルスのゲノム配列を決定する。 タスク2:タスク1で収集した定常時と高濁度時の原水試料を用いて,クリプトスポリジウムの効率的な分析法を検討しながら,濃度および遺伝子型を調査する。分析法としては,限外ろ過膜を用いた濃縮法,抗体修飾磁気ビーズを用いた精製法の有効性を評価する。特異性を確認するために,塩基配列を解析し,クリプトスポリジウムを種・遺伝子型レベルまで確認する。 タスク3:タスク1で収集した原水試料を対象に,固相抽出による濃縮と精密質量分析計(LC-Orbitrap/MS)を用いたスクリーニング分析により,網羅的に化学物質の存在状況を把握する。このうち,豪雨時の試料に特徴的な化学物質について明らかにする。加えて,データ解析ソフトを用いて,病原微生物に感染する宿主と関連が想定される医薬品等の化学物質の存在についても評価する。
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