研究課題/領域番号 |
23K28259
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補助金の研究課題番号 |
23H03569 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
西嶋 渉 広島大学, 環境安全センター, 教授 (20243602)
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研究分担者 |
梅原 亮 広島大学, 環境安全センター, 助教 (40825791)
奥田 哲士 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (60343290)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | マイクロプラスチック / 生分解 / オゾン改質 / 汚泥減容化 / 下水処理 / 化学繊維 / オゾン / 改質 |
研究開始時の研究の概要 |
家庭等から洗濯を通じて繊維状マイクロプラスチック(MP)が多量に排出されているが、下水処理施設でそのほとんどが捕捉除去されている。捕捉されたMPは分解されることなく、下水汚泥に移行し、農業利用などを通じて再度環境中に放出される。本研究では、下水処理施設の返送汚泥ラインにオゾン処理を組み込み、汚泥中のMPをオゾンにより生分解可能な構造に改質し、曝気槽で好気分解、さらに好気的には分解できなかったMPを消化槽に送り、嫌気分解により無機化させるプロセスを構築することを目的とする。本研究では、MPを排水中から汚泥に移行させるだけの従来技術の課題を解決し、MPを分解し、根本的に問題を解決することを目指す。
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研究実績の概要 |
ポリエステル、ナイロン6、アクリルの3種の化学繊維について、単独でのオゾン処理およびオゾン/過酸化水素処理を行い、活性汚泥中で3か月間の好気分解試験を実施した。オゾン処理およびオゾン/過酸化水素処理ともに、3種の化学繊維のカルボニルインデックス値を高めることが明らかとなり、微生物の分解を受けやすい構造に改質されたことを確認した。オゾン単独の処理とオゾン/過酸化水素処理を比較すると、同一のオゾン供給量ではややオゾン/過酸化水素処理が改質効果が高かったが、大きな違いはなく、オゾンだけで十分改質が可能であることが示された。 改質された化学繊維は好気的な条件下、活性汚泥中で、いずれも生分解された。3か月の分解処理において、ポリエステルとアクリルは約15%分解し、ナイロン6では約50%まで分解した。オゾン処理およびオゾン/過酸化水素処理によって改質された化学繊維で生分解性の違いはほとんどなかった。オゾン/過酸化水素処理では、オゾン処理より強い酸化力を有するヒドロキシルラジカルが生成することが知られているが、カルボニルインデックス値で評価した改質の度合いに違いはなく、生分解性も変わらなかったことは、オゾン単独でも十分生分解性を高める改質ができたことを意味する。一方で、オゾン処理あるいはオゾン/過酸化水素処理をしていないポリエステルとアクリルは分解しないことを確認した。ナイロン6は化学処理なしでも10%程度の分解が起こった。 実用化されている汚泥減容化処理では、オゾンのみが用いられているため、今回のオゾンのみでも十分な化学繊維の改質を行うことが可能で、生分解できたという結果は、実用的には大きな意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画したポリエステル、ナイロン6、アクリルの3種すべての化学繊維について、単独でのオゾン処理およびオゾン/過酸化水素処理を行い、カルボニルインデックス値に基づく改質効果を評価した。他の基準での評価はまだであるが、微生物の分解を受けやすい構造に改質されたことを確認できた。 オゾン処理およびオゾン/過酸化水素処理により改質した3種の化学繊維について、活性汚泥中で3か月間の好気分解試験を実施し、その結果、3種の化学繊維ともに改質することによって生分解が起こることを確認できた。 以上の結果から、本研究の主要な目的である化学繊維をオゾン改質し、本来生分解を受けない化学繊維を生分解させることを概ね達成できたといえ、研究は計画以上に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ここまで、本研究の基本的な目的である化学繊維をオゾン改質し、本来生分解を受けない化学繊維を生分解させることを達成できた。対象とした3種の化学繊維でいずれも上記の現象が起こることが確認できた。次のステップとして、オゾン改質による化学繊維の構造変化をカルボニルインデックス値以外の方法で評価していく。具体的には、走査電子顕微鏡での表面観察、分子量変化による評価を行う。また、これまでのオゾン改質は化学繊維単独で行ったが、活性汚泥中に存在する化学繊維での同様な改質が可能であるか、その場合に要求されるオゾン量はどの程度であるかなどより実用的な側面からの評価を行っていく予定である。 また、ここまで好気的な条件下での生分解について評価してきたが、嫌気的な条件下での生分解についても評価する予定である。
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