研究課題/領域番号 |
23K28283
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補助金の研究課題番号 |
23H03593 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64050:循環型社会システム関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
琵琶 哲志 東北大学, 工学研究科, 教授 (50314034)
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研究分担者 |
高尾 学 松江工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (00332057)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | 熱音響デバイス / 往復流型タービン / エネルギー変換 / 低動作温度差 / 液体ピストンエンジン / 熱音響自励振動 / スターリングエンジン / 外燃機関 |
研究開始時の研究の概要 |
液体ピストンエンジンは温度差によって作動流体の自励振動を発生し,往復流型タービンは往復振動流のエネルギーを機械的回転運動のエネルギーに変換する. これらに回転式発電機を組み合わせれば簡単な装置で,多様な熱源からの入力熱量を動力に変換し,さらにそれから発電することが可能になる. 本研究では,往復流型タービンを内蔵した液体ピストンエンジンを作成し,再生可能エネルギーおよび各種排熱を有効活用するためのエネルギー変換技術に応用するための基盤的知識を得る.
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研究実績の概要 |
液体ピストンエンジンを熱交換器,蓄熱器を含む気柱部と,U字管で構成する液柱部で構成した.熱交換器はしんちゅう製の円筒ブロック(直径45mm,長さ70mm)に多数の穴(3.5mm)を開けて作成した.蓄熱器には自動車用触媒単体を流用し,1mm以下の流路径でしかも高い空隙率を有する多孔体とした.U字管には塩化ビニルパイプ(直径40mm)を使用し,半径250mmの円弧を描くように加工した.合計で4つの気柱部,液柱部を使用して系を構成し,そのうちの一つのユニットにはタービンを挿入できるような箇所を設けた. 熱交換器を用いて蓄熱器に温度差を与えて動作確認を行った.気柱部分にタービンを挿入したところ,振動状態に達してもタービンは回転をしなかったが,液柱部分にタービンを挿入した状態ではタービンは回転動作を始め,その回転数は,振動流速の振幅に比例する結果となった.液体ピストンエンジンでタービン動作を確認できたのは申請者の知る限り初めての事例である. さらに,タービンによるエネルギー散逸を振動流速度と圧力の計測により実験的に決定し,エネルギー散逸は速度振幅の3乗に比例することを明らかにした.また,タービン挿入の結果,エンジンを構成する4つのユニットにおいて,振動状態を比較したところ,タービン挿入前には同一の振動状態が90度の位相差を持って生じていたが,挿入後には対称性が崩れた振動状態となった.対称性はエンジン性能を確保する上で重要な要件であることから,タービン配置に気を配る必要があることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の研究で,往復流型タービンは音響周波数でも動作することが熱音響系で報告されていたが,比較的速度振幅の大きな音響場での動作報告に限られていた.本研究で対象とする液体ピストンエンジンのような速度振幅の小さな系での報告例はなかった.また往復流タービンはもっぱら波力発電用の大型(典型的には直径30センチ)サイズのものが大きく,液体ピストンエンジンに実装するにあたり,かなり小さくする必要があった.そのため3Dプリンタで作成することにしたが,タービンのローター,ガイドベーンが小さく,大型のタービンに比べて相対的に工作精度が悪いことも懸念された.実際に液体ピストンエンジンの液柱部に挿入したところ,安定的に動作することがわかった.たとえ作動流体の速度振幅が小さくても,作動流体の密度が大きければ動作すると考えている.タービンが一方向回転したため,その回転数の時間的なゆらぎ,エネルギー損失(圧力と速度の同時計測)も含めて計測できた.また,液柱に挿入したフロートをカメラで動画記録し,そこでトラッキング処理することで液柱振動をモニターすることも可能になった.今後研究を進めていく上で必要な基本的な計測システムを構築できた.以上のことから順調に研究が進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
計測システムの充実を図る.具体的には,3台のカメラを追加し,それによって4つのユニットの液柱振動を同時に計測する.これにより,往復流タービンを挿入することにより,系の振動状態の対称性の崩れを評価することを計画している.必要になるのはカメラのほかに,制御用のPCであるが,1台のカメラの露光信号に同期してほかのカメラの露光タイミングを合わせる必要がある.4ユニットの液柱振動の位相差を正確に決定するために同時性の確保が重要となる.同じ対象を複数のカメラで計測することで同時性の確認を行う予定である. タービンを挿入しない状態については,液体ピストンエンジンが振動開始する臨界温度差と振動周波数を十分な精度で予測できることがわかっている.タービンの負荷特性を考慮して,タービンを挿入した状態でも同様の予測を可能にする.また臨界温度差以上における温度差増大に伴う振動振幅成長を,熱交換器における伝熱量をもとに理論的,数値的に解析する.これまでの計測から,液柱の自励振動の飽和振幅を決定しているのは振動ダイナミクスの非線形性というよりもむしろ熱的な要因が支配的であると考えているからである. タービンにはウェルズ型と衝動型の2種類がある.それぞれを速度振幅,振動数がともに低い液柱振動内に設置したとき,どちらがより有効にエネルギー変換可能かはわかっていない.作成した試験装置をもとにその特性評価を実施する.また数値的にタービン効率を評価し,実験と比較して理解を深める.
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