研究課題/領域番号 |
23K28303
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補助金の研究課題番号 |
23H03613 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宇山 智彦 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (40281852)
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研究分担者 |
江藤 名保子 学習院大学, 法学部, 教授 (30648332)
小森 宏美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50353454)
澤江 史子 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (70436666)
野島 陽子 (加藤陽子) 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (90218321)
赤尾 光春 国立民族学博物館, グローバル地域研究国立民族学博物館拠点, 特任助教 (90411694)
中溝 和弥 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90596793)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 大国―中小国関係 / ユーラシア現代史 / 帝国論 / 感情の地政学 / 世界秩序 / 大国・中小国関係 |
研究開始時の研究の概要 |
中国の台頭とロシアのウクライナ介入・侵略によって注目され、世界秩序の不安定要因となっている大国主義に対して、学問はどのような応答ができるだろうか。これまで大国政治論の中心であった、大国間の権力政治のみに注目するネオリアリズム的な国際政治学では、ウクライナや台湾などの中小国・地域が関わる紛争を適切に理解できない。本研究は、大国主義が威信の追求や歴史的な復讐心といった感情に支えられていること、中小国との関係が重要な意味を持っていることに注目し、大国主義の出現の背景を、現代史の流れの中でのユーラシア諸大国の事例比較、歴史的な先例(特に日本帝国)の参照、内政との関係の分析によって明らかにする。
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研究実績の概要 |
研究会では、まず、国際政治学や歴史学における既存の大国論・小国論を、古典的な研究から、Matthias Maass、Hanna Samir Kassab、Mark Mazower、Ayse Zarakolらの近年の研究に至るまでレビューした。大国主義と帝国主義やナショナリズムの関係、現在の大国・中小国間関係と歴史的先例の類似性と相違点、各国の大国主義のあり方については幾度も議論を積み重ねた。個別のテーマとしては、日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦が日本の大国主義に対して持った意味および日中戦争緒戦の失敗の背景と、中国の大国政治における「中国式民主」などの価値・ディスコースの位置づけを取り上げて検討した。また、他のプロジェクト等との共催研究会・シンポジウムでは、現在進行中のロシア・ウクライナ戦争に関連する問題に焦点を合わせ、中央アジアの地政学(特にロシアの影響力持続の原因)や、ロシアの介入・侵略を受けてのウクライナ文化の変化について、多角的に議論した。 海外現地調査としては、研究代表者がアゼルバイジャン、ジョージア、アルメニアに出張し、アゼルバイジャンによるロシア黙認下でのナゴルノ・カラバフ「奪還」や、ジョージアのウクライナ戦争に対する曖昧な態度、アルメニアの欧米接近などに見られる大国・小国関係のもつれを調査した。研究分担者たちは台湾、トルコ、エストニアに出張し、大国主義や大国・小国関係と国内政治の関係(歴史的経緯や歴史認識を含む)を調査した。 これらの議論や調査の成果として、インド、トルコ、中国の大国主義的政治や、ロシアの大国主義の周辺諸国への影響などについて論文発表や学会報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画通り、本研究課題の問題意識についての話し合いを深め、先行研究や関連研究者に関する情報を交換した。特に、大国論・小国論において指摘されてきた大国・中小国の行動様式と、各メンバーが研究する地域・時代の事例の対応関係、および分析を深めるべき面について認識を共有できたことで、今後の研究を進めるための手応えが得られた。海外現地調査では、大国の行動と中小国の行動の複雑な相互作用や、中小国同士の関係の変化について、新しい知見が得られた。研究実績はまだ初期段階ではあるが、大国主義とその影響について論文発表や学会報告を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究会の主催・共催と海外調査を継続するとともに、成果発表、特に外国語での論文発表・学会報告に力を入れる。また、海外の研究者との交流を強化し、2025年度に開催予定の国際シンポジウムの準備を進める。
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