研究課題/領域番号 |
23K28322
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補助金の研究課題番号 |
23H03632 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
加藤 敦典 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (60613750)
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研究分担者 |
宮沢 千尋 南山大学, 人文学部, 教授 (20319289)
岩井 美佐紀 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (80316819)
比留間 洋一 静岡大学, 国際連携推進機構, 講師 (30388219)
野上 恵美 武庫川女子大学, 心理・社会福祉学部, 講師 (90782037)
小田 なら 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (70782655)
余 乾生 長崎国際大学, 人間社会学部, 助教 (21003534)
伊藤 まり子 京都外国語大学, 国際言語平和研究所, 客員研究員 (70640887)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 高齢者 / ケア / ベトナム / 文化人類学 / 社会学 / 世代間相互扶助 / コミュニティ・ケア / 在日外国人 / うつ / 介護人材 / 施設ケア |
研究開始時の研究の概要 |
ベトナムは発展著しいアジアの新興国である。しかし、ベトナムでも少子化や人々の移住の増加にともない、高齢者ケアの問題が少しずつ顕在化しつつある。そのようななか、ベトナム政府は高齢者ケアのありかたをどのように構想しているのか、また、その構想が実際のケアの現場で、家族、共同体、福祉施設、宗教団体などがおこなう創意工夫とどのように結びついているのか。この研究では、ベトナム社会について研究する専門家たちが、看護・介護学や法学の専門家と協働しながら、現地調査を実施し、その成果をシンポジウム等で議論することにより、ベトナムの高齢者ケアのありかたの潜在力と限界を把握し、今後の課題解決のための提言をおこなう。
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研究実績の概要 |
ベトナム農村における高齢者の居場所がおもに息子たちの居住地のあいだでローテーションするとともに、ケアの義務と権利が世代的に継承される実態について明らかにすることができた(岩井美佐紀)。他方、ベトナム農村におけるコミュニティ・ケア・プログラム(多世代相互扶助クラブ)の活動を通して、女性たちの地域コミュニティへの関与が増大し、それを通してコミュニティの公共圏としての性格に変化があらわれていることも明らかになった(加藤敦典)。在日ベトナム人社会における高齢者ケアについて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響のもと、うつ傾向をかかえる在日ベトナム人が増加したことがあきらかになった(野上恵美)。また、神戸市長田区での調査に基づき、在日ベトナム人を含む共生の場としての地域コミュニティの性格を明らかにするとともに、日本における在日外国人のケアをめぐる地域課題も明らかになった(野上恵美)。そのほか、日本で働くベトナム人介護人材による介護分野におけるベトナムへの技能移転の可能性についての事例を収集するとともに、実際に海外で看護・介護を学んだ人材が主体となってベトナムにおいて新しいスタイルの小規模多機能型介護施設がつくられている実例もあきらかになった(比留間洋一)。 プロジェクト全体としては、2度にわたるベトナムでの合同調査を実施した。第1回は中部ベトナム・ハティン省にあるすべての公営・民営の社会養護施設を視察し、ベトナムの地方社会における施設ケアの全体像を把握することができた。第2回は南部(ヴンタウ市)、中部(ダナン市)、北部(ハノイ市)の先進的な民間高齢者養護施設を視察し、高齢者ケアの「市場化」にかかわる制度的な枠組みとその実際的な運用について把握することができた。また、HelpAge Vietnamとベトナム高齢者協会本部を訪問し、高齢者法改定に向けた問題意識についての調査も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各メンバーのこれまでの研究蓄積も活かしつつ、初年度からいくつかの研究成果を発表することができた。また、2度にわたる合同調査により、プロジェクト・メンバーの問題意識の共有を図ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、あらたに中国の高齢者法制の研究を専門とする余乾生氏を研究分担者に加え、高齢者法制の法(社会)学的な国際比較研究を強化する。日本文化人類学会の研究大会にて、一部のメンバーが高齢者の「居場所」に関する分科会を組織する。また、合同調査の成果をふまえつつ、各自が現地調査や文献調査を実施する。2025年度はベトナムから研究者や高齢者ケアの実務担当者を招聘し、日本でシンポジウムを開催する。また、研究成果を現地社会に還元するため、ベトナムでもワークショップを開催する。2026年度はそれらの成果を書籍として出版するための執筆作業と原稿の相互検討をおこなう。
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