研究課題/領域番号 |
23K28323
|
補助金の研究課題番号 |
23H03633 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
宇佐見 耕一 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (50450458)
|
研究分担者 |
受田 宏之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20466816)
額田 有美 南山大学, 外国語学部, 講師 (20838528)
狐崎 知己 専修大学, 経済学部, 教授 (70234747)
村上 勇介 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (70290921)
柴田 修子 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (70573707)
坂口 安紀 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 主任調査研究員 (80450477)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2027年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2026年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
|
キーワード | ラテンアメリカ / 社会的脆弱層 / 政治 / 貧困 / 先住民 / 社会保障 / インフォーマルセクター / 社会的脆弱者 / クライエンテリズム / 収賄 / 暴力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ラテンアメリカにおける社会的脆弱層が日々の暮らしを維持していく上で必要な日常の政治的行為、特に非正規の政治行為である クライエンテリズム、収賄、暴力等がなぜ必要となり、そしてそれがどのように機能しているのかという問いに関して、それを各国の民主主義 の質・政治制度や経済・社会構造と関連させつつ、政治学(政治経済学)、人類学や社会学等の手法による学際的な分析を行うことを目的とする
|
研究実績の概要 |
本研究では、ラテンアメリカの社会的脆弱層が日々の暮らしを維持していく上で必要な日常の政治的行為、特に非正規の政治行為であるクライエンテリズム、収賄、暴力等がなぜ必要となり、そしてそれがどのように機能しているのかという問いに関して、それを各国の民主主義の質・政治制度や経済・社会構造と関連させつつ、政治学(政治経済学)、人類学や社会学等の手法による学際的な分析を行うことを目的とする。 第1に社会的脆弱層の生存戦略の中で、非正規の政治ルートの実態を明らかにする。第2に非正規の問題解決にはどのようなメリットとデメリットがあり、社会的脆弱層はなぜそれを選択するのかを明らかにする。第3に非正規のルートに社会的脆弱層が依存することが、その国の民主主義の質や経済・社会構造とどのような関係にあるのかを明らかにする。 海外現地調査には、宇佐見がアルゼンチンの貧困層の社会運動(ピケテーロ)と社会福祉政策の関係を調査した。2024年末に成立した右派のミレイ政権は、こうした社会運動と社会扶助の結びつきを断絶しようとしている。柴田はメキシコにおける移民の状況と、移民に関するメキシコの政策を調査した。狐崎は中米でのインフォーマルセクターの調査をした。 2024年3月12日にメキシコから2名の専門家を招聘し、同志社大学ラテンアメリカ研究センター等との共催で公開シンポジウムを開催した。Jose Carlos Alba Vega氏(メキシコ大学院大学教授)が「民衆商店労働者の政治組織」に関して発表し、Lorenza Villa Lever氏(メキシコ国立自治大学教授)が「メキシコにおける人権としての高等教」」に関して発表し、その後質疑がなされた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、5年間続く本研究会「ラテンアメリカの社会的脆弱層の生存戦略と日常の政治:クライエンテリズム・収賄・暴力」の初年度あり、各研究者の分担、研究の方向性、スケジュール等を決定し、本調査に向けての準備研究を行った。 研究分担は、こと宇佐見が総括とアルゼンチンの事例の政治学的分析、狐崎が中米を事例とし政治学的分析、受田がメキシコを事例として政治学的分析、坂口がベネズエラを事例として政治学的分析、村上がペルーを事例として政治学的分析、柴田がメキシコを事例として社会学的分析、額田がコスタリカを事例として人類学的分析をするとなった。 23年度海外現地調査には、宇佐見がアルゼンチンの貧困層の社会運動(ピケテーロ)と社会福祉政策の関係を調査した。21世紀初頭ピケテーロは、道路を封鎖して政府に対して貧困者への社会扶助を要求する社会運動であった。しかし、その後の左派政権、キルチネル政権、クリスティーナ政権およびフェルナンデス政権下で政権と強く結びつくようになった。他方左派政権側のインフォーマルセクターへの政策は拡大し、社会運動が社会扶助を運営するようになっている。2024年末に成立した右派のミレイ政権は、こうした社会運動と社会扶助の結びつきを断絶しようとしている。柴田はメキシコにおける移民の状況と、移民に関するメキシコの政策を調査した。狐崎は中米でのインフォーマルセクターの調査をした。 2024年3月12日にメキシコから2名の専門家を招聘し、同志社大学ラテンアメリカ研究センター等との共催で公開シンポジウムを開催した。Jose Carlos Alba Vega氏(メキシコ大学院大学教授)が「民衆商店労働者の政治組織」に関して発表し、Lorenza Villa Lever氏(メキシコ国立自治大学教授)が「メキシコにおける人権としての高等教」」に関して発表し、その後質疑がなされた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、各自の研究分担に従い、個別に研究を深めてゆくこと。各自の研究分担とは、宇佐見が総括とアルゼンチンの事例の政治学的分析、狐崎が中米を事例とし政治学的分析、受田がメキシコを事例として政治学的分析、村上がペルーを事例として政治学的分析、坂口がベネズエラを事例として政治学的分析、柴田がメキシコを事例として社会学的分析、額田がコスタリカを事例として人類学的分析をすることである。 個人の研究を深めることと並行して、共通の分析枠組みの構築を行う。勿論、各研究者は政治学、社会学、人類学と方法論を異にするが、社会的脆弱層の政治を分析する際の共通の視点を構築したい。そこにはHollandoの提唱するforberance(政治家による不法行為の黙認が社会的脆弱層にとっての社会政策の一つとなりうる)といった視点も取り入れてゆきたい。 本研究会にとって現地調査は不可欠であり、毎年ほぼ全員現地調査を行っている。24年度に本科研費を利用して現地調査を行うものは、村上がペルーの社会的脆弱層の政治を政治学視点から調査する。額田はコスタリカにおける先住民を事例として千寿民社会における社会政策と関連した政治を文化人類学の視点から分析する。 2024年は、予備調査を行い2025年度から本調査を開始する。25年度末には同志社ぢs学ラテンアメリカ研究センターとの協力のもとに、ラテンアメリカから研究者を招聘し、シンポジウムを行う。26年度には同様の調査を行うが、中間年にあたるためまとめのシンポジウム開催を計画している。
|