研究課題/領域番号 |
23K28329
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補助金の研究課題番号 |
23H03639 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山村 高淑 北海道大学, 観光学高等研究センター, 教授 (60351376)
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研究分担者 |
張 慶在 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (50782140)
中島 亜紀 (西岡亜紀) 立命館大学, 文学部, 教授 (70456276)
渠 蒙 北海道大学, 観光学高等研究センター, 准教授 (40910295)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2027年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2026年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ツーリズム / コンフリクト / 創造的対話 / 多声性 / コンテンツツーリズム / 対話 / 東アジア / 解釈共同体 / 物語 / 異文化対話 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ツーリズムにおける異文化間コンフリクト(衝突・摩擦)発生のメカニズムを、一連の異文化対話プロセスを通して個人や集団の間に形成・強化される差異・境界としての〈多声性〉に着目することで明らかにすること、そしてそれを踏まえ、〈多声性〉を許容し、解釈共同体間での相互理解が促進される〈創造的対話〉は、いかなる要件の下に成立しうるのか、国際的な事例比較から実証的に明らかにすることを目指すものである。なお、本研究では、ツーリズムを、特定の場所に紐づけられたコンテンツ(物語世界)に対する解釈を巡る〈他者との一連の異文化対話プロセス〉として定義する。
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研究実績の概要 |
本年度は以下の3点において研究を展開した。 第一に、文献調査の実施である。ツーリズムにおける衝突と対話を巡る事例を幅広く収集するとともに、こうした事例を分析するための理論的枠組み構築を試み、その成果を複数の国際学会にて口頭発表するとともに、複数の論文として発表した。 第二に、現地予備調査の実施である。日本と周辺諸国・地域との間におけるツーリズム現象上のコンフリクトの実態を把握し、次年度以降の具体的調査対象地域の絞り込みを行うことを目的として、東京都、兵庫県、広島県、長崎県、沖縄県、グアム・サイパン等で予備調査を実施した。その結果、歴史的に文化交流・交易・戦争等において、日本と諸外国・地域との接触の場となってきた主要なルート(ライン)を5つ設定した。すなわち、北方ー北海道ライン、朝鮮半島ー九州ライン、中国ー九州ー瀬戸内ライン、台湾ー琉球諸島ー九州ライン、本土ー南洋ライン、の五つである。 第三に、対話型の研究会・国際会議の開催である。本研究の重要な論点である「対話論」「対話型ツーリズム論」の構築を狙いとして、民産官学協働型のステイクホルダーサミットを呉市で開催し、行政担当者による事例報告、研究者による討論、現地での市民と研究者との対話等を通して、対話型ツーリズムの可能性と課題を探った。同時に、研究代表者と分担者による共同現地調査を長崎市において実施することで、現地での研究者同士の対話を通して論点の整理、今後の調査方針の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、上記「研究実績の概要」にて述べたとおり、文献調査、現地予備調査、研究会・国際会議の開催、の3点において研究を積極的に推進し、おおむね順調な研究進捗を達成した。 具体的には、基礎資料収集、現地予備調査を積極的に行うとともに、その結果を代表者・分担者間で共有・分析を行うことで、ツーリズムにおける異文化間のコンフリクトと創造的対話が顕著に確認できる、日本とその周辺国・地域を結ぶエリアとして、5つの帯状の異文化衝突・交流ルートを設定することができた。これにより、次年度以降、本格的な現地調査を実施していく段階に進むことが可能となったことは大きな進捗であった。 また、これと同時に、研究会・国際シンポジウムの開催を通して、理論的枠組みの検討を大きく進めることができ、そうした成果の一部を論文等で発表することができた。 さらに、代表者・分担者による対話型の共同現地調査の実施や、民産官学協働型の国際会議「ステイクホルダーサミット」の実施を通して、「創造的対話」の実践的枠組みの検討を行うことができたのも、今後の理論的枠組みの構築に向けた大きな情報・経験蓄積となった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の順調な研究進捗を踏まえ、2024年度以降も、当初計画に沿って研究を進めていく方針である。なお、より効率的に現地調査を進めていくため、2023年に設定した5つの重点エリアの中から、さらに典型的な事例を具体的調査スポット(都市や地域)として設定し、積極的な実地調査を行っていく予定である。また、引き続き、言語学、コミュニケーション論、平和学等の領域における知見の、ツーリズム分野への適応を試み、そこで得られた知見に、現地調査での経験的データの分析結果を加味することで、「対話型観光」という新たな概念・理論の構築を進めていく。そして、こうした取組の成果を積極的に国際会議等で発表していく予定である。
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