研究課題/領域番号 |
23K28343
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補助金の研究課題番号 |
23H03654 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
小区分08010:社会学関連
合同審査対象区分:小区分80030:ジェンダー関連、小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
岡野 八代 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70319482)
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研究分担者 |
申 キヨン お茶の水女子大学, ジェンダー研究所, 教授 (00514291)
丸山 里美 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20584098)
武田 宏子 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (20622814)
和田 昌也 同志社大学, 研究開発推進機構, 助手 (30910088)
遠藤 美奈 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (40319786)
元橋 利恵 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 招へい研究員 (50846748)
田中 智子 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (60413415)
三牧 聖子 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 准教授 (60579019)
本山 央子 お茶の水女子大学, ジェンダー研究所, 特任リサーチフェロー (70906867)
三浦 まり 上智大学, 法学部, 教授 (80365676)
秋林 こずえ 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (90377010)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2026年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2025年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | feminism theory / theory of the state / care ethics / national security / フェミニズム / 国家論 / ケア / 安全保障 / Care |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、新自由主義の席捲、民主主義の退潮、グローバルな人の移動、とりわけ戦禍を逃れる難民たちの流入と、彼女/彼らを脅威とみなす国家の安全保障化の連動のなかで、国家の存在意義を問い直し、ケア理論・ケアの倫理に根ざしたフェミニズム理論から、新しい国家論を構築することを目指す。本研究によって、ジェンダー不平等、男女の労働分業、再生産/ ケア労働の簒奪の批判的考察と、ケア実践に関わる人びと、諸制度をめぐる実証研究を経て、資本主義と国家主義の連動の本質を描き出し、18世紀に登場した安全保障を存在意義とする国民国家に代わる、フェミニスト的なケアの倫理に裏打ちされた民主的国家像を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、90年代以降のフェミニズム理論の蓄積に学びながら新たな国家論を展望することにある。その目的を果たすために、つぎの二つの課題をたてた。①政治学に留まらず、より学際的に説得力ある、そして日本における現実政治をよりよい政治へと導くための、フェミニズムの研究蓄積に基づく、国家のあるべき姿を提示すること。②民主主義国家、とくに日本において、安全保障についてもケア労働についても民主的な議論の外に置かれている現状を克服する。 上記二つの課題を遂行するために、2023年5月における全研究分担者が参加した研究打ち合わせの後、7月に政治思想史・フェミニズム理論を専門とする、岡野と和田が、12月には母親研究・社会学・社会福祉を専門とする元橋と田中が、そして24年3月には、政治理論・フェミニスト政治経済学が専門の本山と武田がそれぞれ、最新の研究動向に触れつつ、本課題に対するそれぞれの見解、そしてアプローチを報告し、意見交換をした。 また、ひろくフェミニズム研究の交流を広げることで、新しい研究領野を開拓しようとすることも視野にいれ、大学院生の学術交流、若手研究者の育成をめざす報告会も同志社大学にて開催することができた。そこでは、オックスフォード大学からの短期留学生を含んだ複数の大学院生の研究が報告された。 同時に23年度のあいだに、来年度の目的のひとつであるミネソタ大学名誉教授ジョアン・トロント先生の招へいに向けた準備を整え、来年度の招へいを確約することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究としての研究課題は、上記4回の研究会を通じて、問題関心の共有を行い、他分野にわたる研究分担者の研究動向について意見交換を行うことができたため予定通りに遂行されている。 なお、研究代表者としては、刻々と国際情勢が変化し、また日本国内においても安全保障問題と憲法問題、また国内政治の不安定化に伴う家族制度への介入といった事態にも対応できる研究体制が組めたと確信している。とりわけ、暴力独占装置に他ならない国家の安全保障と国民の再生産をめぐっては、本研究課題が取り組むべき重要な問題として、来年度に向け新たな課題が提起されていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
24年度にとりくむべき課題のひとつは、合衆国ミネソタ大学名誉教授のジョアン・トロント先生を招へいし、各研究者との交流をはかることである。トロント先生は、本研究課題と日本政治思想学会とが共同で招へいし、24年5月25日の国際シンポジウムで基調講演を行っていただくことが決まっている。また、その後、研究分担者の本務校である上智大学、名古屋大学、そして研究代表者の同志社大学にて、各講演会、シンポジウム、研究交流がもたれる予定である。 国際的なケアの政治理論をけん引してきたトロント先生との学術交流を通じて、本研究課題についても貴重な進言、示唆を受け取ることが期待されている。 また、来年度は、前年度に引き続き、とくに国際政治、安全保障研究を中心に研究会を秋に開催する予定である。そのさい、さらに若手研究者の参加も促すこととなっており、今後の研究推進についても順調であると思われる。
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