研究課題/領域番号 |
23K28415
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補助金の研究課題番号 |
23H03726 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 郁郎 東北工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (90516311)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
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キーワード | 脳オルガノイド / 微小電極アレイ / 電気活動 / 組織評価 / CMOS-MEA / ヒトiPS細胞 / アルツハイマー病 / てんかん |
研究開始時の研究の概要 |
1細胞レベルで脳オルガノイドの電気活動を計測し、脳オルガノイドの「組織構造」と「機能」を同時評価できる薬効評価法を開発する。また、疾患脳オルガノイドと健常脳オルガノイドの機能比較に有効な評価法を開発する。
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研究実績の概要 |
本年度は、疾患患者由来iPS神経モデルの機能評価並びにCMOS-MEAによるヒト脳オルガノイドの電気活動計測法の構築を行った。具体的な成果は以下の通りである。 ①疾患脳オルガノイドの機能評価:アルツハイマー病患者由来iPS細胞株を、神経細胞に分化誘導し、神経ネットワークの電気活動並びに化合物に対する応答を評価した。また、ドラベ症候群患者(DS)由来iPS細胞、健常者由来iPS細胞から脳オルガノイドを作製し、切片作製と免疫化学染色により脳神経構造が構築されていることを確認した。DSオルガノイドの自発活動、禁忌薬に対する応答を取得、低周波解析を行い、一部、生体脳波との相関を検出した。低周波解析が疾患と健常脳オルガノイドの機能比較に有効な評価法であることを見出した。 ②CMOS-MEAによる脳オルガノイドの電気活動計測:CMOS-MEAによるヒト脳オルガノイドの電気活動計測法を確立するため、CMOS-MEA上に脳オルガノイドをマウントし、電気活動を計測した。脳オルガノイドは球形の三次元組織であるため、生体脳スライス、平面培養系と比較してCMOS-MEA電極との接地面積が小さく、電気活動取得効率上昇のために電極の改良が必要であった。そこで、電極表面に修飾を行い、電極表面積を増加させることで、オルガノイドとの接地面積を増加させた。これにより、活動取得電極数、取得電圧値が増加した。また、脳オルガノイドの1細胞レベルの電気活動やネットワーク伝播を確認した。 ③脳オルガノイドスライス計測法の検討:脳オルガノイドは組織と比較して小さく、やわらかいため、ゲルに包埋してスライスを作製した。ゲルに包埋したオルガノイドを2分割し、断面をCMOS-MEAに接着させて自発活動を計測した。電極に接着した1時間後に1細胞単位での神経活動が取得された。また、接着18時間後には、神経ネットワークの伝播も確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
疾患脳オルガノイドを作製し、電気活動並びに化合物に対する応答を取得した。取得した電気活動の低周波解析により、生体脳波と相関が見られたことから、低周波解析が疾患脳オルガノイドと健常脳オルガノイドの機能比較に有効な評価法であることを見出した。また、脳オルガノイド計測に適したCMOS-MEAを作製し、脳オルガノイドの活動を効率的に取得可能とした。さらに、脳オルガノイドのスライスの作製、計測法の検討が進み、CMOS-MEAでオルガノイドスライスの電気活動が取得できた。以上のことから、おおむね当初の計画通りに進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、脳オルガノイドスライスから取得された電気活動から、1細胞レベルで細胞体位置の発火および軸索伝導パターンを同定する。また、オルガノイドスライス表面の免疫化学染色を行い、興奮性、抑制性ニューロン等の神経連絡(組織構造)と電気活動パターンとの関係を詳細に明らかにする。
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