研究課題/領域番号 |
23K28418
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補助金の研究課題番号 |
23H03729 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
石原 美弥 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 医用工学, 教授 (30505342)
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研究分担者 |
矢野 友規 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (70505883)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | 時空間情報 / 新生血管 / 非侵襲的計測 / 顕微鏡画像 / 断層画像 |
研究開始時の研究の概要 |
様々な癌細胞による癌モデルマウスを対象に、新生血管と栄養血管の両方を腫瘍血管とし、3次元空間的、かつ、経時的に腫瘍血管網を光音響イメージング技術で可視化する。複数の波長を励起波長に用いる光音響分光法により、ヘモグロビンの酸素結合状態を非侵襲的に測定出来ることを活用し、腫瘍血管の酸素供給能から可視化される低酸素環境と、癌の病態との関連を網羅的に観察する。低酸素が深く関与する癌の増殖や悪性化の過程を観察し、治療耐性や抵抗性との関係性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
生体内部を生きたまま微細に観察ができれば、病態解明に役立つ。光音響イメージングは、非侵襲的な手法で体表から生体内を可視化できる。光と超音波の特性を使うことで、深部を高空間分解能で観察できる手法ではあるが、観察深度と空間分解能のトレードオフは在る。このトレードオフを解消するために、様々な装置形態があるのも光音響イメージングの特長である。顕微鏡タイプのシステムは光学的に高解像度観察が可能であり、マルチアレイ超音波センサを用いる光音響イメージングシステムは、深部を高感度に観察可能であるため、各システムの画像を連接することで、深部の高解像観察が可能となる。 防衛医大医用工学講座でオリジナルに構築している、白色光源(スーパーコンティニューム光源)を対物レンズで集光する光音響顕微鏡システムと、OPO(波長可変)パルス光源を光ファイバーに導光し、マルチアレイ超音波センサで信号を受信する光音響イメージングシステムで、治具を開発し、同じ観察対象の同じ部位の画像が撮像できることをin vivoで確認した。本研究では、麻酔下のマウスを対象にすること、このマウスに対して開発した治具を用いることとした。両システムとも、励起波長を複数にした多波長分光画像の撮像ができることも確認した。 皮下腫瘍モデルマウスと、正常マウス、あるいはその他の病態モデルマウスの血管を対象に光音響画像が取得できることを確認した。光音響イメージング技術の特長である、体表から非侵襲的に、人工呼吸器を使うこととし経時変化を繰り返し測定できることも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
防衛医大医用工学講座でオリジナルに構築している、光音響顕微鏡システムと光音響イメージングシステムで、同じ観察対象(モデルマウス)の同じ部位の画像が撮像できることをin vivoで確認できたこと、分解能や画像化深度はほぼシミュレーション通りの結果であったことは、一定の成果に値する。この結果の導出の過程において、本研究では、麻酔下のマウスを対象にすること、人工呼吸器を導入すること、このマウスに対して特製の治具を用いることとした。両システムとも、励起波長を複数にして多波長分光画像の撮像ができることも確認できたので、当初の計画以上に進展している状況であるが、 一方で、本研究における観察対象の動物モデルについて、皮下腫瘍モデルを第一に計画している。防衛医大と、がん研究センターで、細胞種、播種部位や条件等の皮下腫瘍モデルを作成するのに必要な条件は全て同一に揃えているにもかかわらず、作成される腫瘍の様子、経過が異なっている。何度か実施したが、防衛医大とがんセンターで異なっている状況は変わらなく、実験の再現性に関わる課題となっている。 以上の状況を相殺して概ね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
光音響画像の取得に関する技術の部分については、体表から非侵襲的に、経時変化を繰り返し測定できることの点について、当初の計画以上に進捗していることから、研究の拡がりの見込みが得られた。これにより、治療前後の血管の変化を観察する構想に発展している。さらに、低酸素を可視化する化学プローブ(分子イメージングプローブ)の適用にも展開できている。この2点は、研究を加速推進する両輪となりうる。
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