研究課題/領域番号 |
23K28435
|
補助金の研究課題番号 |
23H03747 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
葛巻 徹 東海大学, 工学部, 教授 (50396909)
|
研究分担者 |
黒田 泰弘 東海大学, 工学部, 准教授 (40398756)
鳥越 甲順 福井医療大学, 保健医療学部, 教授 (50126603)
中瀬 順介 金沢大学, 附属病院, 助教 (50584843)
住吉 秀明 東海大学, 医学部, 准教授 (60343357)
喜多 理王 東海大学, マイクロ・ナノ研究開発センター, 教授 (90322700)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2024年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
|
キーワード | 脂肪由来幹細胞積層体 / 多段リング状構造 / 牽引培養 / 腱・靱帯様組織 / ステント構造を持つ牽引ジグ |
研究開始時の研究の概要 |
近年増加傾向にある腱・靱帯損傷の新規治療法として、再生医療技術の開発が進められている。しかし、当該技術は基礎研究に乏しく、また医療経済的観点からも未だ開発の途上にある。申請者らは、ヒト脂肪由来間葉系幹細胞塊の三次元積層で得た構造体を制御された環境下で牽引培養した結果、細胞増殖が活性な領域では、増殖した幼若な幹細胞は張力作用により初期腱細胞様へと分化し、牽引方向にコラーゲン線維が架橋配向することを見出した。そこで本研究では、幹細胞積層体の設計と牽引培養装置の作製及び牽引培養条件の最適化により腱・靱帯様組織形成技術を開発し、形成物による損傷組織の修復効果を動物実験で検証する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、脂肪由来幹細胞積層体の牽引培養により、コラーゲン線維リッチ層と細胞リッチ層が重畳した人体類似の腱・靭帯様組織を形成することを目標としている。これを実現させるため、本年度はステント状補強材となる牽引ジグを新開発し、多段化した細胞積層体の牽引培養を実施した。 牽引ジグは直径約2.5mmの高弾性金属製パイプをレーザーカットしてステント構造を作製した。予備実験で牽引ジグの拡張時の荷重測定から設計通り適切に機能することが確認された。牽引装置は牽引部を小型で突起部の少ない装置に改良したものを製作し、実験を行った。 同一針上に二段で形成したリング状の細胞積層体を牽引ジグに乗せ換え、改良型の牽引装置で細胞積層体を拡張させる一連の実験に成功した。一方、細胞培養においては培地の循環培養を行ったが、その流れの影響か、実験開始後約3週目に細胞積層体の一部に組織の消失(欠損)が発生し、牽引拡張のバランスが取れなくなったため牽引培養を中止せざるを得なくなった。牽引拡張された細胞積層体は牽引ジグの拡張ピンと牽引ジグを構成する支持体との間で張力が印加され、これらの間でコラーゲン線維の架橋組織の形成が認められた。計画していた6週間の牽引培養の約半分の期間であったが、コラーゲン線維の架橋配向組織が確認できたことは今後につながる有意な結果であった。これらの実験結果を受けて本年度は、培地の流れが細胞積層体の培養に与える影響ついての検討と、牽引ジグの材質の再検討を行い、多段化した細胞積層体に対する最適な牽引培養環境の構築に向けて取り組んだ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ステント構造を持つ牽引ジグの開発に取り組んだが、設計通りに機能することが確認できた。本年度の実験結果から、材質を検討することにより、細胞積層体の牽引培養により最適なジグを製作できる可能性が見いだされた。 多段化した細胞積層体牽引培養実験では、基本的な操作の確認と起こりうる様々な現象に対して検証を行うことができた。特に培地の流れが細胞積層体の培養に及ぼす影響として、組織の一部が消失する現象が確認された。次年度は材質変更や培養環境についての対策を行い細胞積層体の牽引培養環境の最適化にむけた取り組みを継続する。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度作製した牽引ジグは弾性体であったため、牽引した細胞積層体を取り外すためには一旦元のサイズに戻さなければならない。これを塑性変形しやすい素材に変更することで回避できないかと考え、次年度はステンレス製の牽引ジグ作製を行いその効果を検討する。また、培地の流れを考慮した牽引装置の開発など、細胞積層体の牽引培養環境の最適化を行う。 これらの検討により5~6週間の牽引培養を行い、コラーゲン線維の架橋配向組織の形成具合を検証する。
|