研究課題/領域番号 |
23K28443
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補助金の研究課題番号 |
23H03755 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
小区分90140:医療技術評価学関連
合同審査対象区分:小区分90130:医用システム関連、小区分90140:医療技術評価学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鶴岡 典子 東北大学, 工学研究科, 助教 (70757632)
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研究分担者 |
芳賀 洋一 東北大学, 医工学研究科, 教授 (00282096)
松永 忠雄 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (00396540)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 光導波路 / 微細加工針 / 非平面微細加工 / 生体成分モニタリング / エネルギー代謝モニタ / 光導波路搭載針 / 生体成分計測 |
研究開始時の研究の概要 |
運動時の代謝状態を把握することは、自身の能力を知るうえで重要である。本研究では、皮膚中で光学的に代謝産物である乳酸など複数の生体成分濃度を同時計測することで、極低侵襲で代謝動態を計測できるセンサシステムの開発を行う。鍼灸針表面に様々なデザインの光導波路を作製する技術を確立し、皮膚中の代謝関連物質の同時連続計測を可能とする。運動時のエネルギー代謝だけでなく、インスリン等の分泌物とそれに伴うグルコース等の物質濃度変化や、動物の健康管理、植物の生育状態把握のなどにも応用が期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、皮膚中で光学的に複数の生体成分濃度を同時計測することで、極低侵襲で代謝動態を計測できるセンサシステムの開発を行う。鍼灸針表面に様々なデザインの光導波路を作製する技術を確立し、皮膚中の代謝関連物質の同時連続計測を可能とする。デバイス作製とともに、マウス運動時の計測を行い、これまで実現されてこなかった運動中のエネルギー代謝状態の連続計測を目指す。 具体的には、生体成分の例として運動中の乳酸・グルコースの同時測定による代謝状態把握を目指し、①鍼灸針上光導波路構造の最適化と性能評価、②マウスにおける各成分濃度の連続計測、③運動中の乳酸・グルコース濃度の同時計測を行い、さらに応用展開として④他物質・他測定対象に対する計測試験を行う。このうち、本年度は、①鍼灸針上光導波路構造の最適化と性能評価を中心に行い、②マウスにおける各成分濃度の連続計測を試みる。また、それと並行して本システムが有効な応用先について、医学やその他の分野(農業など)を検討する。 本年度はこれらの中で「①鍼灸針上光導波路構造の最適化と性能評価」を中心に開発を進めた。針灸針表面に感光性エポキシ樹脂をパターニングし、アルミニウム薄膜で覆う形で光導波路を作製した。作製した導波路を用い、乳酸濃度の異なる溶液中で吸光度が変化する様子を計測することに成功した。しかし、導波路と発光・受光素子との接続部で光損失が大きいため、今後のマウスを用いた試験に向けて、損失低減が課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、皮膚中での光を用いた複数生体成分濃度同時計測を目指し、計測システムの確立とその応用展開を模索する。具体的には、生体成分の例として運動中の乳酸・グルコースの同時測定による代謝状態把握を目指し、①鍼灸針上光導波路構造の最適化と性能評価、②マウスにおける各成分濃度の連続計測、③運動中の乳酸・グルコース濃度の同時計測を行い、さらに応用展開として④他物質・他測定対象に対する計測試験を行う。本年度の計画では、①鍼灸針上光導波路構造の最適化と性能評価を中心に行い、②マウスにおける各成分濃度の連続計測を試みる。また、それと並行して本システムが有効な応用先について検討する予定であった。 本年度はこれらの中で、①鍼灸針上光導波路構造の最適化と性能評価を進めたが、作製した導波路の接続部での光損失が大きく、②マウスにおける各成分濃度の連続計測には至らなかった。皮膚刺入性の高い、鍼灸針の表面に感光性エポキシ樹脂(SU-8)を成膜・露光し光導波路パターンを作製した。エポキシ樹脂製のコア部表面をアルミニウム薄膜で覆うことで全反射型の光導波路を作製した。光導波路は照射用と計測用の2本の導波路を作製し、針先端側の導波路に皮膚組織に光を照射・受光するための窓(アルミニウムに覆われていない部分)を設けた。作製した光導波路を濃度の異なる乳酸溶液に浸し、吸光度の計測を行ったところ、濃度に応じた吸光度の変化を確認でき、本センサの有効性を確認できた。しかし、光学素子と導波路との接続部で大きな光損失が生じており、体内濃度よりも高い濃度での計測しか実現できなかったため、来年度はこれらの接続効率を向上しマウスにおける成分濃度計測を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、①鍼灸針上光導波路構造の最適化と性能評価、②マウスにおける各成分濃度の連続計測、③運動中の乳酸・グルコース濃度の同時計測を行い、さらに応用展開として④他物質・他測定対象に対する計測試験を予定している。今後は、①鍼灸針上光導波路構造の最適化と性能評価において、本年度明らかとなった発光・受光素子と導波路との接続損失の改善を行い、②マウスにおける各成分濃度の連続計測や③運動中の乳酸・グルコース濃度の同時計測を目指していく。具体的な各項目の方針は下記の通りとする。 ①鍼灸針上光導波路構造の最適化と性能評価: 針表面に作製した導波路にできるだけ損失なく光源から光を導光し、皮膚を透過した光を検出できる接続方法を検討する。また、これ以降のマウスを対象とした試験に向けて、発光・受光素子や駆動回路を含め、小型化を進める。これらのシステムを用いて、溶液中および模擬皮膚中の乳酸・グルコース濃度を行うことで、システムを評価する。 ②マウス皮膚中での乳酸およびグルコース濃度計測: 作製した光導波路付き針を用いてマウス皮膚での物質濃度連続計測を行う。血中の物質濃度を指標とし計測された物質濃度との相関性を評価する。 ③マウス運動時の乳酸・グルコース同時計測: 作製した光導波路付き針を用いてマウス運動時の乳酸・グルコースの同時計測を行う。運動強度を変化させた場合の各濃度変化を計測することで、運動強度に対する代謝状態の変化を計測する。 ④他物質・他測定対象に対する計測試験: 運動中の乳酸・グルコース濃度変化による代謝動態の計測以外の対象として、糖負荷前後のインスリン量とグルコース濃度の変化、および植物中のアミノ酸の日内変動の計測を行う。
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