研究課題/領域番号 |
23KF0004
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西脇 智哉 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60400529)
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研究分担者 |
DING YAO 東北大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ジオポリマー / 低炭素型コンクリート / 繊維補強コンクリート / ひずみ硬化 / 耐久性 |
研究開始時の研究の概要 |
セメントを用いずに産業副産物を主な使用材料とする次世代コンクリートとして注目されるジオポリマーを対象に、優れた力学性能・耐震性能と高耐久性、また、経済性にも優れるサステナブルなSHGC(Strain Hardening Geopolymer Concrete・ひずみ硬化型繊維補強ジオポリマー)の開発に取り組む。従来ジオポリマーの課題である収縮性状の克服や、優れた力学特性と高耐久性を両立を目指し、サステナブルな新しいコンクリート系材料の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
セメントを用いずに産業副産物を主な使用材料とする次世代コンクリートとして注目されるジオポリマーを対象に、優れた力学性能・耐震性能と高耐久性、また、経済性にも優れるサステナブルなSHGC(Strain Hardening Geopolymer Concrete・ひずみ硬化型繊維補強ジオポリマー)の開発に取り組んだ。 2023年度にはSHGCの材料設計として、特にマトリックスとなる部分の調合設計に取り組んだ。ただし、セメントをまったく使用しないジオポリマーに加えて、セメントの95%以上を産業副産物を中心とした混和材で置換した場合についても検討を行ったところ、十分な力学特性が得られると同時に、取り扱いに特に注意が必要なアルカリ刺激剤を使用しないために取り扱いが容易であること、また、アルカリ刺激剤に起因するCO2排出量が削減できるためにジオポリマーよりも削減幅が大きいことなどが確認されたため、低炭素型コンクリートについても主要な検討項目として取り入れることとした。 各種の調合について実験を行い、フレッシュ性状や力学特性、耐久性などの基礎的なデータを蓄積した。またフレッシュ性状については、近年注目度の高いコンクリート3Dプリントへの適用性についても確認を行うために、降伏応力などについても実験結果を蓄積しつつある。これらの成果に基づいて、PVA繊維を中心に補強繊維のアスペクト比(Lf/df)や混入量(Vf)などを実験パラメータとして、上述の低炭素型コンクリートを中心としてSHGCとしての引張特性について今後計測を行うとともに、環境負荷(Embodied CarbonやEmbodied Energy)の評価についても実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の期間内には、当初の計画の通りSHGCのマトリックス材料についての検討を実施した。セメントを用いないジオポリマーについての検討を行ったことに加えて、当初計画にはなかったセメントをアルカリ刺激剤の代替として用いる調合についても検討を行った。その結果、材料の調達や実験室での安全性が優れていることが確認されるとともに、フローや粘性などのフレッシュ性状、硬化体としての力学特性についても有望な結果が得られたため、主要な検討項目の一つとして採用することとした。CO2排出量の検討についても並行して確認しており、セメントをアルカリ刺激剤とすることで大幅な削減が期待できる結果を得つつある。 加えて、フレッシュ性状については近年注目度の高いコンクリート3Dプリントへの適用性についても確認を行った。具体的には、一般的なフロー試験に加えて降伏応力などについても実験結果を蓄積しつつある。 この一方で、補強繊維との組み合わせについての検討は一部の調合での実施に留まっており、2024年度にはより幅広いマトリックス材料に対して、繊維補強複合材料としての性能評価を実施する必要がある。 当初計画をより拡充した内容も加味して、実験などを主体とする検討は概ね予定通り実施できていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度については、これまでの検討を継続して、主にマトリックス材料のミクロスケール観察(SEMやXRDなど)を行うとともに、マクロスケールでの圧縮強度、引張特性、曲げ特性などの基本的な力学特性を調査する。 また、環境負荷の側面から試算を行う。SHGCの主原料はフライアッシュや高炉スラグなどの産業副産物であるため、CO2排出原単位の多いセメントと比較して環境側面が小さいことが期待される。2023年度の検討において、CO2排出原単位の大きいアルカリ刺激剤については、少量のセメントを用いることの優位性が確認できつつある。ここでは、製造工程におけるエネルギーだけでなく、収縮量や耐凍害性、自己修復性状などの耐久性評価を実験的に検討し、これら結果を踏まえてライフサイクル全体におけるSHGC、もしくは低炭素型ひずみ硬化材料のEmbodied CarbonやEmbodied Energyの評価を行う。 また、これらの成果を広く公表するために、国際誌への投稿を準備中である。
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