研究課題/領域番号 |
23KF0054
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
荻 崇 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (30508809)
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研究分担者 |
CAO KIET 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2024年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2023年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | CO2吸着材 / マクロポーラス微粒子 / エアロゾルプロセス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、高速でCO2ガスを吸着し、有価物へ変換することが可能な微粒子材料の開発を目指す。従来の10nm以下の細孔で構成されている吸着材とは異なり、30nm以上の連結した細孔を従来の細孔に組み合わさることで、i) CO2の粒子内部までの物質移動の促進、ii) 30nm以上の細孔内表面における化学官能基の高効率界面修飾、iii) ii)で合成した微粒子を用いたCO2の有価物変換の高効率化を目標とする。本研究で提案するコンセプトは、これまでにないCO2ガスの高速吸着と有価物高効率変換を可能とするCCUS用機能性微粒子材料の開発に繋がると予想される。
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研究実績の概要 |
本研究は、革新的CO2吸着材の開発とCO2変換を目指し、 (i) マクロポーラス微粒子の製造と構造制御、(ii) マクロポーラス細孔内の表面修飾、(iii)CO2ガス吸着特性評価、(iv)CO2ガスの有価物への変換を実施する。本年度は、アミン担持マクロポーラスシリカ微粒子の製造とCO2ガス吸着特性評価を主で実施した。マクロポーラス微粒子の製造には、噴霧法を使用した。原料にはシリカナノ粒子(17 nm)と造孔材としてポリマー粒子(メタクリル酸メチルエステル:PMMA粒子)を用いた。本研究では、異なる粒子径を持つPMMA粒子(63, 131, 291, 364 nm)を用いてマクロポーラス構造を持つシリカ微粒子(マクロポーラスシリカ微粒子)を製造した。また、対照サンプルとして、PMMAを用いずにコロイダルシリカナノ粒子で構成される微粒子(以下、凝集シリカ微粒子)を製造した。得られた粒子は球形で、1~5μmの粒子径を持ち、その表面全体にわたって、造孔材(PMMA粒子)由来の穴が空いていた。次に、得られた各種の微粒子にテトラエチレンペンタミン:TEPA)を液相担持し、アミン吸着量とCO2ガス吸着量の評価を実施した。マクロ孔のサイズ変化がCO2ガス吸着能力に及ぼす影響を評価した結果、マクロ孔のサイズが増加するにつれて高濃度でのTEPA担持が可能となった。特に70wt%TEPA担持のポーラスシリカ微粒子吸着材は、高いCO2ガス吸着能力(6.02 mmol/g)を示した。すなわち、マクロ孔を有する微粒子は、TEPA担持濃度を増加させることが可能となり、優れたCO2ガス吸着能力を発揮する可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述した研究実績概要に記載してあるとおり、2023年は研究の1年目であったが、シリカ微粒子を対象として、マクロポーラス構造化、アミン担持、CO2吸着評価と、順調に研究を進めることが出来た。特に、研究代表者らの狙い通り、微粒子吸着材にマクロ孔を付与することで、アミンを粒子内部に担持することが可能となり、CO2吸着量を増加できることを明らかにした点は、大きな成果であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、高速でCO2ガスを吸着し、有価物へ変換することが可能な微粒子材料の開発が目的である。この研究で目指す粒子材料は、従来の10 nm以下の細孔で構成されている吸着材とは異なり、30 nm以上の連結した細孔が組み合わさることで、i) CO2ガスの粒子内部までの物質移動が向上、ii) 細孔内での化学官能基の界面修飾と触媒担持の高効率化を実現することを期待している。今後は以下の研究を行う。(1) コロイドシリカの代わりに安価な水ガラス(ケイ酸ナトリウム)を使用し、高いCO2吸着能力を実現するためのマクロポーラスシリカ微粒子を合成する。また、(2) バイオマス材料であるリグニンを原料として、マクロポーラスカーボン微粒子の合成を行う。賦活剤には、従来使用されている水酸化ナトリウムや水酸化カリウムではなく、炭酸カリウムを用いる。これにより、プロセス全体での腐食を抑制しつつ持続可能なCO2吸着材製造プロセスへと繋げる。 さらに、回収したCO2を付加価値製品に変換するための革新的な触媒として利用すべく、多孔質MOF材料をベースとしたCO2吸着材の開発とその触媒特性評価を実施する予定である。なお、2024年からは、外国人特別研究員が助教として採用されたため、研究代表者となり、さらに研究を進める予定である。
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