研究課題/領域番号 |
23KF0069
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
町田 修一 順天堂大学, 大学院スポーツ健康科学研究科, 教授 (40421226)
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研究分担者 |
HUNG YUNG-LI 順天堂大学, 大学院スポーツ健康科学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | レジスタンストレーニング |
研究開始時の研究の概要 |
サルコペニアの発症機序の詳細については十分に解明されていない。特に女性においては、性ホルモンのエストロゲン分泌が低下した閉経以降では顕著にサルコペニアになるが、その詳細の分子メカニズムについては多くが不明である。本研究では、卵巣摘出モデルと高齢期ラットの2つの動物モデルを用いて、運動効果を最大限に促進する漢方薬の同定とその分子機序の解明を目的とする。本研究の成果により、サルコペニア予防・改善に効果的な漢方薬を同定することができれば、副作用が少なく、閉経後の女性のサルコペニアに対する新たな治療、予防や抑制方法の確立に繋がることが期待される。
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研究実績の概要 |
老化細胞による慢性炎症は、筋タンパク質合成の抑制や筋タンパク質分解の亢進を介して、運動トレーニングによる筋肥大効果を抑制することが示唆される。本研究は、老化細胞を介した慢性炎症に着目した女性サルコペニア予防に向けた基礎研究として、レジスタンストレーニングが高齢期の骨格筋における細胞老化に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。16および 22ヶ月齢の雌性F344ラットを安静群とトレーニング群の2群に分類した(各群7-8匹)。トレーニング群にはクライミング運動を3日に1度の頻度で8週間実施した。8週間のトレーニング終了後、長母趾屈筋を摘出し、senescence-associated β-galactosidase(SA-β-gal)染色で老化細胞を検出した。また、免疫染色法を用いてp21と各筋線維タイプの筋線維横断面積を評価した。さらに、qPCRで細胞老化随伴分泌現象(SASP)の炎症マーカーの遺伝子発現を評価した。 18ヶ月齢の安静群と比較して、24ヶ月齢の安静群では速筋の筋線維タイプIIx/IIbの有意な減少が認められ、ヒトのサルコぺニアの表現型を示した。一方、24ヶ月齢のトレーニング群においては、24ヶ月齢の安静群と比較して、タイプIIx/IIbの筋横断面積が有意に増加し、18ヶ月齢の安静群と同レベルであった。さらに、24ヶ月齢のトレーニング群ではSA-β-gal陽性細胞が24ヶ月齢の安静群と比較して有意に減少した。また、安静群では加齢に伴いp21の遺伝子と陽性細胞が有意に増加した。一方、トレーニング群には、p21の遺伝子と陽性細胞が有意に減少した。SASPであるTNF-αとIL-1β及びIL-6は、トレーニングによって加齢性のSASPの増加を抑制することが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レジスタンストレーニングが高齢期の骨格筋における細胞老化と慢性炎症に及ぼす影響を検討し、レジスタンストレーニングによって高齢期の骨格筋における老化細胞と慢性炎症を改善することを認められました。女性のサルコペニア予防ができることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、老化細胞と慢性炎症に着目し、運動による女性サルコペニア予防を促進する漢方薬を同定し、その分子機序を解明することを最終目標としている。今後は、今回確立した老化細胞と慢性炎症を改善したレジスタンストレーニングを用いて、既に候補となっているいくつかの漢方薬との組み合わせが女性サルコペニアの予防・改善の相乗効果をもたらすかどうかを明らかにする予定である。
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