研究課題/領域番号 |
23KF0071
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
鍋島 直樹 龍谷大学, 文学部, 教授 (90198375)
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研究分担者 |
MICHON NATHANIEL 龍谷大学, 文学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
500千円 (直接経費: 500千円)
2023年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 臨床宗教師 / チャプレン / 宗教的ケア / スピリチュアルケア / 仏教死生観 / 親鸞 / 災害遺族のケア |
研究開始時の研究の概要 |
臨床宗教師は、患者などの求めに応じて、死の暗闇に降りていく人の道しるべとなるような宗教者して、岡部健医師が2012年に提唱した。臨床宗教師は、相手の価値観、信仰を尊重し、その悲嘆に心を寄せて、多職種と連携して、スピリチュアルケアと宗教的ケアを行う。本研究は、日本の臨床宗教師養成から10年をシンポジウムを通してふりかえり、実際の臨床宗教師養成実習に帯同して、その意義と課題を整理する。
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研究実績の概要 |
Buddhism and Crisis Care Symposiumで得た成果は次の通りである。臨床宗教師はチャプレンの日本語として、 岡部健医師が2012年に提唱した。臨床宗教師は公共空間で布教伝道を目的とせず 、相手の価値観と信仰を尊重して支援するスピリチュアルケアと宗教的ケアを提供し、専門職とチームを組み、生きる力を育む。臨床宗教師養成は2012年から諸大学で臨床と座学を融合して続き、活動領域は広がった。臨床宗教師は緩和ケアだけでなく、在宅や社会福祉施設でケアに携わる。被災者に苦しみの中で生きていけるように傾聴、遺族の分ち合いなどの支援も続く。宗教学、日本医師会・医療福祉、映画ドラマなど広いジャンルから注目される。 災害による喪失は死別、家や町の喪失など同時多発的喪失、感染症による死別は患者に会えない死別であり、Suvivor's guild、あの時こうしてあげればよかったと罪責感が残る。人は大きな心の傷を受けた場合、自身の心を守るために心に蓋をすることがある。その時は無理に感情を表出させない。愛情があるから罪悪感も深い。治すというより寄り添う。黙ってそばにいる。経典に最も深い愛情を「大悲」と説かれる。親鸞は三つの角度から死別の悲しみに寄り添った。第一に、泣きたい時には泣けばいい。なぜなら涙は愛情の証だからである。第二に、悲しむ心を少し休ませる。親鸞は「悲しみに悲しみを添ふるようにはゆめゆめ弔うべからず。…酒はこれ忘憂の名あり、これをすすめて笑ふほどになぐさめて去るべし」と説いた。第三に、死を超えた依り処が心の中に生まれると、悲しみと共に生きられるようになる。追悼の際、災害や戦争の経験を家族や人々に語り、次世代を守れる。臨床宗教師のケアは、その人の混沌とした語りを尊重し、真実の物語を紡ぐ。分け隔てない大悲の中で、自分の無力さを知り、苦悩する人の真実を支えることである。
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