研究課題/領域番号 |
23KF0075
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
成田 明光 沖縄科学技術大学院大学, 有機・炭素ナノ材料ユニット, 准教授 (30870133)
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研究分担者 |
ZHAO HAO 沖縄科学技術大学院大学, 有機・炭素ナノ材料ユニット, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-04-25 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ナノグラフェン / 多環芳香族炭化水素 / 超解像蛍光顕微鏡法 / バイオイメージング / ブリンキング |
研究開始時の研究の概要 |
グラフェンのナノ構造を有する分子「ナノグラフェン」は、その化学構造に依存して優れた発光特性や高い安定性を示し、バイオイメージングやセンサーへの応用が期待される。本研究では、特に超解像蛍光顕微鏡法によるバイオイメージングへの蛍光プローブとして応用を志向し、親水性置換基を有する機能性ナノグラフェンを合成する。さらに、異なる発光色を示す水溶性ナノグラフェンを用いた2色同時の超解像イメージングやturn-on型蛍光プローブの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、強い赤色発光と自発的なブリンキング機能を有する「ナノグラフェン」であるジベンゾ[hi,st]オバレン(DBOV)に刺激応答性部位を導入した誘導体の合成と、その蛍光の環境依存性の評価に取り組んだ。以前報告したDBOVの多段階合成と位置選択的ジブロモ化反応を経て、鈴木-宮浦クロスカップリング反応により異なる置換基を導入した。例えば、酸性条件下におけるturn-on型蛍光プローブを志向して合成したDBOV誘導体は、中性条件下でも完全に消光せずに蛍光を示したものの、酸性条件下において蛍光強度が増加することが確認できた。一方で、昨年度までに合成法を確立した親水性のトリエチレングリコール基とアジド基を有するDBOV誘導体を用いて、国内外の研究協力者との共同研究によりクリック反応を利用したバイオイメージングの実験も進めた。また、生細胞内のリソソームやニューロン内の新生タンパク質の超解像度顕微鏡による観察を含めて、それまでに得られていた結果を米国化学会誌に報告した。ナノグラフェンへの水溶性置換基導入は合成や精製が困難な場合が多いことから、非水溶性のナノグラフェンを水溶性ナノ粒子に導入することでバイオイメージング等へと応用する研究も進めた。近赤外領域に吸収を示す、ポルフィリンとのハイブリッド型のナノグラフェンを水溶性ナノ粒子に導入することで、1064 nmの近赤外レーザーを用いた光温熱治療への応用可能性に関する知見も得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
turn-on型蛍光プローブを志向した異なる刺激応答性部位を有するDBOV誘導体の合成に成功し、環境に依存した蛍光強度の変化に関する知見が得られている。また、水溶性ナノ粒子への導入も含めて、ナノグラフェンを用いたバイオイメージングに関する実験も進んでいることから、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、turn-on型蛍光プローブを志向したDBOV誘導体の合成と評価を進める一方で、異なる波長領域に吸収・発光を示すナノグラフェンを用いた2色同時の超解像イメージングに関する検討も進める。また、外国人特別研究員が独国マックス・プランク高分子研究所を訪問して、超解像度顕微鏡法やバイオイメージングが専門の研究協力者と共同で実験することにより、さらなる研究の推進を図る。
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