• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

グラフェンによる電荷分離を利用した光触媒・生分解統合処理の高効率化

研究課題

研究課題/領域番号 23KF0111
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金
応募区分外国
審査区分 小区分22060:土木環境システム関連
研究機関東京工業大学

研究代表者

吉村 千洋  東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (10402091)

研究分担者 RANADE AJINKYA  東京工業大学, 環境・社会理工学院, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2023-07-26 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワード光触媒・生分解統合処理 / 光電子移動 / バイオフィルム / 界面工学 / グラフェン / バイオリアクター
研究開始時の研究の概要

本研究はグラフェンによる電荷分離作用を利用して、抗生物質を含む排水の処理のために光触媒・生分解統合処理(ICPB)を最適化することを目的とする。そのためにグラフェンと光触媒材料の比率、グラフェンハイブリッドの界面特性、バイオキャリアへのグラフェンハイブリッドのコーティング手順を最適化する。そして、バイオリアクターを構築するために、非浸漬型バイオリアクターを基盤として、最適化された複合材料を組み合わせ、その水処理効率を評価する。

研究実績の概要

光触媒・生分解統合処理(ICPB)は難分解性汚染物質の処理を目的に設計された排水処理技術である。ICPBの主要な原理は多孔質バイオキャリアの外表面で光触媒作用が起こり、同時に内部の微生物膜において生分解が生じるものであるが、光触媒と微生物膜の光電子移動という相互作用と、それがICPBの効率に及ぼす影響についてはまだ解明されていない。そこで、本研究では光触媒と微生物膜の界面にグラフェンを導入することで、ICPBの効率向上における光電子移動の重要性を解明し、それらの界面接触を最適化することを目的としている。
今年度は光電子移動のために、低接触と高接触の界面接触範囲を調整した還元型酸化グラフェンとバナジン酸ビスマス(BiVO4)光触媒を統合した。この複合体を微生物担体の外側に、また、活性汚泥から培養した微生物膜を内側にコーティングした複合体を用いて、抗生物質(テトラサイクリン)の分解過程を評価した。
その結果、グラフェンの存在とその界面の特性が、テトラサイクリンの分解効率を決定する重要な要因であることが示された。つまり、グラフェンハイブリッド(特に高接触型)は、BiVO4と比較して、ICPB条件下でより高い分解効率を示した。無機化効率についても同じ傾向が示され、グラフェン・BiVO4界面の接触がICPBの効率向上に有効であることを示した。また、光電気化学測定の結果から、光触媒・微生物膜間の光電子移動経路の存在と、光触媒・微生物膜間の界面接触依存的な電子シャトリングが確認された。これらの成果に基づき、2024年度はICPBの水処理効率を最適化することを目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、光生成電子-/h+分離とバイオリアクター設計による光触媒・生分解統合処理(ICPB)の最適化である。本年度の取り組みにより、ICPB処理に関してこれまでに認識されていなかった光生成電子の輸送とその水処理効率への解明することに成功した。さらに、ICPBの界面の質を工学的に制御することにより、効率向上につながる迅速な電子輸送が実現され、電子の輸送メカニズムおよび水処理の最適化を可能とした。光電気化学的測定と分解効率が相関関係にあることも確認され、当初の仮説を裏付ける結果が得られた。以上より、光触媒と微生物膜の間の光電子移動に着目したことで、ICPBメカニズムの根本的な理解につながり、その水処理効率を向上させる新たな知見を得た。よって、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後の狙いはICPBの設計を最適化し、この排水処理技術の有用性を明確化することである。現在、ICPBのリアクター構成は浸漬型に限定されており、エネルギー集約的な技術となっている。そこで本研究では、光照射型DHS(Down-flow Hanging Sponge)リアクターを作成し、従来の浸漬型リアクターと比較することを目的とする。そこで、光電子輸送性に優れたグラフェン/BiVO4コンポジットをバイオキャリア上にコーティングし、DHSリアクターシステムに配置し、分解効率を確認・最適化する。これらの結果は学術誌に発表する予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Interface engineered electron shuttling in graphene based intimately coupled photocatalytic biodegradation for enhanced degradation of antibiotic2024

    • 著者名/発表者名
      Ajinkya Kishor Ranade, Akira Yamaguchi, Masahiro Miyauchi, Sreenivasan Ramaswami, Chihiro Yoshimura
    • 学会等名
      第 8 回 環境水質工学シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-07-27   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi