研究課題/領域番号 |
23KF0127
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
竹井 邦晴 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (20630833)
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研究分担者 |
SARKAR SUDIPTA 北海道大学, 情報科学研究院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-09-27 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2025年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
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キーワード | フレキシブルデバイス / バイオエレクトロニクス / センサ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、再生可能な材料を用いたフレキシブルデバイスの開発を目指し、①機能性セルロース材料の開発、②印刷技術によるフレキシブルトランジスタ開発(機能性セルロースとカーボンナノチューブを用いた高性能トランジスタ)とバイオセンサとしての可能性探索、③応用デバイス開発、の3点について集中的に研究開発を行う。特にハイドロゲルにナノ材料などを混ぜ合わせることで機能性を付与した電子デバイスの開発を行い、その応用としてウェアラブルデバイスやニューロモルフィックデバイスなどへの展開を模索する。本実現により、次世代の持続可能で環境にやさしいフレキシブルデバイスの新たなプラットフォームの構築を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、再生可能な材料を用いたフレキシブルトランジスタにより、バイオエレクトロニクス分野における新たなセンサ開発を目指している。そして本実現により、次世代の持続可能で環境にやさしいフレキシブルデバイスの新たなプラットフォームの構築を行うための研究に取り組んできた。本年度は、まず本研究で重要となる再生可能な材料として使用する機能性セルロース・ハイドロゲルの開発を実施した。セルロースナノファイバーなどを用いたハイドロゲルの形成方法を工夫し、さらにそのハイドロゲルにナノ材料などの混合物質を添加することで導電性ハイドロゲルの作製に成功した。そしてそのハイドロゲルの感圧特性、温度特性などについて解析を行った。また生分解性材料に特化し、Znを混合させることで導電性の制御が可能であることがわかった。さらに混合物質の調整及びフレキシブルフィルム表面の化学修飾を行うことで、ハイドロゲルをディスペンサー印刷技術を用いてシリコーンゴム系のフィルムに任意のデザインでパターニング形成できることを確認した。このように生分解性材料のみを用いたセンサデバイスの開発に取り組んだ。しかし、センサとしての形状を作製することはできたが、センサ感度、安定性、そして導電性と絶縁性の制御などを考慮に入れると、現状、まだ実用的に利用できる性能ではなく、さらなる研究開発が必要であることがわかった。また特に高い絶縁性を有したハイドロゲルの開発が難しいということがわかった。そこで研究内容を少し変更し、ハイドロゲルがもつ高い伸縮性と透明であるという利点を活かした新たな応用についてそのデバイス構造及び材料の検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、生分解性ハイドロゲルの開発、それにナノ材料を添加することで導電性などの機能を付与させることを第一の目標とした。そしてその材料特性として伸縮性、修復性、水への溶解度などについて定量的な解析を行うことを予定し、実際に研究を実施してきた。生分解性ハイドロゲルの形成及びナノ材料の添加による導電性制御はできたが、その特性は、高い導電性と高い絶縁性を形成するのには不十分であり、またデバイスとして安定性にも欠けるものであった。なお伸縮性についてはハイドロゲルという性質上、十分な特性を得ることができた。これらの進捗により次年度につながるデバイス開発に必要となる機能性生分解ハイドロゲルの形成はできておらず、やや遅れているという判断に至った。
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今後の研究の推進方策 |
現状、デバイスに適用できるレベルの機能性・生分解性ハイドロゲルの開発には至っていない。ただある程度導電性を有したハイドロゲルの形成、更にそれを印刷で形成可能ということを確認できたため、生分解性に限定せず、これらハイドロゲルを用いた触覚センサの開発を実施する予定でいる。また本年度得られたハイドロゲルやポリマー材料の形成手法及び材料をもとに、全く新しいコンセプトの電子デバイスのアイデアを着想できており、その実現可能性を探索することで、最終目的とする持続可能性で環境にやさしいフレキシブルセンサシステムの開発を進める。ただしここでも生分解性に拘らず、さまざまな材料を選定することで新しいコンセプトを実現することに舵を切ることにし、その研究開発を実施する。
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