研究課題/領域番号 |
23KF0131
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
河津 信一郎 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (60312295)
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研究分担者 |
MACALANDA ADRIAN MIKI 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-09-27 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 顧みられない熱帯病 / 人獣共通感染症 / 日本住血吸虫症 / バイオマーカー / POCT |
研究開始時の研究の概要 |
WHOは、特効薬プラジカンテルによる住血吸虫症流行地住民の集団治療を、この寄生虫病の排除に向けた対策として推進しているが、現行の虫卵検査法の感度が低く、治療を要する患者を効率的に摘発できていない。そこで、日本住血吸虫のマウス実験感染モデルを活用して、感染動物の血液や尿など体液中に、各感染ステージに応じて出現する寄生虫の排泄・分泌抗原(ES抗原)を網羅的に探索することで高感度高精度の抗原検査法開発の基礎情報を整備する。アジア型住血吸虫症「ES抗原検査法」の応用範囲は極めて広く、ES抗原の種類を選択することで、寄生虫病の早期診断から虫卵排出期の患者の摘発まで、流行状況に応じた検査法が提案できる。
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研究実績の概要 |
私達は以前に、日本住血吸虫の排泄・分泌抗原(excretory secretory antigen)のひとつThioredoxin peroxidase-1(SjTPx-1)に対するウサギ抗血清(捕捉抗体)とマウスモノクローナル抗体(検出抗体)を作製して、これらの抗体を応用したサンドイッチ酵素抗体法(DAS ELISA)の系を構築している。今年度は、上述の抗体を応用して免疫クロマトグラフキット(POCT)試作品の作製を試みた。同キット試作品では、セロハン厚層塗抹法(Kato-Katz法)で陽性と診断された患者の血清に対して陽性反応を得ることができたが、感度が低く、現在改良を進めている。新規ES抗原の網羅的な探索については、当初計画していたLC/MS/MS質量分析法によるマウス感染実験由来サンプルの外注解析が国内では困難であることが判明したため、アプローチの方法を変更して、文献検索とデータベース検索による抗原候補分子の探索を行った。結果、DAS ELISAの抗原として報告されていたEnolaseを新規のPOCT標的抗原として選択した。現在この抗原を標的とするPOCTの開発に向けて、日本住血吸虫Enolase組換え体抗原(rSjEnolase)に対するウサギ抗血清(捕捉抗体)とマウスモノクローナル抗体(検出抗体)の作製を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたLC/MS/MS質量分析法による新規ES抗原の網羅的な探索から、実験の手法を文献検索とデータベース検索に変更する必要に迫られたが、結果、新規のPOCT標的抗原としてSjEnolaseを選抜することができた。また、SjEnolaseの組換え体抗原の作製にも成功し、抗血清の作製にも着手することができた。これらの理由から、現在までの進捗状況を「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
SjTPx-1を標的とするPOCTの開発研究については、蛍光標識抗体などの最新の技術を応用することで、試作品での検出感度の改良を進める予定でいる。一方、新規の標的抗原SjEnolaseについては、ウサギ抗血清(捕捉抗体)とマウスモノクローナル抗体(検出抗体)の作製を進め、先ずは、DAS ELISAの系を構築して、SjEnolaseの標的抗原としての有用性を検証した後に、POCT試作品の作製に着手する予定でいる。
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